「ふふっ…。今回の目的は、あの妖精を傷付ける事にあるの。あの帝国での雑魚共はもう食ったけど、特別な妖精達は経験を積ませた方が旨いからね…。」

少年は息を呑んで聞いていた。キュールもどきはなおも続ける。


「…そして、私は今あんたを食べるのよ…」


生かす相手に全てを話すわけないでしょ、と、キュールもどきは嘲嗤う。


怒りと恐れが満ちた少年は、最後の質問をした。


「本物のキュールはどこに居る。」


「さあ。ご自分で見つけなさい。生きていたら…の話だけどね…」


またもやキュールもどきは、嘲嗤う。


しかし、少年には勝算は全く無かった。
「お前は何だ。」


少年は自分が思う以上に堂々とした声で言った。


「私は殺し屋さ。死体が大好物だからね…。なかでも一番好きなのが」


キュールもどきは舌なめずりして続けた。

少年には聞きたくない内容だった。


「…妖精。」


ひどく嬉しそうな顔で言った。

少年は背筋が凍りそうになったが、しかし怒りと動揺で、自分がコントロール出来なくなっていた。


「お前は…やはりあの獰猛な動物なんだな!?これは一体どういう事だ!」
少年は一拍おいてから言った。

「お前は誰だ。少なくとも、キュールの筈は無いだろう?」


キュールの表情はなおも変わらない。

少年は続ける。


「…そう思った僕は考えた。お前は-平和な帝国を滅ぼしたあの悪魔じゃないのか?」


キュールの目が猫のように細められ、口はきゅーっと裂けた。笑っている。


少年は背筋に冷たいものが走るのを感じていた。


「そうか…。わかっているなら話は早い。」


キュールは言った。

彼女はキュールであったが、それはカタチだけで、キュールでは有り得なかった。