川の中州の前方後円墳――近江八幡 | 歴史ニュース総合案内

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 滋賀県近江八幡市の日野川の中州で、川に沈んでいた前方後円墳の埴輪が出土した。滋賀県文化財保護協会は3月14日、建造時期を5世紀後半~6世紀前半とし、新たな埴輪も発見したと公表した。

 市の西部を流れる日野川の下流に位置するこの江頭(えがしら)南遺跡は2019年に住民が地表の「高まり」に露出した円筒埴輪を6点見出したのに始まる。中州だった古墳時代に築かれてから、江頭南遺跡は川の土砂に埋もれていたが、堆積していた土砂が更に洗い流され、鈴鹿山地から琵琶湖に流れ込む日野川の水位が下がって表れた。遺跡は篠原駅の北方に位置している。

 河川改修工事に先立つ調査で古墳周囲の450平方メートルを調査。粘土で人為的に盛り土された跡のほか、最初の発見地点から南で13点の円筒埴輪が新たに出土し、八の字型に埴輪があったことが判明した。人が埋葬される後円部は浸食されて流され、全体の大きさは不明だが、八の字の並びは前方部と後円部のくびれ部分とみられている。上が大きく開く朝顔形埴輪もある円筒埴輪は灰色系で須恵器のように高温で焼成されており、野洲市と竜王町の鏡山古窯址群との関連が指摘されている。

 

 古代の琵琶湖の水位は瀬田川の南郷洗堰で84.3mに維持されている現在よりも低かったことが、湖底遺跡の調査で判明している。