甲谷悦雄『平和共存のかげにあるもの』(朝鮮研究-162) | 安部南牛 | 朝鮮文化資料室

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「ソ連邦の対日外交基本方針」と副題にある。老師の上司でもあった。岸・佐藤兄弟や確か宮本顕治と同郷だ。この風土の背景に石門心学の浸透がある。

ある意味で甲谷悦雄陸軍大佐も石門心学の門徒であった。老師に拠れば日本最高のソ連邦研究者である。その甲谷悦雄が、この本を昭和30年に著している。共産主義思想を知るに、不朽の名作だ。

それにしても、今頃気付いている。北朝鮮の行ったとされる拉致行為が、北朝鮮単独ではない事を知らしてくる名著だ。

めぐみちゃんなどの拉致行為に関わる分析に資するのは、第4章であろうか。佐藤勝巳の行動原理はこの第4章を読む事で理解される。

雑誌『世界』の2024年1月号記載、拉致被害者蓮池薫氏の証言を読み解くにも欠かせないのが第4章である。