冗句203
◆知恵をつける
「あんた、どこ見てンの!」
「キミだよ。ほかに、見るところがあるか?」
「わたしの後ろの美女よ。あなた好みだから、すぐわかる」
「お嬢さん、ごめんなさいね。うちの家内が、あなたのことで焼きもちやいているみたいです。お許しください」
「あんた、なに言ってンの。見ず知らずの女性に話しかけたりして。彼女に旦那さんがいたら、どうするの!」
「こんなに若い女性に旦那がいるか。お嬢さん、そうですよね」
「あんた、それで彼女を口説いてるつもりッ」
「口説くかッ!」
「お嬢さん、ごめんなさいね。帰り道、気をつけてください」
「だれに知恵つけてンだ」
「あんた、なにムキになってンの。こんな男とどうして一緒になったンだか」
「あのとき、知恵をつけてくれるものがいればな……」
「わたしに知恵をつけたのは、あんたよ!」
2024.7.6.