さて今回は先月発売された「勤しめ!仁岡先生」の5巻の感想を。4巻の感想はこちら 。
5巻のストーリー
子供嫌いな中学教師の仁岡先生と残念な同僚教師や生徒たちの物語もいつの間にやら第五巻。
この巻ではいつものメンバーで体育館にてお泊り会をしたり文化祭でジャージ喫茶をしたりクリスマスに一騒動あったりバレンタインで大騒ぎしたりしながら、物語は相変わらず進んだり進まなかったり。
5巻の新キャラ
料理上手な今江を拉致して文化祭の売り上げ勝負でジャージ喫茶と首位を争った調理部の先輩たち。とりあえずブチャラティカットの子は貰っていきますね。
今江のことを前々から調理部にスカウトしようと画策していたらしいが、今江の対人恐怖症を考慮して最終的には今回もスカウトせずに開放することに。
いつもの面子以外とは人間関係を構築できない今江を成長させられるポジションであると同時に、何気にこの漫画初の上級生キャラでもある。
各キャラの動向
仁岡先生
子供が嫌いな中学教師。生徒たちと掃除の時間に一緒に野球をしたり、勤務時間外のお泊り会に付き合ったりと、相変わらず子供嫌いといいながら良い教師道一直線。
余談だが、1巻の頃は放課後になるとすぐに家に帰ろうとしていたことを考えると本当に丸くなったものである。
浅井
不良に憧れる優等生。本作のヒロイン(のはず)。今回は主に他のキャラへのフォローやツッコミが多く、美術の回とアスレチックの回以外はあまり目立たった活躍はしない。
今江
仲間のいないチーマー。5巻では川崎と死闘を繰り広げたり調理部の先輩に拉致されたりと忙しい。また孤独を何よりも恐れている反面、調理部に拉致された際は人見知りを通り越して軽い対人恐怖症を患っている素振りを見せている複雑なキャラでもある。
前田
性格が少し残念な秀才。5巻でも仁岡を反面教師として道を正したり踏み外したりするが、良い仲間に恵まれているのできっと大丈夫だろう。また普段は見下しているけれど仁岡に対するジャージデレは加速中。
上原
完璧超人なトラブルメーカー。お泊り会や文化祭で相変わらず万能超人っぷりを披露するも、意外に絵を描くことは苦手であることが判明。
しかしお泊り会での自作トランプに書かれた絵はヘタとは言い切れず、ただ単に授業だからやる気が出ないのか、あるいは天性の面倒見のよさが働いて美術が苦手な浅井を気遣ってやる気を出させるためにあえてヘタな絵を書いた可能性も否めない。
委員長キャラに固執する転校生。仁岡の遠縁の親戚。相変わらず黒髪のカツラに伊達メガネを装備し、鉄パイプ常備で学校を闊歩するという客観的に見ると一番の変人。
5巻では今江と戦ったり河原姉弟に振り回されたりと表紙に抜擢されるだけあって一番目立っているキャラである。
福盛
上原に好意を抱く元一般人。現在は立派に残念側の一員。文化祭ではサッカー部代表として仁岡とリフティング対決をすることになるが己の煩悩に敗北する。
福盛に代わって登場の一般人ポジション。のはずが扱いが残念なキャラだった。
女子バスケ部代表として文化祭で仁岡とフリースロー対決をする。『真面目な努力家だが本番に弱い』という真面目な設定がついたが、この漫画の中では個性と言えないほどの地味な個性である。
行動が残念な体育教師。5巻でも相変わらず仁岡への好意を実力行使でぶつけてくるが空回り以外の結果は生じない。
また仁岡同様に残念な行動に目をつぶれば非常に良い教師であり、人付き合いの苦手な今江を影ながらフォローしていることが判明する47話は個人的にお気に入りの話。
思考が残念な英語教師。ナルシストでシスコン。5巻では自分の美を表現するために英語だけでなく美術教師の免許も取得していることが判明。
授業内容は分かりやすく、指導は的確と相変わらず姉や仁岡に似て残念な思考に目をつぶれば良い教師である。
存在そのものが残念な変態。行動の全てが打算で今までいいところが一切なかったが、5巻では初めて生徒たちのために無償の労働を行い俺の中で好感度急上昇(劇場版ジャイアン効果の可能性も否めないが)。しかしその後のバレンタイン話ではいつもの変態に戻っていて一安心。
この巻の見所
この巻の個人的な一番の見所はクリスマス&バレンタインという二大恋愛イベント。
バレンタインでは仁岡に好意を抱く浅井、今江、川崎という生徒側の恋愛模様が描かれ、
過去の思い出と現在の委員長(キャラ)に固執する川崎の仁岡先生に対する複雑な感情が説明される。
余談だが、テンパッた際に出る素の口調と普段の委員長キャラ口調とのギャップに吹いた。
またクリスマスの回では河原先生と仁岡先生の攻防を通じて教師側の残念な恋愛模様も描かれ、相変わらず手段が残念すぎる河原先生のアタックが堪能できる。
この回は放課後の教室に二人っきりという絶好のシチュエーションなのに、相変わらず恋愛関連のイベントになるとテンパって失敗する河原先生とそれに巻き込まれる仁岡先生の不毛な関係が見ていて非常に微笑ましい。
そもそも、この二人は、
河原先生は容姿だけではなく仁岡先生の性格も好きなのに、
当の本人は自分の性格を好きになる人間がいるはずがないと思っていて、
河原先生の容姿は年上好きの仁岡先生にとってドストライクなのに、
当の本人は知らずに自分の容姿に絶対的なコンプレックスを持っているという非常に残念な間柄。
このお互いの欠点を背負ったゆえの残念すぎるすれ違いと一向に進展しない不毛な関係が「ガールフレンド」、「リトルラバー」、「仁岡先生」、「球欠鬼デルトロ」と作者の全ての作品に流れる一貫したテーマである『コンプレックスや理想と現実とのギャップに苦しむ人々』を明確に表していて、実にこの作品らしいラブコメ展開をしてて微笑ましいと思うのです。
この漫画は基本ドタバタコメディなので誰と誰がくっつくという最終回はないだろうけれど、亀の歩みの如く各キャラクターが成長していく物語だけに、登場人物たちの関係性の変化など続きがますます気になる作品です。
後半は恋愛関係の感想ばかりになりましたが、この巻は調理室で料理を作って体育館で眠るという合宿の話や、文化祭の準備や当日の模様など、学生時代の懐かしさを感じさせてくれる学園モノとしても非常にいい感じの巻でした。
また本編の面白さもさることながら、カバー裏の表紙漫画に加えて仁岡先生の高校時代を描く「落ち着け!仁岡くん」の続編や仁岡先生とは特に関係がない読み切りマンガ「球欠鬼デルトロ」などオマケ漫画も充実している一冊になっているので非常にオススメの作品です。
と、長々と書きつつ終了です。
この記事は本当は二つに分ける予定で書いてた記事を一つにしてしまったので、後々また書き直してやっぱり二つに分けるかもしれませんが何はなくともご容赦を。
あとオマケ漫画の仁岡先生の過去話の感想や個人的に好きな47話の感想も長すぎてカットしているので後々個別の記事にするかもしれませんが、予定は未定で(略)。
それでは。
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今日の記念日
本日6月15日は1950年に初めて「暑中見舞用郵便葉書」が発売されたことに由来する暑中見舞いの日です。
また1951年に「信用金庫法」が公布されたことに由来する信用金庫の日でもあります。
画像は信用金庫(2回目)。
明日の映画
テレビ東京 昼1:30~3:35
「フィラデルフィア 」
テレビ東京 夜9:00~11:00
「沈黙の艦隊 」
主演:スティーブン・セガール