『ケチと節約』 あべせつ
例えば、物を大切にして古いものでもマメに掃除や修理をしながら使うとか、他のもので代用して余分なものは買わないなど、日々の暮らしから無駄を省くのが節約である。
こうした節約家はいざ物を買うときでも、よくよく吟味をし衝動買いなどは致さない。二度も三度も本当に必要かを考え、どうしても要るとなればチラシやネットなどの情報を駆使して少しでも得になるようにして買う。
これはエコな面からも大切なことであると思える。
対してケチはちがう。
ケチは要り用であっても、そこを渋る。
どうしてもないと困るとなれば、できる限り安い店を探し、さらにそこで値切る。
店側が仕入値を切ってしまうので、これ以上はもうまけられないというと、しぶしぶ財布を取り出して、いやいや支払う。
いやまだ渋々でも嫌々でも支払うならば良いほうで、ツケにして踏み倒そうとする手合いがいる。
店側はご近所さんでもあることだし、少額なだけに矢のような請求はできず、支払いに来てくれるのをただじっと待っている。
しかしこうした客はたいていそのまま口を拭って知らん顔するのが定石である。
近隣に住んでいるため姿をよく見かけるのであるが、あえて店前の歩道は通らず、車道の向こう側を行き、こちらをチラとも見ようとしない。
目があったが最後、何か言われるのがイヤなのであろう。
この人は支払わずに済んで得をしたと思っているかもしれないが、実は大損害をしていることに気づいていない。
こうした不義理を重ねていけば人としての信用を無くし、いざというときに誰も助けてはくれないのである。
そしてまた、この人の家族というだけで、同じように妻や子や孫の信用もなくしてしまう。子子孫孫までの大損害である。
節約とケチは似てはいるが、まったく違う。人としての生き方の高潔さの違いなのである。 完