トラキアの実物黄金が100点――ブルガリア | 歴史ニュース総合案内

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 ブルガリア北東部のトラキア王の墳墓スヴェシュタリから11月7日、新たな遺物が発掘された。出土品には100点以上の金の遺物も含まれている。
 このスヴェシュタリの墳墓は1982年発見された。トラキア系のゲタイ族の王墓とされ、殉死した王妃と王を囲む10体の女体柱(カリスティード)で知られる墳墓群だ。コテパという太祖クラスの結び付く王の墳墓ともされ、習合的なヘレニズム文明の産物にも数えられる。
 最近の調査で、墳墓の一つから木製の箱が発見され、中を開けてみると、黄金の織物に包まれた骨などの遺品が入っていた。前4~3世紀頃の黄金の指輪や44体の女性像、100を超す金ボタン、金のティアラなどがあったのだ。馬の頭の金細工など装飾品の保存状態は正に劣化せぬ金の装いだ。自身によるまとまった記録を持たないトラキア人の強さを示す資料として、今後参考になると思われる。トラキア人はスヴェシュタリのような墳丘(トゥムヌス)の葬祭施設を中心に結束していた。
 これをアレクサンドロス大王の血脈でのみ考えるのは避けた方がよいだろう。スヴェシュタリとは別の場所だが、オドリュサイ王国を生んだトラキア文化には独立して考えられるだけの価値がある。