寄付を求める大原美術館 | 歴史ニュース総合案内

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 岡山県倉敷市の大原美術館が10月26日から運営資金に充てるためのクラウドファンディングを募っている。入場収入が8割を占める人気美術館であるが故に、倉敷市美術館のような公立美術館よりも大きな打撃をコヴィッド19で受けるらしい。

 1000万円を目標とするこのクラウドファンディングは元来、中国銀行の倉敷本町出張所を「新児島館」という新館にするために企画されていた。だが、コヴィッド19の蔓延による136日間の臨時休館に見舞われ、再開後も検温などの煩雑な手続きをとられる。そのため、30万人を見込んだ2020年度の入場者数は5万人に達しない見通しだ。

 倉敷の美観地区に集まる美術館の象徴でも、大人1人1500円の高級美術館なだけにそのまま予約制に移行する手もあったが、高階秀爾館長は「一般公開なくして大原美術館でない」と宣言。レディー・フォー経由のクラウドファンディングで10月29日24時までに865万円を663人から集めた。

 

 クラボウ(倉敷紡績)やクラレ(倉敷絹織)を率いた大原孫三郎が成羽生まれの画家・児島虎次郎を偲んで1930年に建てた大原美術館は、現在公益財団法人である。敗戦後に松方コレクションをもとにできた上野の国立西洋美術館(2022年春まで休館)に対して、日本初の近代西洋美術館と位置付けられている。