アジア女性基金創設者の慰安婦問題解決案 | 歴史ニュース総合案内

歴史ニュース総合案内

発掘も歴史政治も歴史作品も

 アジア女性基金の創設に関わった和田春樹・東京大学名誉教授ら8名が3月24日、「慰安婦問題の解決に向けて」という共同論文を発表した。2015年末の慰安婦合意に言及しつつ、心に届く誠実な謝罪を駐韓大使が代表して行うよう求めている。

 アジア女性基金から2015年12月28日の合意まで元旧軍慰安婦への謝罪と補償は行われており、韓国人の元慰安婦も多くが妥協して補償金を受け取っている。「韓国は敵なのか」の声明を出した論者による共同論文では、2015年末に当時の安倍晋三首相が自ら語り署名した手紙を旧慰安婦に届けるべきだったと主張。米国で1980~90年代、レーガンや父ブッシュ大統領が太平洋戦争時の日系人収容の黒歴史を謝罪したことに言及した。

 徴用した企業への賠償訴訟では、三菱マテリアルが2016年に中国人労働者の訴訟で和解金を支払ったことに言及。日本政府が企業単位の訴訟で裁判に応じないよう干渉しているのを非難した。

 日本外務省は米グレンデール市での平和の少女像撤去訴訟を支援しているが、論文では実際の行動で慰安婦の記憶を否定する外務省を非難。

 

 2015年合意の核心部分を再確認し、「政府の責任を痛感して、すべての慰安婦被害者にお詫びと反省の気持ちを表明」した安倍総理の言葉をあらためて文章にして署名し、日本政府を代表する駐韓大使をして、20人といわれる生存慰安婦被害者にその意を届けさせるべき

 

と新たな行動を求めたが、新たな賠償は要請していない。

 

 歴史戦争に狂奔する世界では、2015年の合意後もずっと従軍慰安婦問題を日本軍に有利に解釈し続け、愛する安倍元総理がかなり妥協したことを無かったことにしたい論調がずっと主流である。

 

 共同論文の著者陣

 石坂浩一、内海愛子、内田雅敏、岡本厚、鈴木国夫、田中宏、矢野秀喜、和田春樹