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 推理漫画『名探偵コナン』の学習系新シリーズ『世界史探偵コナン』が全12巻を目指して2020年11月から続いている。全部で22巻の通史になった『日本史探偵コナン』の続編で、人気の在りかが投影されている。

 シリーズでこれまでに取り上げられたのは、エジプトのピラミッド、アトランティス伝説(古代ギリシア)、モナ・リザ(ルネサンス)、マルコ・ポーロ、黒死病、切り裂きジャック(近代イギリス)で、2月以降クレオパトラ姫、ポンペイ、マヤ、アラビアンナイト、マリー・アントワネット(フランス革命)、月面着陸が刊行される。通史仕立ての日本史に対して、西洋史と東方幻想の話題で構成されている。

 チエの実を捜しに行った阿笠博士を救うべく、コナンの少年探偵団や時を超えるタイムドリフターの子供達が過去の世界へ行き、先々で怪盗キッドやウルフの妨害や第三者の事件を解決する話は、本編よりも対象年齢が低めで、推理メモの歴史知識の水準は高くない。西洋中心主義であり、マルコ・ポーロの巻は何故か中華まで旅せずヴェネツィアで展開される。マルコ・ポーロに相当する人物が中華の文献にないからといって、この扱いはどうだろう。

 

 コナンの物語はどうみても、いつまでも続けられる基本設定でないのを長々と続けた結果、殺人事件が起きなかった場所がないという異常事態が定番の内輪ネタにされている。歴史物語の世界は殺人ばかりだが、ミステリー事件はなかなか起きない。