人の知性は3000年前が最高か | 歴史ニュース総合案内

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 米スタンフォード大の遺伝学を率いるジェラルド・クラブツリー教授が11月12日付で、遺伝学系の雑誌「トレンズ・イン・ジェネティクス」に、人の知性が3000年間で大きく退化したという随筆(有料)を書き、人間の進化を覆したと話題を呼んだ。ただし、「ケータイを持った猿」正高信男と同類の偏見ではないかとする反論も出ている。
 教授によると、住宅を生み出した先祖は、大自然の狩猟者として生き残るために現代人より優れた知性と感性を持っていて、それが火の利用など他の動物になき文明を生み出してきたと主張。しかし、現代人は自分の生み出した文明都市の中で危険に立ち向かう自然淘汰の本能が退化し、それが知性そのものの人類的規模での低下につながったと主張した。都市が生まれ始めてから3000年間120世代の内に、知的活動を司る2000~5000近くの遺伝子にマイナスの突然変異が起きたという。古代ギリシアの民は必ずや現代人よりも賢明で落ち着いていただろうと述べた。
 これは科学調査された資料ではなく、基本的に学術資料なき仮説に過ぎない。教授の立論については、社会教育の発達、当時より複雑化した職業内容を挙げて、教授の論拠を疑う声も出されていて、老人の嫌味ではないかとも反論されている。それを証明するには、文化人類学的知見を強化するために、アマゾン当たりから未発見部族を連れてきて、遺伝子の比較調査をするくらいしかないかもしれない。