空海展とインドネシアの秘宝 | 歴史ニュース総合案内

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 弘法大師空海(774~835)を主役に、奈良国立博物館で特別展「空海 KUKAI――密教のルーツとマンダラ世界」が4月13日から6月9日まで開催されている。関連した「歴史探偵」の空海回(4月17日放送)ではインドネシアからの出展品が妙に推された。

 国宝28件を含む115件を展示。大日経の胎蔵曼荼羅(マンダラ)と金剛頂経の金剛曼荼羅の双方を描く両界曼荼羅として、空海がつくった唯一現存する高雄曼荼羅(長さ4m 高雄山神護寺蔵)を6年の修復後に初公開するのを目玉に、曼荼羅で可視化された両部不二な密教の世界体系を伝える。まず曼荼羅の世界を紹介してから、空海の生涯を入唐前~渡唐、神護寺~東寺、高野山金剛峯寺へと生涯を辿っていく。高野山からは3大秘宝のうち「諸尊仏龕」と「聾瞽指帰」(著作「三教指帰」のもと)が出展されている。

 

 インドネシア国立中央博物館からの出展品は2章で登場。唐経由とは別の流れで天竺からジャワ島に伝わり、10世紀に制作された彫像「金剛界曼荼羅彫像群 四面毘盧遮那如来」が大きく特筆されている。インドネシアに空海が渡って影響を与えていた訳では勿論ない。密教の世界は、空海の関与しえぬ処へも弘まっていたという話で、名高い大乗仏教のボロブドゥール遺跡もまた密教の世界を具現化した立体曼荼羅だ。

 これでは空海の活動した年代に合わないが、インドから東南アジアを経て中華に至る海のシルクロードを伝えるために導入された。特別展に協力する高野山大学の国際研究で、出展された彫像が金剛界曼荼羅のものと判明したという。

 

(本放送で担当アナがインドネシアと叫んだ瞬間に臨時ニュースで「インドネシアで火山噴火」と流れた。北スラウェシ州でルアング火山が噴火して津波到達が懸念された訳だが、何ともシュールだ)