この曲、
本来はあまり私の好みでは無いけれど、
この方が弾いてるのは好き過ぎてわざわざiTunesで単曲購入したことがあります。
スピードと、煌びやかさ。
しかし、
こういう弾き手ほど生演奏では穏やかな曲で私を虜にしたりする。
基本的にコンサートでは自作の曲を披露なさる方なのですが、
一曲目に一番感動して、
涙まで出て、
でもプログラムとかがあるわけでもなく途中の曲紹介でも前半の曲の名前は言ってくれなかったので、
彼のアルバムをある程度さらったのだけれども同じ曲は見つからなかった。
一曲目は、
元々そこに自然に在るべくして在るような音楽だった。
そこに風が吹いたような、
光があるような、
スッと来た鳥が鳴いたような、
人間に聞こえる嵐の音がいつもあの音のような感じに、
自然で、
揺るぎない安定と力強さがあると言うか。
帰りの電車で、
「今日弾いた曲のタイトル、全部教えてくれませんか」
とメッセージで頼むと、
全部教えてくれて、
そして、
「いくつかはまだ発表してない」
と言ってくれていた。
一曲目は、
やはりYouTubeなどには上がっていなくて、
"Arcobaleno"という曲だった。
調べたら、
「虹」
という意味だった。
私が受け取った印象は、
ほぼ正しかったことになります。
虹は、
かかるべきときにしかかからない。
彼自身は英語が不得意で、
終演後ちょっとお話出来たときも本国から連れて来た通訳さんを介してだったし、
メッセージもイタリア語で送られて来るので一回一回翻訳しながらやっているけれども、
音楽は一発で通じ合ったんだな、
と嬉しくなった。
また、
このような方と触れると思うのが、
「男は火星人で女は金星人、と考えた方がいいくらいに男と女は違う」
と言っていた人がいるのですけれども、
そこに加えて「音楽家は木星人くらいに違う」
と私は考えています。
異性に対して独特のシャイ具合が、ある。
でも、すごく納得はいく。
色々な意味で。
私も正直、
性自認が生涯を通してよくわからなくてかなり悪い意味で混乱していて、
ゆえに夫とも何年もの間意思疎通が上手く行っていなくて、
私も木星人になり切りたい、
木星人といると一番幸せ、
現実なんて嫌だ、
と考えてしまった。
あちらから「一緒に写真撮ろう」と言ってくれて、
最後にハグしてほっぺくっつけ合うアレをやって別れたのですけど、
あぁ、在日外国人ではなく普段外国に住んでる外国人の匂いだなあ、
って感じの香水の香りがまだ自分の頭あたりからする。
一回ハグしただけなのに。
恋のようにキュンキュンなって大変、
というめんどくさい感情ではなく、
「一流の木星人と触れ合えた残り香」
が幸せでたまらない。
私が今日聴いたのはピアノソロバージョンでしたが、
この曲を聴いているときに思ったのは、
「子ども時代は、かくあるべきなのか」
でした。
また、十数年前に同じ場所にいた自分の存在を、
またはっきり感じました。
そういう場所にこそ、
こういうピアニストさん達が、
弾きに来てくれるんだなあ、
と思いました。
二度あることは、
三度あるかも知れませんね。