テレワーク中のウェブ会議などで使われる「スピーカーフォン」と呼ばれる、小型のスピーカーとマイクが一体となった機器について、機器から出る電磁波を通じて音声の情報が漏れるおそれがあることが、奈良先端科学技術大学院大学の研究でわかりました。
研究グループでは、ハードウエアのセキュリティー対策が必要だとしています。

これは奈良先端科学技術大学院大学の林優一教授らの研究グループが20日、開かれた情報セキュリティーの学会で発表しました。

「スピーカーフォン」は、パソコンに接続して使う、小型のスピーカーとマイクが一体となった機器で、コロナ禍でテレワークが要請される中、ウェブ会議など音声を通じた長時間のやり取りでの利用が増えています。

このスピーカーフォンについて調べたところ、一部の機種では、スピーカーから音が出る際に、人間の耳には聞き取れない音声の情報が電磁波として出ていて、離れた場所で受信して変換すれば聞けることが分かりました。

この状態は、実験に使った市販の6社の製品8機種のうち、6社の6機種で確認され、最大25メートル離れた場所で受信出来たということです。

電磁波は、パソコンから送られた音声のデジタル信号をアナログに変換したあと、増幅するアンプなどから出ていました。

研究グループでは、音声情報の漏えいを防ぐために電磁波を減らす対策として、木やプラスチックなど電気を通さない素材の上に置いて、金属から離すことや金属の机の場合は、接続部分などに金属のクリップなどをつけて、電気を逃すアースを取ることが有効だとしています。

奈良先端科学技術大学院大学の林優一教授は「テレワークへのサイバー攻撃として、コンピューターウイルスなど、ネットワーク側での対策は進められているが、ハードウエア側でも対策が必要だ」と話しています。