撤去されたいわき市の竪坑櫓 | 歴史ニュース総合案内

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 福島県いわき市で栄えた常磐炭田の記憶を残す竪坑櫓がこのほど解体された。市石炭・化石館「ほるる」に建てられていたが、2022年の県沖地震からの復旧工事で撤去されることになり、ほるるの4月25日の再開館に先立ち取り除かれた。

 湯本駅の近くにあるほるるは1984年に開館。海竜フタバサウルス・スズキイの骨格模型の展示と同時に、常磐炭田の歴史を展示する。館内には温泉郷でもある湯本の歴史のほかに模擬坑道がつくられ、入り口に鉄骨組の赤い竪坑櫓(たてこうやぐら 高さ約30m)があり、常磐炭砿の中心拠点跡につくられたほるるの名残を伝えていた。

 しかし、常磐炭砿西部坑から移設されてきた竪坑櫓の上部鉄骨が県沖地震で落下し、エレベーターホールが損傷。ほるるは閉鎖され、修復工事が検討されたが、老朽化が進んでおり費用が捻出できず撤去が決定。いわき市内で唯一残っていた竪坑櫓が消えることとなった。往時は54名乗りで、矢弦車(ヘッドシーブ)の力で600mの深さまで上げ下ろししていた。獲れる瀝青炭や褐炭の品質が低かったのが閉山の原因となった。

 

 また、フタバサウルス発掘地の大井川流域にあった遊園地の海竜の里センターも3月に閉鎖された。少し離れた市アンモナイトセンターは健在だが、地層の荒れを理由に発掘体験講座を取りやめた。