前近代最大の秀吉像―ー大阪 | 歴史ニュース総合案内

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 大阪市教育委員会は5月21日、旭区の大宮神社にて前近代で最大規模の豊臣秀吉像が見つかったと発表した。冠抜きで高さが81.9cmあり、京都東山二条の西方寺(さいほうじ)にある最大とされてきた冠付きの秀吉像の81cmより大きい。

 谷町線の千林大宮駅の由来である大宮神社で、木像の秀吉像は摂社の高良社の社殿に眠っていた。三条の皺の好々爺の坐像で、束帯をしている。像に制作年の銘記はないが、江戸時代につくられ、1823年の文政の開帳で公開されたと思われる。高良社の改修工事に伴う1月の調査で、一般に再発見された時には色が剥げ、彫刻面が露出していた。寄せ木造りの構造は残っているが、冠は欠落した。

 

 没後に東山の阿弥陀ヶ峰に埋葬された豊臣秀吉を神格化すると、豊国大明神(ほうこくさん)となる。その明神をかたどった江戸時代までの木像は20例ほどある。鐘が引き金の口実にされた方広寺の大仏殿は、現在の豊国神社内にある。

 秀吉信仰の敵対勢力の要だっただけに、江戸幕府の下では秀吉への信仰がはばかられた。絵本太閤記などで禁忌意識が薄れてきた文政の開帳後に、高良玉垂命の社殿で扉を釘止めして、極秘扱いにされたと考えられている。