リーマン破綻余波は | ゼネコン君

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某大手建設業社員のブログ

アメリカの金融界に大きな不安がある中で 日本への影響は 少なくは無いようです

   ↓↓↓ チョット 長い 記事ですが、とても興味深いです

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■日本の金融機関がローンを出しづらい案件に触手

 米国では、次のリーマン・ブラザーズはどこかという疑心暗鬼が広がり、日本でも一時リーマン・ブラザーズに対する債権を保有する金融機関の株価が急落した。

 影響は株価にとどまらず、さらに広がる可能性がある。その余波が襲うと見られている代表格の市場が、証券化ビジネスによって急拡大した日本の不動産関連市場。米国の不動産に連動して、日本の不動産の価格も今後下がる可能性が高い。

 そもそも米国のサブプライム問題は、直接的には日本と関係はない。だがつい昨年まで、外資系の投資銀行は、積極的に不動産開発会社などにノンリコースローン(非遡及型ローン)を増やしていた。

 ノンリコースローンとは、銀行などが融資対象の物件が生み出すキャッシュフローへの評価をもとに購入資金を貸し出すもの。債務の返済が不可能になった場合の担保は、その物件に限られるため、借り手は他の資産を売ってまで返済を迫られることはないメリットがある。

■外資系投資銀行のノンリコースローンは国内5割に

 業界では、昨年夏頃には外資系投資銀行が手がけたノンリコースローンの金額が、国内全体の5割に急増していたと見られている。外資系投資銀行がノンリコースローンのシェアを高めた背景は、国内の銀行とは不動産に対する見方に違いがあったからだ。

 国内の銀行は、デベロッパーと呼ばれる不動産開発会社などと取引関係を築いてローンの返済期日まで貸出債権を持ち続ける場合が多い。だが外資系の投資銀行は、基本的にローンの貸出債権を第三者に転売するという前提で不動産を評価してきた。

 金融関係者によると、例えば、ある外資系投資銀行がローンを付けたマンション物件は、駅から徒歩数分という立地の建物だった。しかし、その近くには風俗街があったために、かつてなら日本の銀行はローンを出しにくかった。そんな物件にも、外資系の金融機関は積極的に貸していた。

 中には高層マンションなのに、大通りに接した面は狭くて車も入れず、周囲の住環境とも全くそぐわない細長い物件もあったという。本来なら不動産開発に必要な周囲の土地を取得できないまま建てられたような物件に対しても、外資系の投資銀行は次々と資金をつけていた。

 それができたのは、サブプライムローンと同じように不動産の流動化でリスクから逃避する仕組みを不動産開発会社と外資系投資銀行が作り上げてきたからだ。

■開発型のSPCから不動産投資ファンドに転売して利益

 その仕組みは、私募によるSPC(特別目的会社)を活用するものだ。まず不動産開発会社は開発型と呼ばれるSPCを設立する。その開発型SPCに、不動産開発会社は自らの資金で取得した土地をまとめて転売し、利益を得る。

SPC chart


 開発型SPCは、その土地にマンションなどの物件を建設して、完成後に利益を得る手段として、外資系投資銀行などが出資する不動産投資ファンドなどに転売する。

 不動産開発会社はSPCから配当などの形で利益が入るうえに、転売の段階でも利益を上げられる仕組みを作り上げていた。その利益でさらに新規の開発案件を仕込んでは、また転売して利益を積み上げてきた。

 こうした転売による利益創出モデルが、サブプライム問題によって崩れてしまった。というのも開発した物件の売却先である不動産ファンドに、外資系投資銀行がローンを出せなくなったからだ。

 開発型のSPCが物件の転売をできなくなると、資金の回収もできない。開発型SPCが不動産を取得して物件を建てるために調達した資金は、返済順位に応じてデットとエクイティに分けられる。エクイティは全体の5%程度で不動産開発会社が主に出資している。残りの95%はデットで、これはリスクに応じてメザニンとノンリコースローンに分かれる。

 ノンリコースローンは全体の70%程度で、ローンの出し手は内外の金融機関。残ったメザニンは全体の25%程度を占め、主に物件の建築に関わる建設会社が出す格好になっているという。

 このノンリコースローンの返済期限は、マンションなどの建物の工事期間に当たる1~2年と短い。そのため、開発型SPCは不動産ファンドなどに転売できずに資金を回収できないと、ローンの借り換えをするか、仕入れ値より安値で売却して返済資金を確保するしかない。不動産開発会社も開発型SPCに投資しているため、安値での売却だと自らの投資資金を回収できず、財務が傷むという構造だ。

■建設会社に危機

 転売モデルの破綻は不動産開発会社だけではなく、建設会社にも影響を与える。建設代金の回収ができなくなる恐れがあるからだ。建設会社は、物件の完成に合わせて不動産開発会社から工事代金を受け取る。通常は、工事の進行に合わせて着工日に代金の10%、建設途中に10%を受け取り、建物の完成時に残りを受け取るといった契約を結ぶ。


 そのため完成後に開発型SPCが不動産ファンドなどに転売できなければ、建設会社は代金を受け取れない場合もある。代金を受け取るまで建設会社は、人件費や鉄骨代などを先払いしなければならない。

 また先に述べたように、建設会社も開発型SPCに投資している。エクイティ部分の保有者である不動産開発会社が売却する権利を放棄すると、物件を売却処分する権利はメザニン保有者である建設会社の元に渡る。

 その物件がエクイティ分を除いた価格である95%よりも高く売れれば問題はない。しかし関係者によると、現在はメザニンを保有する建設会社が売ろうとしても売れない事態が出始めていると見られる。その混乱が、今年9月からもっと広がる恐れがあるというのだ。

■地方経済に痛手も

 不動産価格のピークとされる2007年春頃に不動産開発会社が土地を手に入れて、昨年10月頃から建物を作り始めようとしていた建設会社は、改正建築基準法によって建築確認許可をもらうのが遅れたうえに、鉄骨など資材の高騰の影響も被ってきた。いわば不動産価格が高騰した時期に手がけた物件を下落時に完成して売りに出さなければならない。こうして資金繰りの苦しい建設会社は、市況変動の波をまともに受けて危機的な状況に追い込まれてしまう。

 とりわけ公共事業投資の削減の影響で売り上げが欲しい地方の建設会社は、都心のマンション建設などに新規参入したばかりのところが少なくない。しかも傘下に多くの中小の工務店を抱えている。こうした建設会社が経営が悪化すれば、引当金を積むのを余儀なくされる地方の金融機関が増えて、ひいては地方経済をいっそう冷え込ませかねない。

 こうした私募SPCの市場は20兆円規模と推測されている。すでに物件が不動産ファンドなどに転売済みであれば、ファンドへのノンリコースローンの返済期限は比較的長いため、賃貸収入でキャッシュフローが得られるので、すぐには問題とはならない。だが開発型のSPCに仕掛かり品として滞留している物件は、売るめどが立たなくなる恐れがある。

 1990年代のバブル崩壊時には約120兆円の不良債権が出たとされる。それに比べ今回のサブプライム問題に端を発した不動産危機は、それほど大きな規模ではないという見方もある。だが規模は小さくとも、とりわけ地方に影響を与えてしまう可能性がある。そして何よりも、その余波が広がるのは、まだこれからなのだ。


NIKKEI ビジネスコラムより
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16日の東京株式市場で、リーマンが大株主になっている企業の株価が相次いで値幅制限の下限(ストップ安)まで売り込まれた。不動産関連会社のダヴィンチ・ホールディングスは、一時、ストップ安となる前週末終値比4000円安の4万2550円まで値下がり。リーマンが発行する社債を多額に保有しているみずほフィナンシャルグループ(FG)やあおぞら銀行の株価も大幅に下落。みずほFGは一時、ストップ安となる同5万円安の41万8000円をつけた


特に新興の不動産会社は、外資からの投資によって建てた建物を売りさばいて 成り立っているところが多いので 一つその歯車が狂うと ビジネスモデルが崩れてしまう可能性が大きいようです

この動きに更に追い討ちをかけそうなのが 先日発表された基準地価の下落です
国土交通省が18日発表した基準地価は、昨年16年ぶりに上昇した全国平均の商業地が再び下落、住宅地も5年ぶりに下落幅が拡大するなど、ここ数年の地価の“ミニバブル”が崩壊したことを示した形になっています
特に、地価上昇を牽引してきた首都圏のマンションは建築資材の高騰などで価格が高止まりし、売れ行きが低迷し、市況悪化は分譲業者の倒産を招き、建設業者にも波及しています
今後、マンションの値崩れが進み、1、2年は価格調整局面が続くとみられるが、その間、財務的に体力のないデベロッパーの破綻が進み、関係業界の再編にもつながる可能性があります


アメリカの金融界の危機に 19日 アメリカ政府の動きがありました
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 ブッシュ米大統領は19日、声明を発表し、金融機関からの不良資産買い取りなど包括的な金融危機対策を発表した。これに先立ち会見したポールソン財務長官によると、総額数千億ドル(数十兆円)の公的資金を投入する史上最大規模の政府介入になる。大統領は「未曾有の難局に前例のない行動が必要だ」と述べ、「米国経済の転換期だ」と強調、米金融市場の信頼回復に断固とした措置を取る決意を示した。
 必要法案は今週末中に議会と取りまとめて、来週26日の休会前の通過を目指す。大統領は「わが国の歴史で、党派を超えて重大な課題に団結して取り組むときがあったが、今がその時だ」と述べて政府介入の必要性を強調、政策を総動員し挙国一致で金融危機の封じ込めに取り組む姿勢を明確にした。
 対策は、資産価値が劣化して金融システム不安の病巣となった低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)関連の金融商品の買い取りが柱。財務省は総額500億ドル(約5兆4000億円)の基金を設立して、解約が殺到するマネー・マーケット・ファンド(MMF)を保護し、米連邦準備制度理事会(FRB)が資金供給拡大で支援する。さらに、米証券取引委員会(SEC)が、金融株799銘柄を対象に空売りを一時的に禁止する。
 米政府は3月の証券大手ベアー・スターンズの経営危機以来、米政府系住宅金融会社への資本注入、保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)まで個別機関の危機にケース・バイ・ケースで対応してきたが、金融恐慌やシステミックリスク(連鎖破綻の危険)を防ぐには「包括的な行動が必要」(ポールソン財務長官)と判断した。

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このアメリカ政府の対応を受けて 来週 日本の市場がどう動くか とても気になるところです