ah〜自作のラウドスピーカーは〜、意外に高い高いよ〜、びっくらこいた〜びっくらこい〜た〜だった件
オーディオをDIYする意義とは?以前も書いたことがありますが、自作スピーカーって、コスパは決して良くありません。DIYと聞くと、やっていない方々には何となく安く済むようなイメージを持たれると思うのですが、現代においてはほぼ幻想です。工業製品の圧倒的なスケールメリットや生産性と比較すれば個人の自作なんぞに勝ち目はありません。ただしラウドスピーカーも大型機&超ハイエンドになってゆくほどに、逆にコスパは悪くなります。手作業の比重が多くなり輸送費も想定外になり。つまり、人的コストの上昇によって部材コストを製造コストがどんどん上回り、スケールメリットもゼロになり、指数関数的にコスパが悪くなります。したがって、ある投資を境にコスパの逆転現象が起きるポテンシャル(あくまでもポテンシャルね)が生まれます。そりゃ、安く買ってきたフルレンジをそのへんの空き箱に適当にぶっ込んだような作例ならば、確かに投入コストは安く済みます。しかしそういうものは「安い」と言うのであって、「音質的なコスパが高い」とはとても言えないでしょう。10万円未満のコスト投入しかしないのであれば素直に高評価の市販ラウドスピーカーを買ってきてしまった方が音質的なコスパがよくなります。新品が無理でも程度のよい中古がスコープに入ってきます。では、どうしてDIYなんてするのか。これはもう業というか性というかエゴというか、そういうものです。どこぞの得体の知れないエンジニアが大した知識も経験値もないのに適当にでっち上げて特性も実際の音も悪い市販製品なんて我慢がならない。隅から隅まで自分の思い通り(=設計思想)にできていないと我慢がならない。そうした他人任せにしたくない/したくとも出来ない超エゴイスティックな人だけがDIYをするのであり、それでいいんです。DIYerのみに許される、アンバランス感覚例えば、少し前にいじっていたKENWOOD LS-11ESを例にとると:『LS-11ES(16) 新パッシヴXoverが完成ですよ?』KENWOOD LS-11ESを骨までしゃぶりつくすシリーズ〜前回に引き続き、新クロスオーバーの回路を組んでいきましょう。クロスオーバーボードの完成前…ameblo.jp私は、市価56,000円のラウドスピーカーに対して、45,000円ぶんのXoverパーツを導入しました。どこのメーカーがそんなバカげた/アンバランスなコスト投入をするでしょうか?(いやしない。)しかも、この45,000円というコストですが、私は一切の妥協を廃しているのか?答えは否です。妥協しまくって45,000。クロスオーバーに一切の妥協をしないと、3wayのコスト投入は20万円を越えます。5万円相当のドライバーや箱に、20万円のクロスオーバーコストを掛ける。ナンセンスです。しかし、この極端さ/アンバランスさ/ナンセンスな徹底こそが、DIYerだけに許された特権なんです。個々人の指向や思想に応じて、どんなに偏っても後ろ指さされることはない。変態的なこだわりや探究も可能です。そこにはバランスを優先した市販製品では許されないブランクエリア/ブルーオーシャンが生まれます。クロスオーバーを例に出しましたが、私には300万円の市販スピーカーでさえ、Xover回路は妥協とコストダウンが見えています。日本では余り見かけませんが、海外のDIYerは極端なので、そうした狂気の横溢が見られます。市販製品では許されないコスト投入、規模、着想の作例をたくさん見ることができます。皆さんが敬愛するハイエンドベンダーのDavid Wilsonも、Gianfranco Serblinも、元はただの、(多少探究心豊かな)趣味のDIYerであったことを忘れてはいけません。メーカーまで興してしまうのは、壮大なエゴの発露です。マトリクススピーカーに投入した「アンバランス」コスパが悪い。と、書いておきながら、実はMX-1000Hで狙っているアンバランスのひとつは「コスパ」です。珍しくコストがはみ出さないようにという至上命題を自分に課しています。もうひとつのアンバランスは、市販製品にはこんなの無いよねという、構成面でのオリジナリティです。とはいえ、マトリクス概念/技術そのものはその辺の市販ノートパソコンであったり、市販テレビサウンドバーなどの中には入っているもので、凡庸です。しかしそれをHi-Fi畑に引っ張り出して品位を上げるということと、もうひとつは従来のマトリクススピーカー/コンパクト一体型では実現不可能だった超ワイドレンジに挑む、というところが自分流の「アンバランスポイント」でしょうか。バランスアンプ(アキュやサンスイ)では鳴らせないところも、市販品では許されないアンバラポイントでしょうか?(アンバラなだけにね!)『MX-1000H (1)コンセプト、パーツリスト』MX-1000 Hommage (以後略してほまげ?)の設計制作を開始します。ここからは連番で設計と制作のプロセスを、一切のギャグ無しで冷徹に記録していきま…ameblo.jpコストを課題に課しました。とかいいつつ、今回のコストは76,000円ですか??う〜ん、微妙。76,000円も有ったら、けっこうマトモで素晴らしい市販品が買えてしまいます。MX-1000Hへの投資価値が本当にあるのか、微妙。音質だけを考えるならね。拠り所としては: 76,000円出してもこんな変なモノ(妙な音?)は売ってないよねということと、 76,000円でこんなに低域が伸びたシステムは現存しないよねという2点だけです。それと、私的には「とにかく作ることは愉しい」。やはりそこに尽きるかな。創る喜びに対価を払っているという言い方の方がしっくり来ますね。これは立派なレクリエーションなのです。プラモの完成品なんて買いたくないでしょう?自分で美麗に仕上げるから楽しいのです。見落としがちな雑コスト前置きが長すぎました・・・。 ようやく今日の本題です。「自作スピーカーは安く無い」なんで安く済まないのか?その原因の一端をご紹介します。本日は、前記、「76,000円」算出には含まれていなかった、ぼんやりした雑コストを算定していきます。その、衝撃的結末に、脂汗が吹き出してきます。まずは接着剤から。これ1本で2,600円もするのですよ。高くなりましたね〜タイトボンドも。しかも、残量は20%程度です。新品満タンから使い始めましたので、なんとあの小さなスピーカー1本だけで、タイトボンドを1本吸い込んでしまった事になりますね!!接着部位が多かったものな〜。ウレタンニス。これ1本で4,400円くらい。良く見ると残量は25%くらい。それに、これを開ける前は余っていた他のニスを内部へたっぷり投入したので、あの小さなスピーカー1本で、この巨大なウレタンニスを丸々1本吸い込んでしまったことになります。信じられませんよね。暑い真夏にニス塗装して蒸発したのかもしれません。それと、実はこのニスの多くはウェスに吸われて、焼却炉行きとなってしまったわけです。なんとも勿体無いお話ですが、塗料とはそういうものですね。余った分をボトルへ戻してもよいのですが、品質劣化しているので私は嫌です。ジョイ本で買った、ニスはけ2本。これだけで750円以上、します。よくこの2本だけで最後まで持ったもんだ。高い刷毛は、やはり品質も良いようです。感覚、百均刷毛の10倍〜20倍長持ちします。サンドペーパーも値上がりしました。組み立て時の粗目と、仕上げ時のウェットペーパーで、ざっくり1,500円というところでしょうか?プラサフはこれから吹きますが、1本じゃ足りないでしょうねえ。690円x2今回のボディ部は、ザラメ石調を狙って、ベースはこれで行きます。960円。その上の上塗りは、こいつらです。安い。440円。ボディとベースはツートンですから、2色用意します。まずベースはホワイト。1,100円。上塗りはグリーン。これは廃盤商品らしく、大型300mL入りが売ってません。なので1,011円x2上からクリアを吹きます。こいつは1本で収めたい。840円。吸音材は、ニードルフェルトとアクースタスタッフを少々。価格にして1,000円〜1,500円位かな?それから、未だ購入はしていませんが、ねじビスの類が全く足りません。かなり買い足しせねばならず、それが1,500円程度として・・・さぁさぁ、雑費のリストアップが終わりましたよ。電卓を弾いてみます。チーン。17,592円 (大爆笑)追加持ち出しは3万円に収めるんじゃ無かったのかよ足が〜出た出た、足が〜出たぁ〜おあとが宜しいようで...。こうした雑費については「見ないふりをする。」これこそがDIYの奥義です。誰ですか?自作が安いとか言ってる人