特別展「やまと絵展ー受け継がれる王朝の美ー」@トーハクの続きです。
今回は、楽しかった絵巻を色々メモです。
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信貴山縁起絵巻 飛倉の巻
実在した僧侶の奇想天外ストーリー。
国宝「信貴山縁起絵巻 飛倉巻」平安時代・12世紀 奈良・朝護孫子寺
鉢が空を飛び、大量の米俵が宙を舞い、それに驚く人々など、珍妙でコミカルな画面が楽しい飛倉巻。
終始、なんで!?って状況で好き🤣
信濃国の命蓮という法師が、神通力を使って長者のもとに鉢を飛ばしてお布施を受けていたが、托鉢を嫌に思った長者はその鉢を米倉に閉じ込めてしまった。
すると鉢は倉ごと飛んで、命蓮のもとに米俵を届けたそうな🌾
伴大納言絵巻 巻上
国宝「伴大納言絵巻 巻上(部分) 」伝常盤光長筆 平安時代・12世紀 出光美術館
ダイナミックな場面や野次馬たちの表情も豊かだけど、余白・空白がとても面白くて好き!
たとえば、↑の炎と群衆の間にぽっかり空白があることで、いっそう差し迫る緊張感がしてくると思う。
より効果的に見せるためカメラのようにアングルを変えて描かれた場面同士を、余白が違和感なく繋げ、それぞれの迫力を独立して保っているような感じ。
あと、謎の男のところ!
霞の切間に、屋根の先がちょこっとだけ描かれているのが面白い。
まるで描き途中みたいで、唐突さがシュール。
しかも、これだけでスッと場面が切り替わったのがわかるのカッコイイ。映画のフェードイン/アウトみたい。
渦中から離れ音も遠のき、静かに空気が変わる。そこにひとり佇む人物の存在感も暗示的。
映像編集でいうトランジションみたいなことを、一枚の画面上でやっている!
描くものをすっきりと省略しつつ、場面の変化や時間の経過を表せる「すやり霞」。便利でユニークな技法ですね。
余白が余韻や予感を醸し、見る者はその気配によって想像を掻き立てられることで、臨場感・没入感を増す。
そのような、精緻な写実性などとはタイプの異なるリアリティが日本では好まれてきたのかなと思います。あはれ。エモ。
地獄草紙 勘当の鬼
人々が来世を願い、地獄を恐れた平安時代、地獄絵もよく描かれた。
重文「地獄草紙 勘当の鬼」平安時代・12世紀 福岡市美術館
鬼がお坊さんを背負って逃げている謎の状況🤣
仕えていた毘沙門天から勘当された天邪鬼が、同じく追放され地獄に堕ちた僧侶とつるんでさらに悪さをしたのが見つかり、逃げているところ(背負った僧侶が人々には浮いているように見え、尊崇を集めていたらしい)。
しかもこの後、坊さんを見捨てる鬼。最低。笑
辟邪絵 神虫
古代中国に伝わる神獣「辟邪」にまつわる説話。
国宝「辟邪絵 神虫、毘沙門天像」平安時代・12世紀 奈良国立博物館
巨大な虫の姿をした神虫は、災厄や疫病を退散させる善神。
悪い疫鬼を朝に3000、夕に300も食べて退治する!
土蜘蛛草紙絵巻
福富草紙