●どこにでもある花と家紋
着物きらくです。
卒業式関連の着付けで、多摩川土手を通っていたのですが、通りいっぱいに咲いている花が春の暖かさと相まって、和ませてくれました。
ハマダイコンの花
調べるまで名前も知らない花でしたが、絨毯のように土手を埋め尽くしていて、今でいうところの“映え”スポットとでも言いましょうか。
それは綺麗な景色でした。
別の日には散歩中の足元に目をやると、日本中のどこにでもあるこの黄色い花に気が付きました。
片喰(カタバミ)
この植物、実は家紋の起源に大きく関係していると言われているそうです。
紋章上絵師(もんしょうわえし)の方がそっと教えてくださったのですが、
「どこの家にも自然と咲くこの黄色い(幸せの象徴のような)花が、子々孫々、ずっと平穏に続きますように。」
その思いから作られたのが家紋の始まりで、庶民から始まった説というものがあるそうです。
いかにも華やかで派手な花ということではなく、どこの家にも咲いている片喰の花に思いを重ねるところが、いいですよね。
本当だとしたら、素敵なエピソードですよね。
どこにでもある花と言えば、菜の花も春の早い季節に見かけますが、かの千利休も生涯菜の花を愛していたと言われています。
お茶のお稽古では利休先生が描かれた掛け軸と菜花が活けられていました
千利休の命日である旧暦2月28日に近いお稽古日でしたので、基本のお稽古の後に利休忌を行ったためです。
菜の花を飾るのは、切腹の日の茶室に飾られていたためとも、利休が生涯菜の花を愛したため、とも言われているそうです。
どこにでも咲いているような花を好まれていたことには意外な感じがしましたが、贅沢を好まない利休先生の在り方と日本人が片喰を家紋の始まりとした家紋起源説がリンクした瞬間でした。
家紋も時代ともに段々と小さくなり、今では省略されることも増えましたが、知れば知るほど家紋の持つ奥深さに気づかされたのでした。
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