金日成とは、(金達寿-20) | 安部南牛 | 朝鮮文化資料室

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南牛は『毛沢東選集』は熟読した。『矛盾論』など、岩波文庫本だったか常に持っていた。ある時、金達壽に言われた。我が国の金日成さんも忘れては困る。金達壽はウリナラの金日成は毛沢東に匹敵する偉大な人物だと言うのだった。

確かに金達壽の代表作の『玄海灘』に描かれて金日成は朝鮮民族の英雄であった。労働党の大会に参列し、金日成と会談した宮本顕治が、「金日成の名前は、金達壽の作品で知られている」と言ってくれた、と感動的に話していた。その時は朝鮮総聯よりも『玄海灘』の方が日本では知られている、くらいの感じで受け止めていた。

『季刊 三千里』誌の発行が始まってから、「戦後しばらくは金日成を知らなかった」と述べた。その発言に驚き、『玄海灘』の作品内容と矛盾するではないか、と思った。『玄海灘』での金日成は全朝鮮中に知られていた事になっていた。明らかな矛盾する言葉であった。

一番驚いたのは、金日成の言葉はズーズー弁だと南牛に説明したときであった。九州の南牛には東北弁は判り辛いだろう。慶尚道の言葉を話す自分にも聞き辛いというのだった。金達壽は平安道の発音は東北の、慶尚道の発音は九州に例えると理解できるだろうと説明した。