今回はノベライズ版「THEビッグオー パラダイム・ノイズ」の感想を。基本的にネタバレ全開で書いているので注意を。
小説版 THEビッグオー パラダイム・ノイズ
感想とかレビューとか
概要
THEビッグオー パラダイム・ノイズは同名アニメのノベライズ版。全213ページ。作者は「ドッグファイト」にて第2回日本SF新人賞を受賞した谷口祐貴。
ストーリー
記憶を失った街パラダイムシティのネゴシエイター、ロジャー・スミスの元に奇妙な依頼が舞い込む。
マフィアを相手にした「アルカディア」という詩集を巡る複雑な交渉の依頼は、やがて過去に起きた孤児の大量殺戮事件へと繋がっていく。
事件を追うロジャーとドロシーは、やがてその事件の生き残りだった青年イアン・スタンリーと出会い、世界の運命を賭けた戦いへと身を投じることになる。
登場人物
ロジャー・スミス
記憶を失った街パラダイムシティ一のネゴシエイターであり、メガデウス「ビッグオー」のドミナス(操縦者)としてパラダイムシティの平和を守っている。
R・ドロシー・ウェインライト
ロジャーが後見人となっているアンドロイドの少女。
ノーマン・バーグ
ロジャーの執事。小説版ではアニメやコミック版に比べるとハッチャけることがなく、落ち着いた執事してる。
ダン・ダストン
軍警察捜査指揮官。ロジャーの元上司。捜査パートでは活躍するが、戦闘シーンでは無力なのは原作通り。
ビッグ・イヤー
パラダイムシティ内外の事情に精通する情報屋。原作の1.5倍くらい饒舌。この小説でのビッグイヤーによるパラダイムシティの過去を長々と語るシーンは設定の掘り下げとして非常に面白い。
小説版オリジナルキャラクター
レオニード・モックバイン
印刷業者。ロジャーに交渉を依頼する。詩集「アルカディア」を手に入れ、出版したことで何者かに命を狙われるようになる。
バートン・リヴィングストン
パラダイムシティのドームの設計を担当した科学者。ある目的のためにドームの外で孤児を集めて小さなコミュニティを築いていた。
恵まれない子供たちを助ける天才科学者という表の顔と、「40年前よりも過去の記憶」と世界を滅ぼした兵器「ステラ」を所持する裏の顔を持つ。ステラのパイロットになる3人「行使し、思考し、決断する」人間を選出するために子供たちを集めていた。
イアン・スタンレー
パラダイムシティに住む測量技師の青年。恋人の妊娠が発覚し父親になるという人生の岐路に立たされている。友人の死から忘れ去ったはずの過去と対峙することになる。10年前に起きた孤児の大量殺戮事件「アルカディア事件」の生き残りで、「アルカディアのこどもたち」の一人。
かつてステラのパイロット〈誇りにより選ばれた者〉として、ステラを起動させ世界をリセットするか存続させるかを決断する役割を与えられるが、決断を下すことを拒否し逃亡。その忌まわしい記憶を封じ込め平凡な青年として生き続けてきた。
ジョニー・フィールズ
イアンの友人であり、同時にイアンの恋人の親戚で幼馴染み。ドームの外側の闇市にて調達屋として生計を立てている。イアンが測量の最中に見つけた送電ケーブルを買ったことから過去の因縁に巻き込まれ命を落とす。
ルーサー・オバンノン
ドームの外側を支配するマフィア・ロンバルディ一家の幹部。イアンと同じく「アルカディアのこどもたち」の一人だった過去を持つ。
暴力と恐怖により平和だったコミュニティを支配し、子供たちを徐々に犯罪集団に作り変えてしまう。しかしその結果、ステラのパイロット〈力により選ばれた者〉としてリヴィングストンにサイボーグに改造されてしまう。
モニカ・パトリスク
幼い頃のイアンの友人。元は元老院議員の娘でドームの内側に住むお嬢様だったが、アレックス・ローズウォーターによる粛清で一族が失脚。孤児となりドームの外に追いやられる。
「アルカディアのこどもたち」の中でリーダー的な存在だったが、ルーサーにコミュニティを支配されてからは孤立することになる。逆境に屈しない強い意思を持っていたために、〈意思により選ばれた者〉としてリヴィングストンに解剖されステラのパイロットとして生体パーツにされてしまう。
★
感想
ロジャーの元に舞い込む依頼、調査することで判明する40年前の記憶〈メモリー〉に起因する因縁、事件に関係するゲストキャラクターのドラマ、やがて訪れる破壊を振りまく巨大な敵とそれを食い止めるために戦うビッグオー…と、ビッグオーの物語の基本コンセプトを丁寧になぞって作られた作品です。
リヴィングストン博士という、原作アニメで触れられていない『ドームシティを作った者』の物語を描くと同時に、マフィアや闇市といった要素でパラダイムシティのドームの外側の生活を描写する点も設定の掘り下げとして面白いです。
原作のキャラクターたちもキャラが崩壊していることはなく、同時にオリジナルキャラクターたちは大半が不幸な過去や境遇があり、ビッグオーのゲストキャラ(どちらかというとファーストシーズンのゲストキャラ)という感じでした。
特にリヴィングストンに選ばれたイアン・ルーサー・モニカの3人はそれぞれが、人間的な弱さと強さ、凶悪な悪役的カッコ良さ、世界を滅ぼしたいと願う不幸な境遇と、それぞれが非常に個性的な良いキャラをしていて大好きです。
特にルーサーは人の命を何とも思わない外道キャラなのですが、世界を滅ぼせる程の力を得れるチャンスを前に「俺はこの世界で、俺の力を楽しみたいんだよ!」と俺様キャラっぷりを発揮してリヴィングストンに反旗を翻して、結果的にイアンが逃げるチャンスを作り、間接的に世界を救っているダークヒーローっぷりがお気に入りです。
あとモニカは悲劇の発端を作ったのがアレックス・ローズウォーターという点が、アニメ本編の黒幕っぷりを思い出させて良い感じの設定だと思いました。
それとモニカは過去では意思の強さゆえにイアンの好意に気付くことなく自分は一人だと思い込んでいて、再会した時には大人になったイアンと改造され成長できない子供のままのモニカは決して分かり合えない存在になってしまっているというすれちがいが、一つでもボタンが掛け違わなければ悲劇は回避できたかもしれないという無常観で何とも言えない読後感がありました。
同時に、理不尽な運命に対する怒りと子供的なワガママから世界を滅ぼそうとするモニカに対して、我らがネゴシエイターが大人気ない正論を叩き付けながらビッグオーでステラを倒す展開が非常にカタルシスがありました。
ただ作品として気になる点として、人間ドラマに比重が置かれている代わりに、ロボットによるバトルは尺が少なく淡白なのが残念でした。
ラストのステラvsビッグオー戦も戦闘描写が淡々としている(というか231ページ中ラストバトルの描写が13ページ)という短さで、ロボットによる戦いは完全にオマケという扱いでした。
しかしビッグオーの魅力の一つであるドラマや過去に関わる事件が繋がり謎が解かれていく展開の面白さはしっかりと描かれているので、そのような要素(原作アニメ的にはファーストシーズンの雰囲気)が好きな方にはオススメの作品です。
と、つらつら書きつつ終了です。
それでは。
★
今日の追記
というわけで今回は小説版ビッグオーの感想でした。
書こう書こうと思いつつも、ビッグオーに関する記事は書き始めたら何時間かかるか分からないという理由で書かなかった記事ですが、GWだしちょうどいいと思って書き始めたら、結局時間が深夜12時を回りそうでも完成する目処がたたず、とりあえず短くまとめて公開というgdgdっぷり。
なので後々色々追記するかもしれませんが何はなくともご容赦を。
と、つらつら書きつつ終了です。
それでは。
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明日の映画
NHK Eテレ 昼3:00~4:30
「劇場版ジャングル大帝 」
NHK総合 夜7:30~9:10
「ウォーリー 」
フジテレビ 夜9:00~11:10
TBS 深夜2:18~4:20
「リング 」
テレビ東京 深夜3:15~5:00
「キング・アーサー 」
