トプカプ宮殿NHKの美 | 歴史ニュース総合案内

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 トルコのイスタンブールにあるトプカプ宮殿博物館が2023年に改装されたのに合わせ、4Kでの撮影を許可されたNHKが特集番組「工芸の森 トプカプ宮殿」(1月20日放送)及び日曜美術館(2月4日分)で宮殿を映した。チューリップ(ラーレ)などの植物文様を軸にした紹介内容では、サファヴィー朝イランから来たシャークルが特筆された。

 トプカプ宮殿の修復工事で内壁を取り外したところ、中から壁に埋もれていた壁画が現れた。両番組が取り上げていたこの発見は2020年11月のもので、壁画はオスマン帝国のスレイマン大帝が治めていた16世紀頃のものと推定されている。隣のアヤ・ソフィア・モスクで外壁を取り外したらビザンツ帝国の頃のモザイク画が現れたのを彷彿させる発見だが、トプカプ宮殿はビザンツ滅亡後の1459年からメフメト2世が築いたものなので、イスラム化後の壁画となる。

 この壁画の作者が様式からシャークルと看做されている。シャークルは竜などの架空獣や動物の脚が生き生きと描かれるサズ様式の確立者で、ミマール・スィナンのような建築家と並び称される。細密画よりも鮮やかな絵で1520~1550年代に活躍したタブリーズ生まれのシャークルだが、やがてより地味な抽象模様に取って代わられていった。その抽象様式がイズニクの青タイルで描かれるような文様である。チューリップはルーミーのメフレヴィー教団のスーフィー達の舞踏にも取り入れられている。