天皇陛下は、きょう23日、61歳の誕生日を迎えられました。誕生日にあたって、天皇陛下は、コロナ禍に直面する人々への思いなどを述べられました。

天皇陛下は、誕生日を前に、お住まいの赤坂御所で、アクリル板の設置など感染防止対策が取られる中、記者会見に臨まれました。

この中で天皇陛下は「この1年は、コロナ禍に翻弄されてきました。愛する方を失った御家族や御友人のお悲しみはいかばかりであったことでしょう。心から哀悼の意を表します」と述べられました。

そして「閉塞感からでしょうか、みずから命を絶つ人が増えていることも極めて痛ましいことで、皆で何とか防がなくてはなりません」と続けられました。

天皇陛下は、医療関係者や、社会で弱い立場にある人たちを支えてきた人々にも言及し「このような方々に対し、国民の間で感謝の念を広く共有することができた1年となりました」と話されました。

そして「今しばらく、国民の皆さんが痛みを分かち合い、協力し合いながら、コロナ禍を忍耐強く乗り越える先に、明るい将来が開けることを心待ちにしております」と述べられました。

一方、人々と直接触れ合うことが難しくなる中で始めたオンラインでの交流については「臨場感があり、人と人とのつながりを肌で感じることができました。引き続き、状況に応じた形で活用していきたいと思います」と話されました。

天皇陛下は、また、先日、宮城と福島で震度6強の激しい揺れを観測した地震を振り返りながら、まもなく発生から10年になる東日本大震災について「未曽有の災害がもたらした被害の大きさが改めて思い起こされるとともに、過去のこととしてではなく、現在も続いていることとして考える必要があることを改めて感じました」と述べられました。

そして「私も雅子も、被災地に永く心を寄せていきたいと思っています」と語り、再び被災地を訪れたいという気持ちをあらわされました。

療養が続く皇后さまについては、感染拡大による活動への制約などから、体調を整えにくくなっている面があるとしたうえで、「これからも、無理をせずにできることを一つ一つ着実に積み重ねていってほしいと思います」と話されました。

また、大学1年生の長女の愛子さまについては、「早いものでことしの12月で成人を迎えます。今後、成年皇族として公務に当たっていくことになりますが、感謝と思いやりの気持ちを持って、一つ一つの務めを大切に果たしていってもらいたいと思います」と話されました。

一方、秋篠宮ご夫妻の長女の眞子さまの結婚について、天皇陛下は、「国民の間でさまざまな意見があることは私も承知しております。このことについては、眞子内親王が、御両親とよく話し合い、秋篠宮が言ったように、多くの人が納得し喜んでくれる状況になることを願っております」と述べられました。

ことしの天皇誕生日は、感染拡大の状況を踏まえ、皇居での一般参賀や祝宴などは行われず、皇族方や三権の長らによる祝賀行事だけが、例年よりも規模を縮小して行われます。