国立極地研究所「南極・北極科学館」のつづき、その3です。

 

今日は南極・北極に生きる生物たちと、極地の温暖化についてメモします。

今回で最後にしたいので、またちょっと長文ねじこみます。

 

 

▼前回はこちら


 

 

 

南極・北極の植物

 

世界最果ての花、ナンキョクコメススキ。

 

雪に覆われ低温で乾燥した南極では、花を咲かせる植物は2種類だけ。

もうひとつはナンキョクミドリナデシコ(展示外)。かわいいニコニコ

Image Credit: Liam Quinn via Wikimedia Commons

 

 

コケボウズの赤ちゃん(左上)と、湖底に広がるコケボウズ。

 

コケと藻とバクテリアが円錐形に固まったもので、昭和基地のまわりの池にしか見られない。

大きいもので高さ80cmほどのモコモコが、湖底に森のように広がっている。

80cmに育つまで千年かかる。写真の赤ちゃんは高さ15cmなので、生後約200年。

 


極域代表・オオハリガネゴケ(左)極域代表・カギハイゴケ(右)
 

 

 

 

南極の動物

上)ライギョダマシ:全長175cm、体重80kgにもなる、南極海で最も大型の魚。


左)ボウズハゲギス:水温が-2℃近くになっても体が凍らない不凍物質をもつ。


右)コオリウオ科の魚:脊椎動物で唯一ヘモグロビンを持たず、血が無色透明な「白い血の魚」。その理由は不明も低温環境での適応のためか。(ウロコがない・酸素を体表からも取り入れられる・心臓が大きい等の血液に関連すると思われる特徴も。

 

 

 

ウェッデルアザラシ:地球上で最も南にいる哺乳類。氷をかじって海への出入り口を作る(左)。定着氷上でのんびり(右)

世界のアザラシの半数以上は南極にいる。北極のアザラシは、南極と違って捕食者がいるので警戒心が強い。

 


右からコウテイペンギンアデリーペンギンとその雛。

後方にいるモコモコは生後3週間ほどの雛。

 

 

左)ユキドリ:岩場の隙間などに巣を作る。主に魚を食べる。かわいい。


右)ナンキョクオオトウゾクカモメ:ペンギンの雛や卵を狙ったり、「盗賊」の名のとおり他の鳥の獲物を横取りしたりする。アザラシの死肉やユキドリを食べることも。環境省なんきょくキッズ

 

 

北極の生物

左)ホッキョクギツネ:かわいい顔して海鳥の巣を狙う天敵。なんでも食べる。北極圏のツンドラ域に広く分布、よく足跡も見つかるらしい。


右)ウミガラス:得意の潜水で小魚やイカを獲る。別名「北のペンギン」。

 

 

左)エトピリカ:アイヌ語で「くちばしが美しい」の意味。北日本を含む北太平洋に広く生息。


右)ツノメドリ:潜水して魚を獲る。水中でも羽ばたいて進む。

 

 

地上最大の肉食動物、ホッキョクグマ。

主食はアザラシ。海氷減少にともない絶滅が危惧されている。

海氷の減少は温暖化もさらに加速させる。極地の変化は、海流によって地球全体に影響を与えている。

 

 

 

 

どこよりも早く温暖化する極地

 

北極の温暖化については、館内で上映していたこの動画も興味深かったです。

 

それによると、北極の氷がとけると日光が直接海に届く右矢印ますます氷がとけて海水温度が上昇する右矢印水温が上がると海流がズレる右矢印さらに上空の気流も低気圧も北へズレて、偏西風が蛇行する右矢印暖かい空気が北極海へ流れやすくなり、海が暖まり氷が減る。

一方、そのズレによってユーラシア大陸には暖かい空気が入りにくくなり、寒くなっていく。こうした大陸の寒波が日本にも届く…温暖化で寒くなる仕組みはこのように考えられているようです。

 

画像:【極地研公式】#114 遠くて近い北極 ~急変する北極の環境と日本~よりスクリーンショット

 

また、融解の原因は暖かい大気だけではなく、氷の上に微生物が作り出した汚れ(クリオコナイト)によって、氷の表面が黒っぽくなり太陽光の吸収が高まることで氷がとけやすくなる、という現象も起きているとのこと。

 

 

こちらは南極大陸の模型と、その下に広がる陸地の模型

南極大陸を覆っている厚い氷の下は、こんな地形になっているんですね!

 

「温暖化によって氷が解け出している」というのは、実はこの氷床の下の部分にある氷が問題だそうです。

 

↑の動画にもあるように風の流れが変化したことによって、温かい海水が氷床の下に流れ込み、氷が下から解けている

なぜ風の流れが変わったのかといえば、温暖化によるもの。

しかし温暖化現象とは色々な要素が絡み合って起こっているもので、どれが原因と一口に特定はできず、けれどその中でひとつひとつできることをしなければならない。

 

 

この模型のところでは、南極観測隊員を経験されたスタッフの方が説明してくださり、色々と質問にも答えていただき、とても面白く勉強になりました。

映画『南極料理人』のお話も出てきて、モデルとなった隊員の方のエピソードなども聞けたのも楽しかったですペンギンもいもい

 

 

 

雪の結晶ざっくり北極と南極の違い雪の結晶

北極の特徴 南極の特徴
大陸に囲まれた「海洋」 海洋に囲まれた「大陸」
浅くて広い大陸棚 深くて狭い大陸棚
北極海の面積:約1200万㎢ 南極大陸の面積:約1390万㎢
海氷:海水が凍ったもの(厚さ数m)
→とけても海面上昇しない
氷床:雪が凍ったもの(厚さ数千m)
→とけると海面上昇する
多くの定住者(北極圏の大陸や島) 定住者なし(どこの国の領土でもない)
白夜と極夜 白夜と極夜(季節は北極と逆)
年平均気温:-3.5℃ 年平均気温(南極点):-49.4℃
ペンギンいないペンギンNG ペンギンいるペンギンOK
シロクマいる🐻‍❄️OK シロクマいない🐻‍❄️NG

参考:北極域研究