ある問題を解いていて、

 円の接線が、「円の中心と接点を結んだ直線」と垂直に交わること

を証明してみようと思いました(上図)。しばらく考えた末、「円の接線とはなにか?」をハッキリさせないと証明できないことに気付きました。

そこで、ネットで“円の接線の定義”を調べたところ、

 円の接線とは、円と1点で交わる直線のこと

らしいとわかりました。ネットは安易に信用してはいけないとよく言われるので、若干不安もありましたが、もっともな“定義”なので満足し、円の接線については一応解決しました。

しかし、円の接線について調べているうちに気になる記事を発見しました。その記事は円以外の曲線も含めて接線の話をしたもので、

 円の接線の定義ならば「1点で交わる」で十分だが、もっといろいろな曲線を考えると「1点で交わる」では不十分になってくる

と書いてありました。それは確かにその通りで、たとえば下図のような3次関数のグラフに接線を引くと、「1点で交わる」=「接線」では収拾がつかないことがわかります。

↓接線だが“2点”で交わる。


↓1点でしか交わらないが接線では“ない”。



ここまではいいのですが、その記事では「1点で交わる」では不十分な例として、3次関数ではなく、下図のような放物線(2次関数のグラフ)の例を挙げ、



「図において、直線は放物線と1点でしか交わらないが接線ではない」と書いてありました。

これは実はおかしい。一見、1点でしか交わらないように見えますが、コンピュータで座標を大きく取り直すと、



となり、x=2の他にx=-10くらいのところでも交わります。

コンピュータでは納得できないという場合は、計算でも確かめることが出来ます。

放物線の方程式なので、この放物線と点(2,4)で交わる直線の方程式はと書けます。傾き(a)はいろいろ動かせるわけです。連立して



この方程式の解が交点のx座標になるのでした。判別式を計算すると、



となり、a=4のときはD=0、a≠4のときはD>0です。

傾きa=4は直線が接線になっている場合に対応します。(下図)


よって、直線が接線以外の傾きになっているときは必ずD>0、つまり必ずもう1点で交わることになります。(D>0なら実数解を2個持つから。)


こうして「ネットの記事は安易に信用してはいけない」ということの一例を見つけてしまったわけです。ペンギン曲線に関する感覚を磨いて、だまされないようにしないとね。

  ペンギン
  このブログの記事も安易に信用してはいけません。
  万全を期しているつもりですが、あとで間違いが見つかることもあります。



~最後に~

今回は直線が点(2,4)で放物線と交わる場合を計算しましたが、一般に点(p,p^2)で計算しても「接線でない限り2点で交わる」ことがわかります。

放物線と1点でしか交わらない直線は、接線と軸だけです。
1からできるもの・・・実数
1,iからできるもの・・・複素数
1,i,j,kからできるもの・・・四元数

などというが、
一般に4つ以上のものからできるもののことを“超複素数”というらしい。

3つは、三元数とでもいうべきものであるが、
三元数はうまくいかないことが知られている。

四元数の発見者であるハミルトンは、
複素数の次に来るものとして三元数を構想しいろいろ試したが、
いくらやってもうまくいかなかった。
ある日、4つにすればうまくいくことに気づき歓声を上げた(と思う)。

四元数の次は八元数である。
この辺のことを詳しく知りたい場合は、
「四元数」「八元数」や「超複素数」といったキーワードで調べるといいだろう。
カノンとは、輪唱のことである。

すなわち『かえるのうた』である。


カノンという言葉をどこで知るかというと、最近は友だちの名前ということもあるかもしれないが、筆者は「パッヘルベルのカノン」で知った。小学生くらいの時だっただろうか。

パッヘルベルというのは、ご存知の人が多いでしょうが人の名前で、バッハ本人だったかお兄さんだったかの先生もしていた人である。オルガニストだったと思う。

カノンとは何か当時の筆者が辞書で調べてみると「キャノン砲」とある。これは違う。

さらに調べると「模倣しながら進む対位法的な曲」といったことが書いてある。

模倣も聴いたことがない言葉だったので調べると、どうやら「真似」をすることらしい。音楽用語としては「対位法」という分野で使われる言葉らしい。

この時点で「カノン」とは『かえるのうた』のことではないかと思うが、「対位法」と『かえるのうた』が結びつかず、念のため図書館で音楽の本を借りる。どうやら「追いかっけ」のことらしい。ますます『かえるのうた』であることは明らかだが、選んだ本が悪かったのかカノンのところに「例えば『かえるのうた』のこと」などとは書いていない。疑いは消えない。

そんなとき、本物のパッヘルベルの『カノン』を聴く機会に恵まれた。

聴いてみると、『かえるのうた』ではない!

『かえるのうた』のあの次々に声部が入る混沌がない。後の方でこそ複雑化するが、追いかけっこしているようには思えない。どういうことなのだろう?

謎が深まるなか、バッハの『小フーガ』という曲に出会った。

「フーガ」といえば前に読んだ本に「カノン」の仲間として載っていた。「フーガ」も「模倣」を使うが“厳密な”対位法に基づいているそうだ。詳しいことはわからないが「カノン」が子どもで「フーガ」が大人みたいなものだろうと思っていた。

『小フーガ』も『かえるのうた』ではなかった。しかし、しばらく聴いたところで、低音で最初のメロディが現れた。聴き直してみるとかなり時間を隔ててはいるものの、最初のメロディが次々に重ねられていくのがわかった。追いかけ始めるのが遅いのだ。

二人の間が非常に遠い追いかけっこだった。後の方ではもっとあからさまな追いかけっこになるが。

そうして、『カノン』もいまひとつ確証をもてないものの、時間をおいて追いかけているらしいことがわかった。

もっと他にカノンかフーガはないか。

『トッカータとフーガ』というのがあった。これは有名。

おなじみのメロディではじまるが、なかなか追いかけない。実はもう追いかけているのでは?本によるとカノンは“バカ正直”に真似をするらしい。ということは裏を返せば、フーガはそっくりそのままは真似をしていないかもしれない。そう考えると、メロディを変形して追いかけさせてるような気がしなくもない。

そんなことを考えているうちに、一旦曲が静かになり、こまごました感じで再開した。その後もしばらく聴いていたが追いかけているかはよくわからなかった。

CDの解説を読んで見ると、最初の○分○秒まではトッカータでこれは模倣しない。追いかけないのは当たり前である。こまごましたところからがフーガだったらしい。もう一度フーガのところを聴いてみると一つ目の追いかけくらいはなんとなくわかったが、他はいまいちわからないし『小フーガ』と違って難解な曲に思えた。


以上は筆者の「カノン」に関する体験である。筆者以外にも「カノン」と『かえるのうた』、「輪唱」のギャップに悩む子どもは結構いるのではないだろうか。

そんな子どものために、筆者が知っている追いかけがわかりやすいカノンを紹介する。少しでもカノンを理解する助けになれば幸いである。

知識不足により、いわゆるクラシック音楽の限られた分野からしか例を挙げられなかったが、ほかのジャンルでも良いカノンがあるかもしれない。



まず大変わかりやすいものとして、

 F. ジェミニアーニ / 合奏協奏曲作品3 第2番 第4楽章
 (F. Geminiani / Concerto Grosso Op.3 No.2)

がある。あまり有名な曲ではないので入手は難しいかもしれない。CDは大きな専門店でないと置いてないだろう。

注意深く聞けば最初のフレーズはまるまる正確に追いかけていることがわかる。通常はメロディがあってそれを使ってカノンにするのだと思うが、この曲では、まず追いかけがあって、それが結果的にメロディになっているような印象である。全体的にコンピュータでエコーをかけたような曲になっている。

ジェミニアーニの合奏協奏曲はたくさんあり、これは作品3という曲集の中の第2番である。第2番には4つの楽章(本でいうところの「章」)があり、そのうちの第4楽章を薦める。


ジェミニアーニよりは難しいが、手に入りやすいものとして

 J. S. バッハ / ブランデンブルク協奏曲 第6番 第1楽章
 (J. S. Bach / Brandenburg Concerto No.6)

がある。これは有名で、地元のCD屋にもあるかもしれない。少なくともレンタルCD屋にはある。

いろいろな楽器が使われていて面白い。バイオリンがおらず、ビオラが最高音という変わった編成である。バスが同音反復でズンズンやっているのもこの曲の魅力であると思う。

演奏者本人の投稿のようなので、著作権の問題はないと考え、YoutubeのURLを載せておく。
https://www.youtube.com/watch?v=-rNQCrfqdfk


この2つはバロック音楽と呼ばれ、フーガなど対位法が盛んに用いられた時代の音楽である。もう少し後の時代のものとして

 L. v. ベートーヴェン / チェロ・ソナタ 第5番 第3楽章
 (L. v. Beethoven / Cello sonata No.5)

を挙げる。最初そっくりそのまま追いかけているのがわかる。その後も律義に割と忠実に追いかける場面がしばしば見られる。チェロとピアノで演奏される曲だが、ピアノからは「両手あるんだぞ」という声が聞こえてきそう。


最後に、はじめから終りまでそっくりそのまま追いかける曲を紹介する。実はそういうものはむしろ少数派である。

 G. Ph. テレマン / カノニック・ソナタ
 (G. Ph. Telemann / Canonic sonata)

カノン的なソナタである。たくさん種類があるが、その内のひとつを演奏しているYoutubeのURLを載せておく。ホールが投稿しているらしく、違法投稿ではないはず。

https://www.youtube.com/watch?v=lWkEZ9wLgBA

そっくりそのままというのは一見すごいようだが、聴いてみると少し退屈。テレマンもバロックの人である。