『大戦下の半島經濟』(朝鮮研究-196) | 安部南牛 | 朝鮮文化資料室

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朝鮮銀行調査部が昭和19年11月に刊行している。冒頭に写真、水豊ダムと記述されていないがダムの写真、硫安の山の写真、膨大な米の集荷の写真、膨大なる林産資源というか丸太の山の写真、綿花の山で選り分ける婦人労働者の写真、塩田で塩をかき集めている婦人労働者の写真、これらの写真は豊かな朝鮮を示している。

戦争への経済的に役割が増していることを記述している。ダムは電力を、硫安は農業生産を、米は食糧と、冒頭の写真は退勢の帝国を支えている朝鮮を表現している。

改めて木村光彦教授の仕事の根っ子を朝鮮銀行が昭和19年に刊行した冊子は示している。

表紙は飛行機と半島の図案である。ここから2002年の小泉訪朝を受け入れ、拉致実行を認めた金正日の胸の内も読める。

朝鮮銀行は半島の経済発展を支えていたのだ。つくづくそう思わされた一冊であった。