今日は「靴の日」だそうなので、17〜18世紀バロック絵画に描かれた紳士の靴に注目してみました。
この時代の男性ファッションは足を強調するスタイルで、靴も目を見張るデザインがいっぱい!
リボンやレースにハイヒールなど、現代では女性的とされるものが最新の流行ファッションで、豪華な靴や奇抜な靴もよくみられますね。
その中からリボンとポンポン、へんてこブーツに分けて集めてみました。
リボン
マルティン・ファン・マイテンス《ヴィットーリオ・アメデーオ2世》1728
17世紀に大流行したリボン。男も女も服にも帽子にも靴にも飾り付けた。
小ぶりなものからフッサフサなものまで多種多様に、服やタイツと色・形状も完璧に揃えてあり、とても華やかです。
作者不詳《サヴォイア公 カルロ・エマヌエーレ2世と思われる肖像》17世紀 アルテ・ピナコテーク
ジャン・ノクレ《ルイ14世》1668
一際高いヒールに、やたら横長のリボンは、おしゃれ番長ルイ14世の靴。
ペルシャの騎兵が履いていたハイヒールがヨーロッパに持ち込まれ、朕は国家であり太陽王でありヒール大好きっ子であったルイ14世の影響で流行したとされる。
貴族男子たるもの、ハイヒールでみめうるわしい脚線を見せることは当時、男らしさの象徴だった。
絵画でも、妙に足を強調したポーズとか多くて面白い。
シモン・ピーテルスゾーン・フェレルスト《チャールズ2世 (イングランド王)》c.1670-1675
ヒールは高いほど、そして赤いほど良いとされた。
高いかかとは敵を踏み潰す力を示し、赤色はその色を汚さないほど高貴な暮らしをしている証。(ちなみにルイ14世は、赤色のヒールはお気に入りの者しか履くのを許さなかったとか)
ルイ・ド・ブローニュ《ルイ・アレクサンドル・ド・ブルボン (トゥールーズ伯)》1693
ジョン・ド・クリッツ《ジェームズ1世 (イングランド王)》c.1605
ポンポン
ウィリアム・ラーキン《第3代ドーセット伯爵リチャード・サックヴィル》1613
第3代ドーセット伯爵も、服にほぼ全財産を注ぎ込むほどのファッショニスタ。
なかでも靴は特別で、金のレースで作ったポンポン靴などを愛した。
このポンポンはバラらしいです
リボンをポンポン状やロゼット状にあしらった靴が当時流行し、大変高価だったそうな。バラ1足で、当時の平均的家庭の収入1年分くらいもしたとか。
ダニエル・マイテンス《ロバート・リッチ (第2代ウォリック伯)》1633
ウィリアム・ラーキン《リチャード・サックヴィル 第3代ドーセット伯爵》1613
ロゼット系。主張が強い円。
ウィブランド・デ・ヘースト《Wytze van Cammingha》1634
レンブラント・ファン・レイン《マーテン・スールマンス》1634
円。あと布の余剰がすごい。もうカーテン。
作者不詳《ヴィルヘルム・ケトラー》1615
キャベツとシュモクザメ
この頃のブーツは、履き口がガバガバなものがよくみられる。
そのガバにレースをもりもり飾りつけ、キャベツのようだ。
キャベツ。
Frans Luycx《Ferdinand Charles, Archduke of Further Austria》1648
キャベツ。
作者不明《Nils Lange til Fritzøe》c.1640s source
めっちゃキャベツ。
アブラハム・ヴュヒターズ《クリステン・スキールとビルギッテ・ローゼンクランツ夫妻》 c. 1650
勝手にキャベツにしてますけど、調べたらバケット・トップ型と言うっぽいです。
乗馬時には膝まで伸ばしてじょうご型に、タウンユースではバケツ型に折り下げて履くキャバリエブーツ。
レース部分は、ブーツホースというストッキングみたいなものを着用してるらしいんですけど、布だらけでもはや何が何だか。
あと、足首の前側らへんについてるピラピラはなんですか?シュモクザメみたい。
ルイージ・ミラドリに帰属《男性の肖像》
調べてきました。バタフライという拍車を留めるストラップらしいです。サメじゃなくて蝶々でした。
シュモクザメ。
アンソニー・ヴァン・ダイク《ジョン・ステュアート卿と弟バーナード・ステュアート卿の肖像》c.1638
サメ。
アンソニー・ヴァン・ダイク《アンリ2世 (ギーズ公)》c.1634
などなどでした。
へんてこデザイン見てニヤニヤするだけのつもりが、思いのほか調べ甲斐があり過ぎて時間が足りない今回はこのへんでもいもい
写真でたどる 麗しの紳士服図鑑 [ リディア・エドワーズ ]
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Featured Image: バルトロメウス・ファン・デル・ヘルスト《ルーロフ・ビッカー隊の肖像》1639
参考:Boothose(Wikipedia), The Tavern Knight's Barracks, Real Pirates, Fashion History Timeline, 1600–1650 in Western fashion(Wikipedia)