はい。阿部秀之です! -225ページ目

リヨンふう その1

はい。阿部秀之です! フランスネタもそろそろ終わるつもり。だからもうちょい付き合って。日本ではポール ボキューズやアラン シャペルで有名になったリヨン。パリからTGVを使えば、わずか2時間。朝パリを出て、リヨンでランチ。その後、街をぶらついて、日帰りすることも可能だ(もったいないけど)。


さすがに食の街といわれるだけあって、レストランはたくさんあるし、飛び込みで入ってもはずれは珍しい。おまけにパリよりはグッと安価ときている。名物はいろいろある。まずはリヨンふうの具だくさんなサラダから。

リヨン


メニューにはグルマンなサラダと書いてあっただけにいろいろと入っている。こんがり焼いたソーセージが美味しい。

リヨン


メインは川かますのリヨンふうクネル。リヨンでもっとも代表的な魚料理だ。

リヨン


海のないリヨンでは、川魚の料理が誕生するのは納得できる。見た目からはどんな料理か想像ができないと思う。これは、川かますのすり身をムース状にしたて、型をつくってゆでたあと、モルネソース(ベシャメルソースに卵黄とチーズを加えたもの)をかけてオーブンで焼いたものだそうだ。

リヨン


? ? う~ん、わかったような、わからないような…

リヨン


よし、これならどうだい。ボテッとした固めのはんぺんに、チーズと卵の重たいソースをかけて焼いたもの(笑) まさにそんな感じ。昔懐かしいヘビーなフレンチ。あっ、嫌いなわけじゃない。美味しいよ。ただ、例によって量が多いんで、そこがつらいかも。といいつつ、もちろん完食さ。



すんません! 宣伝を2つ

はい。阿部秀之です! 突然だけど、今日は宣伝したいことが2つある。最初は雑誌の話。僕はカメラ専門誌に連載があるんだけど、そのひとつがモーターマガジン社の月刊カメラマンだ。


月刊カメラマン


連載のタイトルは、「Photo IS 美フォーアフター」。3月号、2月20日発売(あっ、発売日過ぎちゃったけど)では、料理を旨そうに撮るコツを紹介してみた。


月刊カメラマン


おっ!この肉のかたまりは、 「さてと、今夜はどこ行く?のmariruu」 さんこと持田煮込実さんに連れて行ってもらった「恵比寿、縄のれん」のレバーステーキだ。つー具合に、これまでブログで使った写真でまとめた。ブログ用の写真がいまいち上手く撮れないと思っている人がいたら、参考になると嬉しい。まずは近くの書店で手にとって立ち読み。まちがって財布のひもがゆるんで買ってくれたらなお嬉しい。580円と安価っす。そしたら編集人の坂本直樹と共に喜びまーす。ちなみに、今月はほかのページには出ていない。先月はずっと旅行していたから(笑) ごめん。



さて、宣伝の2つめは、僕の母校、東京工芸大学の話。芸術学部では、卒業展覧会を今日23日から3日間、六本木のアカデミーヒルズ40Fで開催する。内容的には、レベルの高いこと間違いなし。近くに行かれる方がいたら、ぜひ足をのばしておくんなまし。詳しくはこちら っす。業界関係の方、まだ手垢の着いていない、未来のビッグクリエーターを発掘できるかもかも。


工芸大


宣伝なのに最後までお付き合い、ありがとう。いつもながら感謝!


フランスで食べる各国料理 その3 日本料理

はい。阿部秀之です! 日本以外の国では、日本料理も立派な外国料理だ。10年ぐらい前からだろうか。ヨーロッパ、アメリカなどでは、日本料理が流行っている。回転寿司なんて、いまじゃ大きな街なら珍しくない。たとえばパリの日本料理屋。こちらは、「SUSHI DISHI」というお店。「寿司 弟子」ですかね?

日本料理


こちらは「たかさき」。ご主人は高崎の出身ですか? でもずいぶんとローカルな名前っすね。

日本料理


なんか妙? 残念ながら、そうだよね。この2軒は、経営しているのも料理を作っているのも日本人じゃない。たいてい韓国人や中国人だね。実はいま日本料理を流行らせているのは、日本人じゃない。どんどん増えている日本料理屋は全部が韓国人と中国人がやっているといっても過言じゃない。んじゃ、これは?

日本料理


「ひょうたん」は、シャンゼリゼのアピシウス近くにあるお店。ご主人はバリバリの日本人。観光客用の店ではなく、お客はパリに住んでいる日本人がほとんど。日本人のやっている店と韓国人や中国人がやっている店のちがいは、一目瞭然。日本人の店は、外国にあっても日本にあるのと同じ感じ。韓国人や中国人がやっている店は、つぎのような特徴がある。


・店の前にやたらとちょうちんがぶらさがってる

・レストランジャポネーズと書く

・店名、その他に意味不明な日本語がある

・店のどこかに富士山か桜の写真がある

・メニューには日本語がない


さて、ここからが重要。日本人がやっていないと、「なんだ、偽物か」と日本人は必ず言う。日本食は日本人が作らなければできないと思っているからだ。僕も昔はそうだった。

でもさ。つーことは、中国料理は、中国人が作らなければ偽物なんだな。フランス料理はフランス人じゃなきゃいけないんだ。だったら、日本にある中華料理なんて偽物ばかりじゃん。アピシウスは日本人シェフがいるから、偽物ってことになる。


そうつっこむと、日本人は器用だから別だよ。外国料理もちゃんと忠実にコピーしている。ほかの国の人には、できないでしょとくる。うん、気持ちはわかる。でも、日本人だけが優れているという思い上がりが、そこにはある。じゃあ、カレーうどんや、納豆スパゲティはどうだろう? どこが忠実にコピーしているんだ? カレーうどんにはインド人もビックリ。イタリア人にいたっては納豆だぞ。卒倒するよ(笑)


日本人は自分たちだけは特別だと思っている。外国人は日本人は特別なんてまったく思っていないから、国際社会でバカにされる。もっと広い気持ちをもとうよ。中国人や韓国人が日本料理を作ったっていいじゃないか。その土地で独自の進化をとげるのは当然だろう。大切なのは旨いかまずいかだ。


たとえば、先日行ったリヨンの「YOKOHAMA」なんて、なかなかグーだった。まず、のれんに富士山はあるけど、ちょうちんはない。それだけでもいい感じ(笑)

日本料理

店名も安直に「TOKYO」と付けないところがいい。ちょっとはずした姿勢に好感だーい!

日本料理


これは店内。いかにも日本食って感じで違和感なし。変な置物とかもない。

日本料理


こちらがご主人だと思う。たぶん中国の人。立派に焼き鳥焼いているじゃん。しかも炭火だよ。あっ、火がちょっと強いですよ。

日本料理


この店のランチの焼き鳥定食は、確か12ユーロぐらい。まず最初にサラダが出てくる。

日本料理


サラダを食べ終わると、焼き物2本、ご飯、みそ汁が出てきた。焼き物は、鳥とサーモンだ。ま、まさかこれだけじゃないよね。不安…

それにしてもこの店はスゴイ。だって、みそ汁が一緒に出てきたのは、僕が日本人だからだった。フランス人の客には、サラダを食べ終えてから、みそ汁を単品で出す。で、そのあと焼き物とご飯を出すという芸の細かさ。日本人は全部一緒に食べる。フランス人は順番に食べるってのを、ちゃんと理解している。ちなみにフランス人はラーメン食べるとき、最初にスープを全部飲み、それから麺だけを食べ始める。喉ごし悪くてまずいだろうに。習慣っておそろしい。

日本料理


みそ汁のアップをどうぞ。みそ汁の具にマッシュルームは、椎茸のないフランスでは定番。日本人の料理人は絶対にやらいないけどね(笑) 味はまずくない。不思議な感じはする。

日本料理


ご飯は残念ながらいまいち。炊き方はOKなんだけど、中国のお米だから微妙な香りがある。この種の米には、「香米」と書いてあったりする。カリフォルニア米なら美味しいんだけどなー フランス人は、このご飯に焼き鳥のタレをガンガンかけて食べる。寿司屋では、醤油を直接かける人もいる。やっぱソースの国だな。

日本料理


焼き物の追加がきた。冷めるからだろうか、それともパフォーマンス的にカッチョイイいいからだろうか、2本ずつ焼いてきてくれる。これにもちょっと感激。やっぱ火が強いかも。

日本料理


このあともう1回焼き鳥を持ってきてくれたけど、同じくタレ焼きだった。焼き鳥の塩という発想はないらしい。どの店に行ってもタレで焼く。料理人もお客も、それが日本料理の味付けだと思っているみたい。でも、まずくはないよ。パリを離れて2週間。1度も日本食を食べていない僕としては、とても有り難くいただいた。デザートはバニラのアイスクリーム。

日本料理

パリには日本人がやっている日本食屋が何軒もある。そりゃ日本で食べるのと同じくらい美味しい店もある。でも、2度と来ないぞって店も珍しくない。それに比べたらリヨンの「YOKOHAMA」はグッドだよ。ペラーシュ駅から徒歩1分だ。

店を出るとき、あまり愛想がよいとはいえなかった奥さんが笑顔で見送ってくれた。手までふっている。きっと日本人の客が来たんで、緊張していたんだろう。十分に美味しかったよ。ありがとう。




フランスで食べる各国料理 その2 ドネルケバブ

はい。阿部秀之です! フランス料理が毎日続いたとき、つい食べたくなるのが、ドネルケバブだ。肉を固まりにして、回転させながら焼いたものを削る。もともとはトルコ料理らしいけど、中東全般で食べるらしい。ギリシャにも似たような料理、ギロがある。

ドネルケバブ


店内ではこれを皿に盛りつけて出す。でも、ファーストフードとして広まったのは、丸いピタパンにレタス、タマネギ、トマトなどと挟んだものだ。フランスでは、普通にサンドウィッチと呼んでいる。ケバブ屋はどこに行っても必ずある。繁華街だと4~5軒、店がかたまっていることも珍しくない。サンドウィッチだけだと、4ユーロ。フリッツ(フライドポテト)が付くと4.5ユーロが相場。ただし、フリッツを付けるのはフランスだけのように思う。

ドネルケバブ

肉は羊を使うのが普通。香辛料やヨーグルトなどで味を付けてから焼く。それでもパンに挟むときには、ケチャップ、ムタルド(マスタード)、マヨネーズ、チリなどで、さらに味付けをすることが多い。特にクセがある味ではないから、日本人の口にも合う。ただ日本のケバブ屋はチキンとかビーフを使っていることが多い。あれとはまったく味がちがう。唯一の問題は、かなり大きいので後半が重荷になること。またフランスの乾いた空気では、すぐ肉が固くなることだ。

ドネルケバブ


店によっては、ピタパン以外のパンがあったりもする。これはユフカという。クレープみたいに焼いた生地でケバブを巻いたものだ。ケンタッキーフライドチキンのツイスターとそっくり。これのいい点は、ピタパンより軽め。細長いんで食べやすい。アルミホイルでくるんであるから、途中で肉が乾燥しないなど。

ドネルケバブ


ね、なかなか美味しそうでしょう。もしかしたらドネルケバブよりユフカの方が美味しいかもしれない。でも、ユフカはあまり一般的じゃない。おいていない店のほうが多い。残念!

ドネルケバブ


ケバブ屋のお兄ちゃんは、たいてい陽気。お気楽に利用できるのが助かる。この写真は、フランスとスペインとの国境近くの街、ペルピニャンで食べたアンカラケバブという店のもの。この店には「サムライ」という超辛いソースがあった。僕が日本人と見ると、お兄ちゃんがすごくすすめるんで、仕方なく塗ってもらった。で、旨いか? 旨いか? と聞くので、旨いといったら、すごく喜ばれて仲良くなってしまった。まぁ、本当に美味しかったんだけどね(笑)



寒いときのご馳走 その4 カニみそ

はい。阿部秀之です! 寒いときのご馳走シリーズは、もう終わろうと思っていた。でも、知り合いからリクエストがあったんで、あと1回だけアップする。つーのは、古い話で恐縮だけど、1月22日にフランスの牡蠣とカニの話を書いた。興味がある方は「ここ」 をクリックしてちょ。面倒な方は、そのときの写真だけ見て。ほら。これ。

カニみそ


で、ヨーロッパで食べるカニは、身がなくてカニみそばかりだと紹介した。 そしたら友人から、どんなカニみそか見せろというメールがきた。面倒なんでほっといたんだけど(笑)、今日は写真を載せることにした。ちょっとグロかもしれないから、嫌いな人は見ないでね。まず、カニは半分に割られているから、エイッと分ける。さあ、マジでカニみそばかりでしょう。

カニみそ


で、牡蠣を食べるときの丸いフォークを使って、カニみそをつつくと、どや! くー旨そう。赤いのは卵だよ。ひとりで一杯はつらい。半分食べたらもう十分って感じ。身は本当に少なくて、脚の付け根とハサミだけ。そんなに高級なカニじゃないよ。市場でも魚屋でも、魚介を扱うカフェやレストランの軒先でも買える。ただし、市場や魚屋で生を買うと自分で茹でなきゃならないよ。

カニみそ


ところで牡蠣やカニを盛りつけたプレート(フリュイ ド メール)には、小鉢が一緒に飾られる。面倒だと食べない人も多いけど僕はしっかり食べる。その代表がこの小さなエビ。だいたい小指半分くらいの大きさ。よく見ると子持ちだったりする。味はしっかりとしていて旨い。殻を全部むいてサラダに入れたりもする。

エビ


そしてもうひとつは、この黒いタニシみたいな巻き貝。大きさは爪ぐらい。これは香辛料を利かせてピリ辛で煮てある。虫ピンのような針で中身を出して食べる。これも味はなかなかいい。小さいんでさすがに、食べるうちに面倒になる。

黒い貝


さて、どうだったかな。フリュイ ド メールは立派な冬の味覚だ。フランス人はヨーロッパの中では、とてもよく魚介を食べる。しかも生で。そのあたりがフランス料理に親しみを覚える理由なのかも。