英語での『文法』と『語法』の違いについて
①旧センター英語と英検での「語法問題」
私たちがよく耳にする「英文法(えいぶんぽう)」という用語ですが、厳密には『文法』と『語法』の2つに分かれています。『文法・語法』(または「語・文法」)という表記を目にしたことがありますよね。「文法」と「語法」は似ているようでかなり異なっています
↓こういう違いがあります↓
「文法」とは
⇒単語(句・節)と単語(句・節)のつなげ方
「語法」とは
⇒ 単語の使い分け(=文脈に応じた適切な語)
⇒ 単語の使い方(=その語彙特有の使い方)
例えば、旧『センター試験 英語』の「文法問題」と言うとおそらく「第2問ーA」を思い出す方が多いはず。そうです、英文の空欄に適語を4択から選ぶあの10題から成る第2問ーAのことです。
(H27年度大学入試センター試験(本試)より)
ソース元:独立行政法人 大学入試センターHP
ところが!「第2問ーA」のこの10題をよく見ますと「文法問題」と「語法問題」がおおよそ50%ー50%の割合で出題されていました。10題すべてが「文法問題」と思っていたのに??よくよく見れば文法問題は5題程度しかないのです。受験生ですら意識してなかった事実です。
上記過去問では、問1、問2、問3、問4、問7の半分もの問題が「語法問題」になります!また問2・問4は「文法問題」の要素も含まれていますが、語彙の用法(使い方)、また語彙の使い分けを問う問題なので語法問題と取ることができます。
実は、この「第2問ーA」は正確には『語・文法』問題と言い、元々「文法」以外に「語(法)」の出題を含んでいるのです。その後に続く「B-語句整序作文」問題、「C-英文の完成/会話の完成」問題も形式は違えど内容としては「文法問題」と「語法問題」の両方が大きく関わる範疇になっています。つまりセンター試験 英語の第2問全体が「語」「文法事項」・「表現」という観点で作成されている通り、『文法問題」は全体の一部を占めているだけであって、「語法」の占める割合が「意外と多いぞ」ということなのです。「文法問題」と一括りで捉えていたものは、文法のみならず語法問題も多く含んでいるということです。
英検にもセンター英語の第2問のような4択適語補充問題(第1問:20題~25題)があります。ところが、準2級まではセンター英語と「文法ー語法の比率」が類似しているものの、2級以上からは文法問題よりも「語法問題」の比重が多くなっていきます。英検1級の第1問に至っては「オール語法問題」状態になtっています(英検1級では文法理解というより、どれだけ語彙(その語の「使い分け」「使い方」)を知っているかが鍵となります)。「文法問題」と思っていたものが、実は「語法問題」だった、そういうケースがとても多いのです!
②「文法」と「語法」とは
改めて「文法」と「語法」の違いのポイント
【文法】(grammar)
●単語と単語、または節と節のつなげ方のルール
●必要なものは「理解」(どれだけ様々な英文に応用できるか)
●文法問題の選択肢の特徴
同じ動詞であっても「語形(時制)が異なっている」
*直後の動詞をto不定詞にするのか、~ingにするのか、時制は過去形なのか完了形なのか、など。時制問題や準動詞・仮定法など、文脈や文構造の把握も必要になることもあります。
【語法】(word usages)
●単語の使い分け/使い方のこと。語彙・連語(句動詞・イディオム)など
●必要なものは「知識」(どれだけ単語・連語を覚えているか)
●語法問題の選択肢の特徴
「品詞・語形(時制)」は一致しているが「単語が異なっている」
*例えば、すべて「お金」という意味の「名詞」の中から今はどれを使うかべきか、この動詞はどの前置詞とセットで使うのか、など また文脈把握も必要になります。
③『文法』『語法』の問題例
典型的な「文法問題」と「語法問題」の一例
(解説を省きますのでご了承ください)
●『文法問題』●
選択肢はすべて同一の単語です。ここでは正しい「語形」を文法ルールに則って選びます。
1) 慶應大より
When I was a child, I ( ) the piano.
1. was playing
2. had played
3. had been playing
4. played
〈答え〉 4
〈訳例〉 子どもの頃、私はピアノを弾いていた(過去の習慣)
2) 青山学院大より
( ) efficiently, one liter of gasoline will move this car at least 20 kilometers.
1. Having used
2. Having been used
3. Used
4. Using
〈答え〉 3
〈訳例〉 効率よく使えば(使われれば)、1リットルのガソリンでこの車は少なくとも20kmは走ります。
選択肢型の「文法問題」では、同じ動詞であっても語形(時制)が異なっているという特徴があります。文法という単語のつなげ方のルールを元に、正しい語形を選んでいくことになります。
●『語法問題』●
選択肢の品詞・語形がすべて同じですので文法ルールはここでは通用しません。「知識」(=語彙とその意味・用法)で正解を判断します。
1)青山学院大より
Your mail is due to arrive here ( ) a week.
1. for
2. on
3. until
4. within
〈答え〉4
〈訳例〉君からの手紙は一週間以内にここに届くはず(届く予定)だ。
2)学習院大より
This job requires management expertise and a good ( ) of English.
1. capacity
2. command
3. fluency
4. power
〈答え〉 2
〈訳例〉 この仕事には経営技術と優れた英語(語学)力が必要です。
![上差し](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/527.png)
「文法」とは文や単語を組み合わせ英文を構成する上で、絶対不可欠なものです。「Reading / Speaking / Listening / Writing」を問わず、文法の理解なしには正しく情報を発信することができません。英会話で習う会話フレーズも文法というルールから構成されていますし、海外へ語学留学する際にも、この文法ルールを活かして語句を適切につなぎ合わせることで表現の幅が広がり、予想以上の知識(種々の表現)を「お土産」にして帰国することもできるようになるのです!また、「語法」は問題で見るとピンポイント的な「小さな部分」に見えてしまいがちですが、同じような意味を持つ単語であっても、使い分けていくことで適切な状況表現を生み出し、語彙表現の幅、つまり「言葉の引き出し」が多くなるだけでなく、時には自分の個性すらも発現していくことが可能になります!
もちろん!「文法」・「語法」を習得していくには、それなりの時間がかかります。英語に限らず「語学は努力の学問」とはよく言ったものです。少しずつでも進んでいきましょう本ブログが学習のお役に少しでも立てることを願いつつ・・・!
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