科協(菊池嘉晃研究-8) | 安部南牛 | 朝鮮文化資料室

安部南牛 | 朝鮮文化資料室

安部南牛が、朝鮮関係の本の書評を中心に掲載していくブログです。

あの「帰国事業」で科協構成員が何人、北朝鮮へ向かったか。どのような分野の研究者が北へ向かったか。『北朝鮮帰国事業の研究』では分らない。それ故に、木村光彦教授の一連の旧ソ連の北朝鮮との関わる資料の翻訳の意義が理解されない。

拉致問題もそこに深くかかっており、いわゆる「北朝鮮による拉致」というモノが、本当に金正日の指示で行われたのか?という疑問に答えられない。

自民党の大阪府選出の某代議士は佐藤勝巳陰謀説を述べていた。その真偽は、木村光彦教授の一連の旧ソ連文献の翻訳と『北朝鮮帰国事業の研究』を併読していく中で明らかにされる。

著名な某工作員は金正日無罪説を述べていた。今にして、木村光彦教授の一連の旧ソ連政府関連資料の翻訳を読み、菊池嘉晃君の労作を併読するなかで、某工作員の金正日無罪説を述べる背景が読めてきた。改めて、親朝出版社で知られる岩波書店から『消えた核科学者』が昨年の11月に刊行された「意味」を考えさせられている。

それに岩波書店刊『世界』誌で、拉致被害者である蓮池薫氏の手記が連載されているが、その意義にも深いモノがありそうだ。