
ガスコン青年隊のシラノ・ド・ベルジュラックは豊かな才能を持っていたが、醜い鼻のため従妹のロクサーヌへの気持ちを言わず、同じくロクサーヌを愛する美貌ではあるが文才の無いクリスチャンの代わりに恋文を書きます。
またある時は、夜ロクサーヌの家のバルコニーの下に隠れてクリスチャンに愛の言葉を手ほどき、ロクサーヌとクリスチャンがキスするのを離れて見ていました。
やがてシラノとクリスチャンは戦争に行きクリスチャンは戦死、修道院にはいったロクサーヌをシラノは土曜日ごとに見舞う、そんな状態が15年続き、ある時シラノが敵に襲われ重傷を負ったとき、かつての手紙の秘密をロクサーヌが知ることになります。
「あの手紙を書いたのはあなただったのですね」とロクサーヌが問い詰めてもシラノは「あの手紙を書いたのはクリスチャンだ」と言い続けて死んでゆく。
私がこの映画を最初に見たのは二十歳ぐらいの時、その時のシラノ役はホセ・ファーラーでした。今調べてみるとアメリカでこの映画が公開されたのは1950年のこと。ホセ・ファーラーはその年のアカデミー賞を受賞しています。
この映画がとても気に入って、岩波文庫で原作を読みました。今回見た映画は1990年のフランス映画
シラノ役はジェラール・ドパルデュー、もとの戯曲はフランス語なので90年の方がフランス語が分かったら楽しめるのでしょう。韻を踏んだ言い回しがあったり早口のセリフもあるようでした。
シラノは実在の人物ですが、映画が言いたいのは人の心を動かすのは容姿か言葉かということなのかと思いました。
戯曲の中でシラノがこれが自分の最後だと思って、散っていく落ち葉を見ながらいうセリフ「美しく散っていくなあ!木の枝から土までの短い旅だが末期の美しさを忘れないのが実にいい、地に落ちて朽ちる恐れもものかは、散り行く命に飛翔の栄あれという心だなあ!という所が印象的です。