沖縄戦の遺骨を掘る男の映画 | 歴史ニュース総合案内

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 沖縄戦での戦死者の遺骨を集め続ける男を撮ったドキュメント映画「骨を掘る男」が6月15日から公開されている。遺骨を収集するボランティア団体「ガマフヤー(ガマ掘り人」の具志堅隆松(1954年生まれ)代表を主役にしている。

 那覇市生まれの奥間勝也監督(1984年生まれ 「ラダック」や「ギフト」)は自然洞窟のガマなどで行われるその探索活動に2019年から30回ほど同行して密着。沖縄戦で亡くなり遺骨が見つかっていない大叔母と、生き延びて往生した大叔母の妹の話を挿みながら、様々な活動を映した。そのためにクラウドファンディングも行い、フランスや台湾との共同制作とした。

 

 伯父をブーゲンビル島の戦役で亡くしている具志堅代表が遺骨収集を始めたのはボーイスカウト成年代表だった1982年から。しかし、遺骨の劣化を前にして間もなく個人での遺骨収集に乗り出し、これまでに400柱ほどを掘り出した。更に2008年に那覇市の真嘉比地区で市民参加型の遺骨収集を市と共に主催した。遺骨のDNA鑑定を厚生労働省に呼び掛けて時の舛添要一厚労相に認められ、2011年度に講談社の吉川英治文化賞を受賞した。著作『ぼくが遺骨を掘る人ガマフヤーになったわけ。』を2012年に刊行している。

 撮影中にも起きたが、遺骨の眠る沖縄の土砂を名護市の米軍辺野古基地のための埋め立てに利用するのに反対する活動を行っているが、宿敵だった米軍のために日本軍の遺骨が含まれているだろう土砂が使われることに辺野古賛成派も留意するよう求めている。