『売国的「韓日条約」は無効である』(朝鮮研究-172) | 安部南牛 | 朝鮮文化資料室

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朝鮮大学校が1965年に刊行している。これは歴史的文献である。現今の韓国左派の原点、反日の『聖典』である。先に紹介した1969年刊行の『朝鮮史研究会論文集』にも色濃くその影響が認められる。むろん、その『特集「明治百年」と朝鮮』に寄稿した佐藤勝巳の「国会の日韓論議にあらわれた日朝関係把握の問題点」は、がばっとその影響を受けている。

では、佐藤勝巳はその10年後から変容して30年後には180度転進したのだろうか?その変化こそ、どこかの雑誌で「特集」を組んで貰いたい。佐藤勝巳は顔の三分の一を口が占めるという形容に現れている如く、口の人であった。運動家であり、稀代のアジテータ-であった。

アジテーターあり得たのは、その先読みの能力である。日朝協会の活動家から日本朝鮮問題研究所の事務局長から『現代コリア』誌の発行人と、日本人の中の朝鮮人観を常に観察していた人、運動家である。決して研究者ではない。研究者は過去の自分の言葉に拘束されるが、佐藤勝巳にはそう言うことは一切無援であった。

佐藤勝巳の変容を計測するに、この朝鮮大学校の『売国的「韓日条約」は無効である』は欠かせない。その上、現今の韓国左派の主張、例えば野党党首の言動の原典でもある。ご一読を薦めたい。