高野町の宿泊税と高野線 | 歴史ニュース総合案内

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 高野山を擁する和歌山県高野町が3月1日、入山税のような法定外税を2028年頃に導入する意向を表明した。広島県宮島町が厳島への入島者に導入したような訪問税を検討している。

 九度山町の南の高野町の人口は過疎化で2600人ほどだが、高野山への訪問者は2023年に140万人に達し、1日当たりで町の人口を超えている。うち宿泊者は約22万人でその4割以上が外国人となっている。出迎えのための各種インフラ管理に町や金剛峯寺が費用を出しているが、人口減に悩む平野嘉也町長はそのための費用を捻出すべく、法定外税を打ち出した。具体的な課税案は数年後に出される。

 

 これに対して、電車でのアクセス口となる南海高野線は、速度を落とすダイヤ改正を1月20日から実施。九度山駅の「おむすびスタンドくど」での購買を促すために、同駅での停車時間を延ばし、改装された極楽橋駅での鋼索線(ケーブルカー)への乗り換え時間を延ばして「宝来天井絵」などの装飾を見てもらおうと取り計らった。高野線では高野下駅の駅舎をニッポニアホテルに改装するなどの振興策がとられている。

 高野線からだと極楽橋駅からケーブルカーで高野山駅へ上がってからも金剛峯寺までは遥か遠く、バスの混雑が激しい。それに対して、実のところ高野線のダイヤは2000年代より縮小しており、普通のワンマン列車で1時間に1本という時間帯もあり、なにかと評判の特急こうやの本数も多くはない。

 そのため、自動車への移転が進み、高野山への途上で渋滞が起きる訳だが、ここでも混雑する場所だけを切り取ってオーバーツーリズムと報じている構造がある。