静かな病棟
最初の内科には結果的に約2週間入院することになった。
大部屋で他に3人入院していたが、部屋の中も外も静かで
夜になると更に静かになり物音一つ立ててはいけない雰囲
気が漂っていた。
看護婦さんも静かに仕事をし、日中見舞いがあっても本当
に静かで全体に重たい空気が流れていた。
夜になると同部屋の一人が唸り声を上げ、ナースコールで
看護婦さんを頻繁に呼び出しては座薬を入れてもらったり
注射を打ってもらったりしていたようだが、他の人が呼び出
したりすると看護婦さんと患者の会話がヒソヒソ話に聞こえ
るので何かいけない事でもしているのではないかと勘繰って
しまうそんな日々が続いた。
僕の担当の看護婦Kさんはマスクで口を覆っていて、その上
でしか判断出来ないのだが、20代半ばで美形なのが分かる。
ただ他の看護婦さんから妊娠中であることを告げられて少し
がっかりしたような気持ちになった。
【そう言えば指輪もはめていたし、少しお腹が膨らんでいる
ようにも見えるな】
などと思いながらこの静かな環境ではハプニングも何も起こ
らず、僕もそれを期待するより病気が治ることに意識が集中
していたのでさして嬉しいことは何もなかった。
ただKさんは経験豊かな人で患部に張り付いたガーゼ交換も
採血も上手くて痛くなく、新人のMさんもKさんを見習ったかの
ように上手だったが、医師や他の看護婦さんでは痛かったりガ
サツだったりとストレスが溜まることが多かった。
つづく