文楽「曽根崎心中」。 | つれづれパリ日記

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パリでの日常-マルシェ、お食事、ファッション、バレエ、スポーツ、読書など、日々のささやかな幸せを丁寧に綴っていきたいです。

そもそも「文楽」ってなんだったかしら
ということで調べてみると
本来は人形浄瑠璃専門の劇場の名前だったのが
現在は
日本の伝統芸能である人形浄瑠璃を指す代名詞となっているそうです


スペイン、マドリードでの2回公演
イタリア、ローマでの2回公演を経ての
「Sugimoto Bonraku Sonezaki Shinju」パリ公演を
観に行って来ました


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公演会場は
Chatelet駅近くのTheatre de la Ville、
パリ市役所からすぐの会場でした


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劇場の先には
セーヌ川沿いのシテ島に建つ
マリー・アントワネットが幽閉されていた
ゴシック様式の建物コンシェルジュリが見えました


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パリでは11回公演されるとのことで
千秋楽を観に行ってきたのでした


「Sugimoto Bunraku」とは
先日展示会を観に行った
杉本博司氏が演出を手掛けた演目とのこと

→先日の「BOUCHERON」での展示会の様子はコチラ

人形浄瑠璃は
確か、中学生くらいの時に
学年全体で観に行ったことがあったような...

曽根崎心中
近松門左衛門
人形浄瑠璃
くらいは聞いたことがありますが
全く、内容が記憶に残っていなかったのでした


「曽根崎心中」
1703年近松門左衛門作

竹本座初演の人形浄瑠璃・文楽。のちに歌舞伎の演目にもなる。
相愛の若い男女の心中の物語である。

「此の世のなごり。夜もなごり。
死に行く身をたとふれば、あだしが原の道の霜」
で始まる有名な道行の最後の段は
「未来成仏うたがひなき恋の手本となりにけり」
と結ばれ、お初と徳兵衛が命がけで恋を全うした美しい人間として描かれている。
(出典:フリー百科事典Wikipedia」より)


(写真はお借りしました)

頭と右手を担当する主遣い、左遣い、足遣いの3人で
人形を操っていて
人形の仕草や表情
着物の妖艶さ
登場人物を語る太夫
三味線の音色など
大人になってから改めて観た人形浄瑠璃は
とても興味深いものでした


曽根崎心中は
大阪堂島新地天満屋の女郎はつ(本名、妙)と
内本町醤油商平野屋の手代(=番頭とでっち奉公の間に立つ使用人)徳兵衛が
西成郡曽根崎村の露天神の森で心中した事件を題材にしている、とのことで
人々の話題に登った事件が
人形浄瑠璃「曽根崎心中」として流行ったため
来世で二人の愛が結ばれることを誓った心中事件が多発し
江戸幕府は1723年より
上演や脚本の執筆や発行を禁止するとともに
心中者の一方が生存した場合は極刑
双方生存の場合は晒し者にしたのち市民権を奪い
心中した遺体は親族に渡さず葬儀も禁止するなどの措置を取ったそうですが
その後も民衆の間での心中は流行したということです


太夫と三味線の上に
フランス語字幕も出ていましたが
フランス人は日本人の心中という心理を
どう読み取ったのでしょうか。

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人形の表情や操りをよりよく見えるように
友人に、前のほうの席を確保してもらいました


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二幕に分かれていて
幕間は約30分


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「曽根崎心中」あらすじ:
女郎お初と醬油屋手代徳兵衛は愛し合う仲で
徳兵衛は叔父の醬油屋で丁稚奉公をしてきたが、
誠実に働くことから叔父の信頼を得て
叔父の娘を徳兵衛と結婚させて、お店を持たせようとの話が出た。
徳兵衛はお初がいるからと縁談話を断ったが
徳兵衛が知らない間に叔父が徳兵衛の継母と話を進め
継母は結納金まで受け取ってしまう。
それでもお初のために結婚話を固辞する徳兵衛に、叔父は勘当を言い渡し
徳兵衛は継母からやっとのことで結納金を取り返すが
そのお金を
どうしても金を用立てなくてはならない、3日で返すという友人九平次に
一旦貸してしまう。
九平次に返済を迫ったが、公衆の面前で
証文の判も無くしていたもので、借金など知らぬ、と
逆に詐欺師扱いされ、面目を失ってしまう。

兄弟と呼べるほど深い情で結ばれていると信じていた九平次の裏切りに
死んで身の潔白を証明する以外の手段を思いつかない徳兵衛は
日が暮れてからお初のもとを訪れる。
お初は徳兵衛を縁の下に隠し、
そこへ九平次が客としてお初の所へ現れる。
九平次が騙し取ったお金の話をお初にしていることに怒りで身を震わせつつ
縁の下に身を潜めていた徳兵衛は
九平次が帰ってのち、お初に死ぬ覚悟を伝える。
真夜中になり、お初と徳兵衛は曽根崎の露天神の森へ向かい
お互いを一枚の布で縛り
徳兵衛が短刀でお初の命を奪い、返す刀で自らの命を絶った。

徳兵衛と油屋九平次の身分の違い
詐欺師扱いされたこと
大事な金を奪われた上に勘当されて行き場の無い徳兵衛
こういう結末しかなかったのか、と
古の時代に思いを馳せたのでした。


パリにいながら
日本芸術に触れた
週末の秋のひとときでした