『共産主義運動と警察の立場』(日共史研究-43) | 安部南牛 | 朝鮮文化資料室

安部南牛 | 朝鮮文化資料室

安部南牛が、朝鮮関係の本の書評を中心に掲載していくブログです。

警察庁警備局が昭和40年に刊行した幻の日共史研究の一級資料である。

第一章が「警察はなぜ共産党の活動を職責として視察しなくてはならないのか」である。何故に日共がではなくて、共産党の活動とある。日本にはさまざまな国の共産党が活躍している。ウラジミールは日本の大企業に入り込んでいる「中国共産党」の動きを視察している過程で死去している。不審死と見る向きもあった。露探と佐藤勝巳に名指しされていたアナスタシアなど一番に疑っていた。ウラジミールの仕事は先駆的であった。今は隣の大国のスパイが日本で大活躍していることは夙に知られてきた。

この第一章の冒頭に「その理由を、一言でいうならば、共産党の活動を常時視察しなければ、警察として、警察が国民から与えられてた責務を全うすることができないからである」と書き出されている。

次に「共産党は暴力という革命手段によって、わが国で社会主義社会を実現しようとして日夜準備活動を行っている」と実に的確に共産党を見ている。

この教本を片手に松本清張の作品を読む。