こんばんは。

東京都議会議員(品川区選出)の

阿部祐美子です。

 

東京都立高校入試への

英語スピーキングテスト導入に関する投稿を

多くの皆様にお読みいただきありがとうございました。

 

 

今回は視覚障害や聴覚障害、

吃音・発話障害、発達障害、

肢体不自由、持病など

障害や病気があったり、

日本語の補助が必要な生徒等への

「特別措置」の内容について

お伝えするとともに

この措置で十分なのかどうか

考えてみます。

 

特別措置は14項目

 

昨年11月に実施されたテストでの

受験上の特別措置は、以下の14項目です。

 

 

【視覚関係(点字・弱視関係)】

①点字資材による受験

主な措置:

点字問題冊子の利用

時間延長あり(1.4倍)

機材準備やタブレットの入力作業の代行

点字腕時計や白杖などの持ち込み など

 

②拡大問題冊子による受験

主な措置:

拡大問題冊子利用

時間延長あり(1.4倍)

機材準備やタブレットの入力作業の代行

白杖や拡大読書器、ルーペの持ち込み など

 

③拡大問題冊子による受験(時間延長なし)

主な措置:拡大問題冊子利用

機材準備の代行

白杖や拡大読書器の持ち込み など

 

【視覚関係(色弱関係)】

④白黒印刷問題冊子による受験

主な措置:

白黒印刷問題冊子の利用

機材準備の代行 など

 

【聴覚関係】

⑤文字化した問題資材での受験(聞き取りなし)

主な措置:

音声内容を文字化した補助冊子を利用

補聴器の持ち込み など

 

⑥文字化した問題資材での受験(聞き取りあり)

主な措置:

音声内容を文字化した補助冊子とタブレット音声を利用

原則、個室又は個別スペースでの受験

補聴器の持ち込み など

 

⑦音声の聞き取りによる受験(文字化冊子なし)

主な措置:

タブレットから直接音声を再生

原則、個室又は個別スペースでの受験

補聴器の持ち込み など

 

【きつ音・発話障害関係】

⑧スピーキングテストの時間延長

主な措置:

時間延長(回答時間3倍)

機材準備の代行

採点時に注意して音声を確認

 

【上肢不自由】

⑨受験会場等

主な措置:

機材準備、入力作業の代行 など

 

【発達障害】

⑩受験会場(試験時間延長あり)

主な措置:

機材準備の代行

時間延長(回答時間3倍)

機材準備、入力作業の代行 など

 

⑪受験会場(時間延長なし)

主な措置:

機材準備の代行など

 

【下肢不自由】

⑫受験会場等

主な措置;

機材準備の代行

車椅子の利用

エレベーターが利用可能な受験教室での受験 など

 

【その他(持病等)】

⑬受験会場

主な措置:

機材準備の代行

エレベータが利用な受験教室での受験 など

 

【日本語の補助】

⑭日本語に対する補助

主な措置:

タブレット画面に表示される漢字にルビを振った

日本語補助冊子

*入国後の在日期間が6年以内で日本語指導を

必要とする生徒のみ

 

…と、ざっとこんな具合です。

(詳しい内容をお知りになりたい方は

私宛てご連絡ください。

 

「特別措置」の申請手続は

 

令和3年度の特別措置申請は、以下の通りでした。

 

5月 

(生徒または保護者)生徒用マイページに登録

(生徒または保護者)マイページ内の資料から申請区分を決定

(生徒又は保護者)申請書を印刷、記入して学校に提出

(学校)学校側が記入、校長が押印して返却

(生徒または保護者)返却書類を画像データ化

5月28日~6月8日 (締切厳守)

(生徒又は保護者)特別措置申請をマイページからおこなう

6月17日~7月1日(締切厳守)

(生徒又は保護者)マイページで審査結果を確認し受験申込

 

ただし、各学校からの受験の連絡が遅く

その時点で特別措置申請の締め切りまで

数日間だったという声もあります。

マイページに登録しないと

特別措置に関する情報が得られないのは

該当者の不安はぬぐえず

相談する時間さえままならないのではないでしょうか。

特別措置の内容について、いつでも参照できるよう

各中学校への情報提供、都教委HPへの通年掲載、

通年の相談窓口の明記などが

欠かせないと思います。

 

「特別措置」は充分なのか

 

この特別措置の検討プロセスを

都教委に尋ねたところ

テスト実施事業者(ベネッセ)が

基本形をつくり

都教委と外部有識者とともに

検討を加えたとのこと。

 

けれども、例えば視覚・聴覚障害では

障害の程度により3段階の

配慮があるのに対し

きつ音・発声障害では1種類のみ。

回答時間の延長(トータルで5分程度)が主な内容となっています。

別室受験も今のところ書かれていません。

「スピーキング」テストでありながら

発声に関する困難さへの対応が

ずいぶん雑に感じます。

 

「中学校英語スピーキングテスト」を

受ける吃音のある生徒への合理的配慮を検討する会の

中村代表にお話を伺ったところ、

・症状が重い子は回答時間3倍では不十分

・英検では筆談を認めており、このテストでも検討を

・特に中学生世代は吃音を隠したがる傾向が強く申請へのハードルが高い…

など

さまざまな課題を挙げられました。

 

東京都では中学校に「ことばの教室」が設置されておらず

発声に困難を抱える中学生について

全体として理解が薄いのではないかと感じます。

スピーキングテストにとどまらず

都教委の課題の一つだと

強く認識しました。

 

 

今回は吃音や発声障害を

念頭に書きましたが

発達障害への対応などもまだまだだと思います。

 

受験者が自らの意思で受ける外部試験と

公立中学3年生全員が義務教育の一環として受けるテスト、ましてや

都立高入試の合否にも関わるテストでは

求められる合理的配慮のレベルは異なります。

 

都教委の計画では

今年のスピーキングテストは

11月末に実施予定。

申込スタートまで、あと4か月余り。

それまでに、様々な課題を

クリアすることはできるのでしょうか。

 

心配です。

 

引き続き都教委とは、この計画について

密に意見交換していきたいと思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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