親父と息子の口喧嘩(尖閣めぐり日中衝突すれば、中国に退路はない) | 親父と息子の口喧嘩

親父と息子の口喧嘩

ある親父とある息子が、社会の色々な事柄について論じます。
こんなことを考えている親子もいるのかと、ぜひぜひ少し覗いてくださいな。

親父「少々古い話題で恐縮なんだけど、習主席の側近が『中国は武力衝突避けるべき』という趣旨の論文を発表して、中国国内で波紋を呼んだという記事を目にしたことがある(産経ニュ-ス・2015.10.22 )。

中国人民解放軍の上将で、習近平国家主席の側近として知られる国防大学政治委員の劉亜州氏が共産党機関紙、人民日報が運営する人民ネットなどで発表した日中関係に関する論文の中で『中国は武力衝突を極力避けるべきだ』と主張したそうだ。

そのため、専門家の間では『習政権が従来の対日強硬策を改めた兆しかもしれない』との見方が浮上しているんだそうだ。

私はそうは考えないな。中国側は、日本による尖閣諸島の実行支配は事実上半減していると見ているのではないかな。
当分の間は、海警による尖閣領海侵犯を繰り返すことにより中国の実効支配ぶりをアピ-ルしておいて、その間に、南シナ海の実効支配に全精力を注ごうとする腹づもりではないだろうか。

つまり、二正面作戦は不利だから、南シナ海一点突破作戦に転じたほうが有利と読んだんだろうね。お前さんは、どう思う?」


息子 「この話は、明らかに日本側を揺さぶってきている話に見えるね。
こちら側の出方を見るのと、尖閣には来ないと油断させる期待もある。

あろうことか機関砲を取り付けた海警の船を送ってきて威嚇を続けるような国が、何を言おうと気にしてはいけないと思うね。安全保障や外交の基本は、「実際の行動 対 実際の行動]だ。

海警の船が一年来なくなったら、そういう可能性を初めて考えてもいいが、ボクシングの試合中に油断させて横を向かせようとするような、こういう行動を伴わない陽動作戦は考えた時点で負けだ。」


親父「もちろん、中国側の韜晦作戦に引っかかってはならない。
なにせ、そういう意味では、彼らは腹黒い民族だからな。
ところで 劉さんは論文の中で、『近年の中日関係の悪化は、北東アジアだけの問題ではなく、米国が裏で糸を引いている』という認識を示しているそうだ。
この考え方は、ある意味では正鵠を射ている。
アメリカは、日中の真の同盟の実現を恐れているはずだ。
もし、それが現実のものとなれば、アメリカの西太平洋でのプレゼンスは大幅に低下する。
世界経済2位、3位の大国同士が手を組めば、一大経済圏が忽然として東北アジアに出現することになる。
もっとも、これには大前提がある。
中国が時代錯誤的な共産党独裁体制を放棄して、穏やかな民主的国家に変貌することが必要だ。」



息子 「アメリカが警戒しているのは、その現実的でない日中同盟的なものでなく、シナが日本を屈服させて昔の朝貢体制の一部として取り込むことだろうね。

どちらにしても、アメリカがその辺りを気にしている時間ももう少ないんじゃないかな。明らかにアメリカは、他の地域に興味が無くなってきている。当たり前の話だけども、直越自分たちに関係の無いことには命をかけたくない。アメリカ国民の多くは元々そうだったが、唯一そこに意義を感じてきた知識層も変わってきている。
そう言う意味で、アメリカは成熟国家になりつつある。常に移民が出入りして活気のある国から。

そうなると、日本は自分で自分を護らなければいけないね。親父が言う共産党独裁体制が倒れるまでと、アメリカが引いてしまう間に時間ができた場合に備えなければいけない。」




親父「中国共産党も少しずつ変わってきている。
あまりステレオタイプに捉えてはいけないな。
この劉亜州という人物は、解放軍きっての戦略理論家として知られ、中堅将校たちの高い人気を集めているといわれている。
第3代国家主席李先念の娘婿にあたり、太子党の主要人物の一人で、習近平氏の懐刀とされている。
かつては、反日タカ派軍人としても知られ、朱成虎、熊光偕、羅援などと並んで『対日タカ派』四天王とも呼ばれていたようだ。
その彼が、日本と中国が軍事衝突すれば『中国は勝つ以外に選択肢はなく、退路はない』とし、『極力戦争を回避』すべきだと主張したのだ。
さらに彼が言うには、『もし中国が敗北すれば、国際問題が国内問題になる可能性がある』とし、現在の共産党一党独裁体制を揺るがす事態に発展しかねないと危惧しているのだ。
なかなか頭の切れる、リアリスティックな感性の持ち主のような気がする。
油断のならない男だ。
劉さんは2013年、中国の政治体制の自由化を提唱する論文を発表している。
その内容は次のようなものだ。
『天安門事件の反省を急ぐべきであり、劉暁波を拘束したことは共産党自らを敵とした。司法は独立すべき存在で党の干渉をうけるべきではない。言論の自由を確保し、複数政党制に移行し、いずれ選挙を実施しなければならない。こうして政治改革を進めなければ、次の革命に遭遇し、次ぎに被告席に座るのは我々になる。』
彼、分かっているじゃあないか。
こんな男が粛清もされず、最高指導者の軍師として生き延びられるのであれば、中国も変わっていけるだろう。」



息子 「その人は、以前(2015年10月)にこう言っている。『尖閣で日本と武力衝突の場合、韓国と連携して戦う』、と。 1人の人物のあるコメントについての解釈を、ああだこうだ言っても仕方ないが、これについては意図がよくわからないな。

とにかく、他のたくさん弁護士や一般市民が言論弾圧され拘束されているのに、なぜこの人が捕まらないかはわからない。
ただ、この人の言葉だけで、共産党は変わってきてるのか、と思うこと自体は意味があるだろうか。そういうちょっと自分達の都合のよい”良いきざし”を見つけては、毎度騙されるのが日本の典型パターンだ。女性にホロっと毎回騙されては貢がされ続ける男のパターンだ。いい加減にしてもらいたい。」



親父「別に都合の良い情報だけを探し出して悦に入ってるわけではないぞ。
ところで、こんな話がある。
中共の外交官である吳建民という人物が、2014年に中国で開催されたAPEC首脳会談の折に、習近平さんは安倍首相とオバマ大統領と会談して以来、それまで国内で加熱していた戦争論を抑えるようになったと述べている。

『中共外交官透露習近平抑制了中共「戰爭狂熱」(阿波羅新聞網 2016-04-08)』

“中美必有一戰”,“中日必有一戰”

このような馬鹿げた『戰爭狂熱』談義の横行が実際の戦争を招いてしまうことがある。
私はそれを一番恐れていた。
吳建民氏は、現在は中共外交部外交政策諮詢委員會委員であり、外交學院前院長という経歴の持ち主らしい。
彼は3月30日の外交學院での講演で、『国内での戦争熱は減退している』と語っている。
それが事実なら、なによりのことだな。」



息子 「そうだね。そういう戦争への情熱を、経済の立て直しに向けてほしいね。日米に対してだけでなく、南シナ海諸国に対してもだ。フィリピンをはじめとして、日本に期待する声も多い。フィリピンのアキノ大統領は、来日した際に先般の『平和安全法案』を歓迎して、シナ共産党をかつでナチスドイツと同じだと言ったね。多くの国々が領土・領海を犯されて本当に迷惑をしている。

こう言っている間にも、シナは行動をやめていない。そういう戦争論を抑えるようになったという噂があっても、実際の行動を止めない限り、何も変わっていないということだ。そういう行動を伴わないお話に、期待を含めて心を一ミリでも動かされるのは、無駄だと思うな。」




親父「ところで、もう一つの話題を出しておこうか。
・・故「中共元老」大将の息子、習近平に公開状・独裁政治の終結呼びかけ(大紀元日本・2015/12/11)・・
中国共産党元老の一人で、毛沢東の忠実な臣下とされた故・羅瑞卿大将の息子が、昨年12月3日、香港メディア「アップルデイリー」に、共産党による独裁政権を終わらせるよう習近平国家主席に訴える公開状を発表したという話題だ。
羅瑞卿大将の次男・羅宇(71)氏は、『全員が汚職に手を染めているとき、誰があなたに協力できるだろうか。7人の常任委員のうち、1人は支持し、1人は中立の立場にいる。しかし残りの4人は失敗を待っているようだ』と警告したんだそうだ。
つまり、彼は、習近平氏の腐敗キャンペーンは『党全体が腐敗しているから既存の方法では成功しない』と主張しているのだ。
 また羅氏は、現在の中国は信仰、道徳、環境、経済、金融、教育、医療、資源など、全ての面において『危機が迫っている』とし、『根本的な原因は中国共産党の独裁政治だ』と断じている。
そして、習主席が取る次のステップとして『本気で反腐敗活動をするなら、順序立てて徐々に民主化へと歩むしかない』とアドバイスしている。
民主化への手順として、彼は次のように示唆している。
1.メディアを解禁する。
2.一党独裁政治をやめる。
3.司法権を独立させる。
4.選挙を行う。
5.軍隊を国家化にする。
最後に、羅氏は 『この5つは民主政権の基礎であるが、現在の共産党政権には一つもない。そのため独裁専制と呼ばれ、世界で最も遅れた反人間性の政治制度だ』と厳しく評している。
羅家と習家は親の代から、家族ぐるみの付き合いがあった間柄らしいのだが、羅宇氏は現在海外亡命中の身だそうだ。
まあ、こんな公開状は、果たして習さんの目にとまったのかどうかも怪しい。
例え、読んだとしても、蛙の面になんとやらで、お終いだろうね。」



息子 「こちらも話題を。習近平が軍支配を強固にしているらしい。人民解放軍に新しい肩書(Joint Battle Command)を加えたそうだ。統合戦闘司令官とでも訳すのかな。個人崇拝的な統治を進めてきているらしい。

『習近平が迷彩服姿で現れた。軍の最高指揮官になったのだから今までと違う。日本の総理も、アメリカの大統領も最高指揮官だが、制服は着ない。習近平の迷彩服には階級章はついていないようだ。
今までの人民解放軍(PLA)は地方軍閥であり、国家としての統合司令部はなかったが、正に構造改革をして、アメリカ並になったというわけだ。習はその最高指揮官になったというわけだ。
今までと違って「戦える」軍隊になる可能性がある。』

識者の中でも、実は習近平は人民解放軍へのグリップを確固たるものにしていると意見を変えた人もいたね。その人はその事実を非常に残念がって話していた。 」


親父「21日付の新華社などは、習近平氏の新しい肩書は、『軍委聯合指揮中心總指揮』
であることを報じ、実際の軍事作戦の最高指揮官であることを公式に伝えたようだ。
これで、習さんの重要な肩書は共産党総書記、国家主席、中央軍事委主席と合わせて四つとなったわけだ。
軍権の完全掌握をアピールしたかったんだろうね。
あまりお似合いでない迷彩服姿までご披露なさっている。
早速、皮肉られている。
『有沒有掌握軍委主席實權尚成疑問,更不要說穿迷彩服了。
有趣的是,美國防長卡特登上在南海游弋的航母,只是穿普通襯衣而已。其實,衣服只是形式,打仗還是靠實力(阿波羅新聞網 2016-04-22)。』
・・軍委主席の実権を握っているか否かまだ疑問だ。迷彩服の着用など不要だ、
米国防長官ロバート・カーター氏は、南シナ海で遊弋中の空母に乗艦する際にも、普通のシャツ姿だった。衣服はただ形式であり、戦争は実力の勝負だよ。・・
ところで、会社で一番困るのは、無能な社長が何にでも口出しして、自分でやりたがることだ。
会社を潰すのが、こういう手合だ。
習さんがこれに当てはまるのかどうかは、いずれ歴史が証明してくれるさ。
長くなり過ぎた。
次の出題は、お前さんの番だ。」



息子 「肩書の増加と権威は下落は相関するね。どちらが先かは分からないけどね。肩書を増やすから権威が落ちるのか、権威が落ちるから肩書を増やすのか。

まぁ最後の話を引用したのは、別にそれを信じている訳ではないよ。自分の希望に合った情報を引っ張ってくるのは、客観的さに欠けるのではないかな、と思ったからだ。

北朝鮮政権やシナ共産党がそろそろ倒壊するというニュースは、相当前からたくさん流れてきていた。両国を毛嫌いする人たちが、いつもいつも引用してきた情報だ。結果として、数十年ずっと外れてきている。昨今言われる地震学とあまり変わらない。

そういうことにあまり踊らされず、一喜一憂せず、対策を粛々と講じていくのみだと思う。」

おわり