-早乙女 照-編 第二章
・・・あれから半月が経過した。
例の事件以来、特別捜査こそ中断されてはいないがリスクの高い捜査は行われなくなった。
一般市民から警察への信頼問題、店の赤字経営を加速させる恐れもある為、捜査レベルにも上限が設定された。
あれ以来、捜査への全責任は事件を担当していた岡咲の肩にすべて乗せられた。
当然、岡咲は捜査から外され別事件を取り扱う事になっていた。
だが・・・岡咲は諦めきれなかった。たかが万引き犯に逃げられ、自らが計略した捜査手段も砕かれ、怒りすらも覚えていた。
警察署の特例捜査本部、ここに岡咲のデスクがある。
岡咲は少量の捜査資料を眺めていた。例の万引き事件の資料だろうか。
「・・・・これだけでは逮捕状はおろか、再び捜査に踏み切るのは無理だな・・・しかし・・・・こんな体験は初めてだ。大抵の事件は犯人の顔や素性ははっきりと浮上してくるが、今回は犯行の瞬間すらも確認できない。
分かっているのは・・・犯人は食材に困っている。一般的に仕事についている人間は大量に食品を盗む事は考えにくい・・・他にも衣類にも手を伸ばしているということは、おそらく生活に困っている・・・更には肉親がいない可能性もある。一番はっきりとしている事は、犯人は頭がいい、監視カメラの遠隔操作など・・・裏家業にかなり詳しい。
例の事件以来、特別捜査こそ中断されてはいないがリスクの高い捜査は行われなくなった。
一般市民から警察への信頼問題、店の赤字経営を加速させる恐れもある為、捜査レベルにも上限が設定された。
あれ以来、捜査への全責任は事件を担当していた岡咲の肩にすべて乗せられた。
当然、岡咲は捜査から外され別事件を取り扱う事になっていた。
だが・・・岡咲は諦めきれなかった。たかが万引き犯に逃げられ、自らが計略した捜査手段も砕かれ、怒りすらも覚えていた。
警察署の特例捜査本部、ここに岡咲のデスクがある。
岡咲は少量の捜査資料を眺めていた。例の万引き事件の資料だろうか。
「・・・・これだけでは逮捕状はおろか、再び捜査に踏み切るのは無理だな・・・しかし・・・・こんな体験は初めてだ。大抵の事件は犯人の顔や素性ははっきりと浮上してくるが、今回は犯行の瞬間すらも確認できない。
分かっているのは・・・犯人は食材に困っている。一般的に仕事についている人間は大量に食品を盗む事は考えにくい・・・他にも衣類にも手を伸ばしているということは、おそらく生活に困っている・・・更には肉親がいない可能性もある。一番はっきりとしている事は、犯人は頭がいい、監視カメラの遠隔操作など・・・裏家業にかなり詳しい。
-早乙女 照-編 1-4
今回の事件の主犯、それは言うまでもなく・・・照だ。
照はすでに店から大きく離れた道を歩いていた。
照はバックの中にいくつかの盗品が入っていた。どれも食材だ。
お惣菜からはじめ、飲料、菓子類に至るまで・・・収穫はかなりのものだった。
「クククッ・・・いやぁ最高だな・・菓子類や飲み物にも手が伸ばせた。わずかの間だか、生活には困らない。」
照はどうやって犯行に及んだのか。それは岡咲が捕えた例の男の出現から・・・照の計画は実行されていた。
それは昼を迎え客入りがピークに迎えたころ・・・・・。
「さて、前回の店にはしばらく手をだせないからな・・・今日はこの店だ。さっき店の裏手を確認した時、数人の人物が換気ダクトを確認して回ってた。捜査官達だとはすぐに分かったよ・・・当然岡咲も来てるはずだが・・」
そういうと照は、駐車場の隅へ行き人目をさけて、持っていた小型の機器をいじり始めた。
「カチカチ・・・ピピ・・・・・・カチカチカチカチ・・・・・・ピピピピ」
照は笑いながら呟いた。
「フフフ・・・さすが岡咲さん、監視映像の不正操作にセキュリティをかけてやがる・・・だがそのセキュリティは恐らく外からの遠隔操作を不可能にした性能のはず、もし店内から遠隔操作されたらどうなるか・・・・まぁ・・・今回アンタ達には僕の影すら見る事ができない・・・ん?・・・やっと来たか」
照は1人の男が店に入っていくのを確認したのだ。岡咲が捕まえた男だ。
「奴の事はよく知ってる。いつか利用させて貰おうとは思ってた万引き犯だ。おそらくこの店で岡咲が警戒体制を取っているという事は、商品に前回使った特殊バーコードステッカーを使用してるだろう・・・だがあの男はそれを知らないはずだ。必ず捕まるはずだ。
・・・・あの男が捕まって事務所へ連れ込まれる・・・その時が勝負だ。」
そして、岡咲の手元の発信機が探知し捜査官達が例の男を捕えた。それを確認し、いつの間にか店内に忍び込んだ照が足早に動き出した。
「読み通り・・・利用させてもらったよ・・・お前は俺のおとりになってもらう・・・さぁ・・・勝負だ岡咲。
そして、例の男が事務所に連れ込まれ岡咲の尋問を受け始めた頃、照はいくつかの小さめな商品をバックに入れ・・・なんと他の客達のバックや手荷物の中に、特殊バーコードステッカーが貼られた商品を入れて回っていたのだ。
気ずかない客達はそのままレジカウンターを通過し、外へ出ていく。当然その瞬間、発信機のブザーは反応する。照が手にかけた客達の数は20人以上・・・ブザーが断続的に鳴るのは当然・・・照からすれば正に成功への合図だ。
捜査官達の慌ただしく動き出したのを見計らい、犯行エリアへと素早く移動しポケットに入っていた小型の機器・・・監視映像を不正操作する機器のスイッチを素早く押した。
映像削除が成功すれば、小型機の青いランプが点滅するのだ。
「ピピ・・ピピ・・ピピ」
青いランプが点滅し始めた。
一時的な映像削除が成功したのだ。映像削除していられる時間は約1分半、照は素早く商品を手に取り、客達に紛れて犯行を行い始めた。
その頃、混乱状態にあった岡咲は監視映像が一時停止状態になっているのに気ずいてはいなかった。そして、岡咲は捜査官達に出入口の緊急封鎖を命じた。
そして、1分半が経過し照が持っていた小型機のランプが青から赤へ色を変えた。
その瞬間、事務所の監視モニターは一瞬ブレて元の録画画面へ復帰した。
そして、店の出入口が一斉に閉じられた。
しかし・・・照はすでに外へと脱出していた。
「ギリギリセーフってとこか・・・ハァハァハァハァ・・・・・・・ククク・・・俺の・・・・勝ちだ・・・」
悪魔の予告通り、影すら残らぬ犯行。
照は・・・1人笑っていた。
勝利が、悪知恵が彼を強くしていく。
前回に続き、岡咲の惨敗。
もう誰も、悪魔を止められないのか。
今日も・・・日が暮れてきた。
照の周りを、深い闇が多い始めたのだった。
照はすでに店から大きく離れた道を歩いていた。
照はバックの中にいくつかの盗品が入っていた。どれも食材だ。
お惣菜からはじめ、飲料、菓子類に至るまで・・・収穫はかなりのものだった。
「クククッ・・・いやぁ最高だな・・菓子類や飲み物にも手が伸ばせた。わずかの間だか、生活には困らない。」
照はどうやって犯行に及んだのか。それは岡咲が捕えた例の男の出現から・・・照の計画は実行されていた。
それは昼を迎え客入りがピークに迎えたころ・・・・・。
「さて、前回の店にはしばらく手をだせないからな・・・今日はこの店だ。さっき店の裏手を確認した時、数人の人物が換気ダクトを確認して回ってた。捜査官達だとはすぐに分かったよ・・・当然岡咲も来てるはずだが・・」
そういうと照は、駐車場の隅へ行き人目をさけて、持っていた小型の機器をいじり始めた。
「カチカチ・・・ピピ・・・・・・カチカチカチカチ・・・・・・ピピピピ」
照は笑いながら呟いた。
「フフフ・・・さすが岡咲さん、監視映像の不正操作にセキュリティをかけてやがる・・・だがそのセキュリティは恐らく外からの遠隔操作を不可能にした性能のはず、もし店内から遠隔操作されたらどうなるか・・・・まぁ・・・今回アンタ達には僕の影すら見る事ができない・・・ん?・・・やっと来たか」
照は1人の男が店に入っていくのを確認したのだ。岡咲が捕まえた男だ。
「奴の事はよく知ってる。いつか利用させて貰おうとは思ってた万引き犯だ。おそらくこの店で岡咲が警戒体制を取っているという事は、商品に前回使った特殊バーコードステッカーを使用してるだろう・・・だがあの男はそれを知らないはずだ。必ず捕まるはずだ。
・・・・あの男が捕まって事務所へ連れ込まれる・・・その時が勝負だ。」
そして、岡咲の手元の発信機が探知し捜査官達が例の男を捕えた。それを確認し、いつの間にか店内に忍び込んだ照が足早に動き出した。
「読み通り・・・利用させてもらったよ・・・お前は俺のおとりになってもらう・・・さぁ・・・勝負だ岡咲。
そして、例の男が事務所に連れ込まれ岡咲の尋問を受け始めた頃、照はいくつかの小さめな商品をバックに入れ・・・なんと他の客達のバックや手荷物の中に、特殊バーコードステッカーが貼られた商品を入れて回っていたのだ。
気ずかない客達はそのままレジカウンターを通過し、外へ出ていく。当然その瞬間、発信機のブザーは反応する。照が手にかけた客達の数は20人以上・・・ブザーが断続的に鳴るのは当然・・・照からすれば正に成功への合図だ。
捜査官達の慌ただしく動き出したのを見計らい、犯行エリアへと素早く移動しポケットに入っていた小型の機器・・・監視映像を不正操作する機器のスイッチを素早く押した。
映像削除が成功すれば、小型機の青いランプが点滅するのだ。
「ピピ・・ピピ・・ピピ」
青いランプが点滅し始めた。
一時的な映像削除が成功したのだ。映像削除していられる時間は約1分半、照は素早く商品を手に取り、客達に紛れて犯行を行い始めた。
その頃、混乱状態にあった岡咲は監視映像が一時停止状態になっているのに気ずいてはいなかった。そして、岡咲は捜査官達に出入口の緊急封鎖を命じた。
そして、1分半が経過し照が持っていた小型機のランプが青から赤へ色を変えた。
その瞬間、事務所の監視モニターは一瞬ブレて元の録画画面へ復帰した。
そして、店の出入口が一斉に閉じられた。
しかし・・・照はすでに外へと脱出していた。
「ギリギリセーフってとこか・・・ハァハァハァハァ・・・・・・・ククク・・・俺の・・・・勝ちだ・・・」
悪魔の予告通り、影すら残らぬ犯行。
照は・・・1人笑っていた。
勝利が、悪知恵が彼を強くしていく。
前回に続き、岡咲の惨敗。
もう誰も、悪魔を止められないのか。
今日も・・・日が暮れてきた。
照の周りを、深い闇が多い始めたのだった。
-早乙女 照-編 1-3
一方、照はいつもの公園へと姿を現した。
事故で受けた傷は浅くとも照を傷めつけていた。
周りに医療品が多数ならんでいる。どれも当然盗品だが・・・
だが照はそんな事よりも気になる事があった。
「あの警官・・・いや捜査官か。並の警察じゃないな。
確か特殊捜査官とか言ってたが恐らく・・・普段は組織の表には一切登場してこない輩だろう。
まさか・・・あの音声マイクや探知バーコードレスなんて持ち出して来たって事は向こうは必死なんだろうな・・・。
こっちにもそれなりの対抗手段があるけど・・・時間の問題だろうな・・・・けど僕は・・・いや・・・生きなきゃいけないんだ。そう・・・誰にも僕の気持ちは理解できはしない・・・・・誰も僕を救えないんだ・・人間は・・・汚い存在なんだ・・・誰が出て来ようが生きる為の手段は決して変えやしない・・。」
他人からすれば、照のしている事は犯罪、笑ってしまうような万引きという悪フザケだ。
だが照にとっては生きていく為に必要なルールそのものなのだ。
照を捕まえるのではなく・・・呪縛から・・犯罪から救う事ができる者は現れるのか。
もっとも、照はそんな情など求めてはいないように見えた。
その日も、盗んだ食材を食べ次に実行するであろう犯罪の手段などを考えながら、肌寒い風が吹く野外で、照は身を包ませ寝付くのであった。
翌日、朝早くからやけに騒がしいショッピングセンターがあった。ここはつい最近オープンしたばかりの店だ。
食品はもちろん、二階三階と充実した品揃えで有名だ。
従業員の車に扮して続々と入っていく怪しげな集団。
それは、実は警察だった。
しかしただの警察ではない。
岡咲が派遣したエリート捜査官によって一時結成された特殊捜査チームだった。
重々しい機器をいくつか運び出し店内へと入っていく。
同然そこには岡咲の姿もあった。
事務所にて岡咲と店長との会話が聞こえてきた。
「ご協力感謝致します。先日もご連絡させていただきましたが、今日より1ヶ月間、こちらの事務所に捜査本部を設置させていただきます。」
「いいえ構いませんよ。例の盗難事件の事はだいたい耳に挟んでいまして・・現場となったあの店の支配人とは飲み仲間でしてね・・かなり被害が拡大していたと聞いて決して他人事ではないと感じましたよ。
しかし岡咲さん?なぜ犯人が次に標的にするであろう犯行エリアが当店だと睨んだんですか?」
「当然、前回の場所にはしばらくの間手を出しては来ないと予想できます。私が釘を打っておきましたから・・・。なぜ次はこの店なのかというと、犯人にとって万引きの有効性のある条件が整っているわけです。
例に上げるのであれば、この店は非常に広い、客入りも多いし自分自身を隠すためには有利と考えられます。さらに前回犯人は盗聴器を使用し、店側の盗難防止対策を察知していました。
この店の事務所も裏手側に位置し換気扇類の外へ抜けているダクトも多々あります。
そして、あえて売上が高いだろうとする店を狙ってくるとおもいます。
売上があれば例え万引きしても盗難被害があったことに店側が気ずきにくいだろう、それほど気に障るような売上誤差ではないだろう・・・という考えですかね・・。
まぁ・・・考えはまだありますが、なにしろ巧みな犯人ですので油断はできません。」
店長は事の重大差を理解したように大きくうなずいていた。
「なるほど・・・しかしアレですな岡咲さん。たかが万引き、去れど万引きとは・・・その犯人はまるで生活に困っているというより、ここまでの計略を立ててくるなんて、犯行そのものが生きる手段みたいに聞こえてきますな。」
岡咲は薄笑しながら言った。
「フフッ・・確かに。私も思いましたよ。しかし犯罪には変わりありません。我々は常に平等に事件を見解しています。
しかも、前回のショッピングセンターより特別令状の申請も頂きましたからこれはすでに立派な第一級犯罪ですよ。」
「そうですか。当店もできるだけの協力はしますよ岡咲さん。」
そういうと、店長は事務所を出ていった。
岡咲はお茶を飲みながら呟いた。
「これで終わりにする・・・些細な子供騙しには付き合いきれない。
正義をなめるなよ犯罪者。
お前の身分がなんだろうと、私が必ず制裁を与える・・。
お前が例え悪魔だろうとも・・・。」
そして、1時間が経過した。
警備体制は整い、捜査官はそれぞれの配置に着いた。
一方、岡咲は事務所から店内を監視する事になっている。
オープン5分前になり岡咲は捜査官に無線を飛ばした。
「5分前です。犯人はすぐに飛び込んで来る可能性もありますので充分警戒を・・・それから30代以上と見られる人物は捜査官パスしてください。あくまでも低年齢の人物に注意を・・・ではお願いします。」
岡咲の合図とともに店はオープンした。
外で待っていた客達が店内に入り始めた。
監視カメラを見ながら店長が岡咲に聞いた。
「来客数はかなりのものですよ岡咲さん。どうやって犯人を特定するのですか?」
「前回は私の睨んだ通り、お惣菜コーナーと衣類コーナーの商品に細工をしました。今回も同じものを仕掛けます。レジカウンターを通さない限り、店外500メートルを離れた時点でこちらにある発信機が反応します。その時点で犯人を追跡します。」
店長はやや驚きながら岡咲に更に聞いた。
「その・・特殊バーコードステッカーでしたっけ?先程我々が通常の値札バーコードの変わりにつけたやつですよね?
故意に剥がしたりはできないんですか?。」
岡咲は薄笑いしながら答えた。
「心配いりません。あのステッカーは通常のステッカーより粘着力が高い素材でできています。仮に無理に剥がそうとしても、表の紙が剥がれるだけで、肝心のバーコード部は貼りついたままになりますよ。」
「そうなんですか。それなら安心ですね岡咲さん。では・・・私は仕入れにいって来ますので宜しくお願いしますよ。」
そういって店長は事務所を出ていった。
監視を始めて3時間が経過した。今の所は・・・なんの異常もみられなかった。
初日から犯行が行われる可能性、それどころかこの店に犯人が現れる可能性は非常に低い。
数多くのショッピングセンターがある街の中からズバリ犯行現場を決めるのは、まず神のみが知る領域ではないだろうか。
しかし、岡咲の読みは正確だった。昼過ぎになり客込みはピークになった時、岡咲の目が一人の男を捕えていた。
周りを警戒する素振り、手慣れていそうな身振り、今まさに・・・万引きをしようとするかのような人物だった。
カメラではその男が万引きした瞬間こそ正確には映しだされていないようだったが、岡咲はその目で見極めていた。
岡咲は立ち上がり、無線で捜査官に伝えた。
「岡咲です。惣菜コーナー、中央棚より犯行を確認しました。
緑のジャンバーに黒のジーパン、かなり若いです。
素振りからして手慣れています。至急、マークしてください。
出入り口通過後、即拘束を・・・
犯人の背後へ2人の捜査官がピッタリとマークに着いた。
そして、犯人はそのまま店内をウロつき、10分後店の外へと出た。その瞬間、背後より捜査官が声をかけた。
「すいませんが、身体検査をさせてください。」
そう訪ねると、男は目を泳がせながら言った。
「はぁ・・・なぜですか?俺は何もしてねぇけど・・・」
とぼけている男に捜査官は言った。
「食品を盗んだな。そのバックの中に、なんなら商品の名前までここで言ってやろうか?。」
強気に出てきた捜査官に怖じけずいたのか・・・男は小声で呟いた。
「クソッ・・・ウゼェんだよ、好きにしろや・・・」
「では・・・事務所まで来てもらう。残念だったな。」
捜査官は男の腕を引っ張り事務所へと連れて行った。
事務所につくと、男は岡咲と目があった。岡咲は男に・・・。
「初めまして、残念でしたね・・・万引き・・しっかりと見させて頂きました。随分手慣れていますね。」
男は岡咲の言葉に何も言い返せなかった。ただ頭を下げて黙ったままだっ。
「黙秘ですか・・・話になりませんね。どうせあなたは警察に突き出されますよ。その後はどうなるかはわかりませんが・・・。」
すると男は・・・。
「んな事は分かってるよ。っつうか俺未成年だし、親いねぇし、婆ちゃんだけでしかも入院中だよ。
即釈放ってやつじゃないの?」
岡咲は容赦なく問いつめた。
「それはお気の毒に。しかしそんな事情の罪人を野放しにすると思いますか?1週間は警察署にてあなたを保護し、監視させていただきます。必要ならば刑務所にも送り込むことになりますよ。残念でしたね・・・。」
岡咲の言葉に愕然としたのか、男は悔しそうに下唇を噛みしめた。そして男は捜査官に手を引かれ、事務所から姿を消したであります。
「盗品の種類、素振りや身分からして、私が睨んでいた人物に近かったですね・・・もし彼が前回の事件の犯人でもあるなら、正に拍子抜け・・・特別令状を出すまでもなかったような気がしますね・・。」
岡咲は一息つき、再び監視モニターの前に座ろうとした・・・・・・・・・・その時!!!
「ビービービービービービー!!!」
いきなり手元にあった発信機が反応した。何者かがレジを通さず商品を外に持ち出したようだ。
しかし・・・事態はそんなに単純ではなかった。一向に鳴りやまない発信機。
それを見て岡咲は・・・。
「なんだこの異常な反応は・・・なぜ鳴りやまない・・・まさか・・・腹数の犯行が一度に行われたのか・・いや・・・だがそれにしても反応が強すぎる。」
岡咲は監視モニターをチェックした。だが外にはたくさんの客達が出入りしていてとても犯人を特定するには難し過ぎた。
すると、岡咲は捜査官達に無線を飛ばした。
「全捜査官へ!!異常事態だ、二階衣類コーナーにいる捜査官は至急事務所へ・・・一階食品コーナーにいる者は出入口を強制封鎖してください。」
一階にいた捜査官達はすぐに全ての出入口を封鎖した。客達は驚いてパニック状態にあった。
一方、事務所には他の捜査官が集まり、店長も駆けつけてきた。
岡咲は事情を説明した。
「・・・・というわけです。どうか落ち着いて行動してください。
直ちに客達の荷物検査を、レジを済ませた者からはレシートの確認も忘れずに ・・・」
すると、店長が慌て言った。
「店内はパニックですよ!それなりの成果がなければ店の信用問題にも発展しかねますよ!」
岡咲は冷静に答えた。
「分かっています。被害額などは警察が負担しますのでどうかご協力を・・・」
そういうと店長は店内へと走って行った。
出入口では、厳重な検査が行われていた。
そこでは、驚くべき事態が起っていた。
なんと、数人の客達のバックなどからレジを通していない商品を確認したのだ。
しかも、そのどれもが岡咲が設置した特殊バーコードステッカーが貼られた商品ばかりだった。
客に問い詰めても、誰もが口を揃えて言った。
「知らないよこんなの!!こっちはちゃんと会計済ませたんだよ!身に覚えなんかあるわけないだろ!」
客達は激怒しながら同じ事を言っていた。
捜査官達は逆に責められながら対応に追われた。
事務所にいた岡咲は監視モニターを舐めるように見ていた。
発信機に反応があった時刻の食品コーナーの録画映像を何度も繰り返し確認している。
だが、肝心の犯行映像は映っていない。
「・・・なぜだ・・・どうして・・・監視映像の重複録画や遠隔操作による映像削除はできなくしたはず・・・どんなに優れた機器を使ってもそのセキュリティを解除するのは不可能だ・・・盗聴器も設置されていない・・・なのに・・・何故だ・・・。
他の商品コーナーの映像にも犯行映像は映っていない。
岡咲は強く拳を握りしめ、歯ぎしりをしながら机を何度も叩き始めた。
とても平常心とは思えないような岡咲は恐ろしく乱れていた。
「がぁー!!!!!!!!クソがぁ!!・・・・ハァハァハァ・・・・何故だ・・・ここまで・・・侮辱されるとは・・・・絶対だ・・・絶対地獄へ落とす!!!!!男だろうが女だろうが地獄へ落ちろ犯罪者がぁ!!!!!!!!!・・裁いてやる・・・・裁いて・・・。」
これほどまで警察を、ましてや鍛えられた特殊捜査官を狂わせた人物は尋常ではない。
店は大パニック、岡咲含めた捜査官達は狂気とかされ、まさに地獄の業火を浴びたのだ。
その業火を背に、喜びにたける悪魔がいる事には誰も気ずいてはいない。
事故で受けた傷は浅くとも照を傷めつけていた。
周りに医療品が多数ならんでいる。どれも当然盗品だが・・・
だが照はそんな事よりも気になる事があった。
「あの警官・・・いや捜査官か。並の警察じゃないな。
確か特殊捜査官とか言ってたが恐らく・・・普段は組織の表には一切登場してこない輩だろう。
まさか・・・あの音声マイクや探知バーコードレスなんて持ち出して来たって事は向こうは必死なんだろうな・・・。
こっちにもそれなりの対抗手段があるけど・・・時間の問題だろうな・・・・けど僕は・・・いや・・・生きなきゃいけないんだ。そう・・・誰にも僕の気持ちは理解できはしない・・・・・誰も僕を救えないんだ・・人間は・・・汚い存在なんだ・・・誰が出て来ようが生きる為の手段は決して変えやしない・・。」
他人からすれば、照のしている事は犯罪、笑ってしまうような万引きという悪フザケだ。
だが照にとっては生きていく為に必要なルールそのものなのだ。
照を捕まえるのではなく・・・呪縛から・・犯罪から救う事ができる者は現れるのか。
もっとも、照はそんな情など求めてはいないように見えた。
その日も、盗んだ食材を食べ次に実行するであろう犯罪の手段などを考えながら、肌寒い風が吹く野外で、照は身を包ませ寝付くのであった。
翌日、朝早くからやけに騒がしいショッピングセンターがあった。ここはつい最近オープンしたばかりの店だ。
食品はもちろん、二階三階と充実した品揃えで有名だ。
従業員の車に扮して続々と入っていく怪しげな集団。
それは、実は警察だった。
しかしただの警察ではない。
岡咲が派遣したエリート捜査官によって一時結成された特殊捜査チームだった。
重々しい機器をいくつか運び出し店内へと入っていく。
同然そこには岡咲の姿もあった。
事務所にて岡咲と店長との会話が聞こえてきた。
「ご協力感謝致します。先日もご連絡させていただきましたが、今日より1ヶ月間、こちらの事務所に捜査本部を設置させていただきます。」
「いいえ構いませんよ。例の盗難事件の事はだいたい耳に挟んでいまして・・現場となったあの店の支配人とは飲み仲間でしてね・・かなり被害が拡大していたと聞いて決して他人事ではないと感じましたよ。
しかし岡咲さん?なぜ犯人が次に標的にするであろう犯行エリアが当店だと睨んだんですか?」
「当然、前回の場所にはしばらくの間手を出しては来ないと予想できます。私が釘を打っておきましたから・・・。なぜ次はこの店なのかというと、犯人にとって万引きの有効性のある条件が整っているわけです。
例に上げるのであれば、この店は非常に広い、客入りも多いし自分自身を隠すためには有利と考えられます。さらに前回犯人は盗聴器を使用し、店側の盗難防止対策を察知していました。
この店の事務所も裏手側に位置し換気扇類の外へ抜けているダクトも多々あります。
そして、あえて売上が高いだろうとする店を狙ってくるとおもいます。
売上があれば例え万引きしても盗難被害があったことに店側が気ずきにくいだろう、それほど気に障るような売上誤差ではないだろう・・・という考えですかね・・。
まぁ・・・考えはまだありますが、なにしろ巧みな犯人ですので油断はできません。」
店長は事の重大差を理解したように大きくうなずいていた。
「なるほど・・・しかしアレですな岡咲さん。たかが万引き、去れど万引きとは・・・その犯人はまるで生活に困っているというより、ここまでの計略を立ててくるなんて、犯行そのものが生きる手段みたいに聞こえてきますな。」
岡咲は薄笑しながら言った。
「フフッ・・確かに。私も思いましたよ。しかし犯罪には変わりありません。我々は常に平等に事件を見解しています。
しかも、前回のショッピングセンターより特別令状の申請も頂きましたからこれはすでに立派な第一級犯罪ですよ。」
「そうですか。当店もできるだけの協力はしますよ岡咲さん。」
そういうと、店長は事務所を出ていった。
岡咲はお茶を飲みながら呟いた。
「これで終わりにする・・・些細な子供騙しには付き合いきれない。
正義をなめるなよ犯罪者。
お前の身分がなんだろうと、私が必ず制裁を与える・・。
お前が例え悪魔だろうとも・・・。」
そして、1時間が経過した。
警備体制は整い、捜査官はそれぞれの配置に着いた。
一方、岡咲は事務所から店内を監視する事になっている。
オープン5分前になり岡咲は捜査官に無線を飛ばした。
「5分前です。犯人はすぐに飛び込んで来る可能性もありますので充分警戒を・・・それから30代以上と見られる人物は捜査官パスしてください。あくまでも低年齢の人物に注意を・・・ではお願いします。」
岡咲の合図とともに店はオープンした。
外で待っていた客達が店内に入り始めた。
監視カメラを見ながら店長が岡咲に聞いた。
「来客数はかなりのものですよ岡咲さん。どうやって犯人を特定するのですか?」
「前回は私の睨んだ通り、お惣菜コーナーと衣類コーナーの商品に細工をしました。今回も同じものを仕掛けます。レジカウンターを通さない限り、店外500メートルを離れた時点でこちらにある発信機が反応します。その時点で犯人を追跡します。」
店長はやや驚きながら岡咲に更に聞いた。
「その・・特殊バーコードステッカーでしたっけ?先程我々が通常の値札バーコードの変わりにつけたやつですよね?
故意に剥がしたりはできないんですか?。」
岡咲は薄笑いしながら答えた。
「心配いりません。あのステッカーは通常のステッカーより粘着力が高い素材でできています。仮に無理に剥がそうとしても、表の紙が剥がれるだけで、肝心のバーコード部は貼りついたままになりますよ。」
「そうなんですか。それなら安心ですね岡咲さん。では・・・私は仕入れにいって来ますので宜しくお願いしますよ。」
そういって店長は事務所を出ていった。
監視を始めて3時間が経過した。今の所は・・・なんの異常もみられなかった。
初日から犯行が行われる可能性、それどころかこの店に犯人が現れる可能性は非常に低い。
数多くのショッピングセンターがある街の中からズバリ犯行現場を決めるのは、まず神のみが知る領域ではないだろうか。
しかし、岡咲の読みは正確だった。昼過ぎになり客込みはピークになった時、岡咲の目が一人の男を捕えていた。
周りを警戒する素振り、手慣れていそうな身振り、今まさに・・・万引きをしようとするかのような人物だった。
カメラではその男が万引きした瞬間こそ正確には映しだされていないようだったが、岡咲はその目で見極めていた。
岡咲は立ち上がり、無線で捜査官に伝えた。
「岡咲です。惣菜コーナー、中央棚より犯行を確認しました。
緑のジャンバーに黒のジーパン、かなり若いです。
素振りからして手慣れています。至急、マークしてください。
出入り口通過後、即拘束を・・・
犯人の背後へ2人の捜査官がピッタリとマークに着いた。
そして、犯人はそのまま店内をウロつき、10分後店の外へと出た。その瞬間、背後より捜査官が声をかけた。
「すいませんが、身体検査をさせてください。」
そう訪ねると、男は目を泳がせながら言った。
「はぁ・・・なぜですか?俺は何もしてねぇけど・・・」
とぼけている男に捜査官は言った。
「食品を盗んだな。そのバックの中に、なんなら商品の名前までここで言ってやろうか?。」
強気に出てきた捜査官に怖じけずいたのか・・・男は小声で呟いた。
「クソッ・・・ウゼェんだよ、好きにしろや・・・」
「では・・・事務所まで来てもらう。残念だったな。」
捜査官は男の腕を引っ張り事務所へと連れて行った。
事務所につくと、男は岡咲と目があった。岡咲は男に・・・。
「初めまして、残念でしたね・・・万引き・・しっかりと見させて頂きました。随分手慣れていますね。」
男は岡咲の言葉に何も言い返せなかった。ただ頭を下げて黙ったままだっ。
「黙秘ですか・・・話になりませんね。どうせあなたは警察に突き出されますよ。その後はどうなるかはわかりませんが・・・。」
すると男は・・・。
「んな事は分かってるよ。っつうか俺未成年だし、親いねぇし、婆ちゃんだけでしかも入院中だよ。
即釈放ってやつじゃないの?」
岡咲は容赦なく問いつめた。
「それはお気の毒に。しかしそんな事情の罪人を野放しにすると思いますか?1週間は警察署にてあなたを保護し、監視させていただきます。必要ならば刑務所にも送り込むことになりますよ。残念でしたね・・・。」
岡咲の言葉に愕然としたのか、男は悔しそうに下唇を噛みしめた。そして男は捜査官に手を引かれ、事務所から姿を消したであります。
「盗品の種類、素振りや身分からして、私が睨んでいた人物に近かったですね・・・もし彼が前回の事件の犯人でもあるなら、正に拍子抜け・・・特別令状を出すまでもなかったような気がしますね・・。」
岡咲は一息つき、再び監視モニターの前に座ろうとした・・・・・・・・・・その時!!!
「ビービービービービービー!!!」
いきなり手元にあった発信機が反応した。何者かがレジを通さず商品を外に持ち出したようだ。
しかし・・・事態はそんなに単純ではなかった。一向に鳴りやまない発信機。
それを見て岡咲は・・・。
「なんだこの異常な反応は・・・なぜ鳴りやまない・・・まさか・・・腹数の犯行が一度に行われたのか・・いや・・・だがそれにしても反応が強すぎる。」
岡咲は監視モニターをチェックした。だが外にはたくさんの客達が出入りしていてとても犯人を特定するには難し過ぎた。
すると、岡咲は捜査官達に無線を飛ばした。
「全捜査官へ!!異常事態だ、二階衣類コーナーにいる捜査官は至急事務所へ・・・一階食品コーナーにいる者は出入口を強制封鎖してください。」
一階にいた捜査官達はすぐに全ての出入口を封鎖した。客達は驚いてパニック状態にあった。
一方、事務所には他の捜査官が集まり、店長も駆けつけてきた。
岡咲は事情を説明した。
「・・・・というわけです。どうか落ち着いて行動してください。
直ちに客達の荷物検査を、レジを済ませた者からはレシートの確認も忘れずに ・・・」
すると、店長が慌て言った。
「店内はパニックですよ!それなりの成果がなければ店の信用問題にも発展しかねますよ!」
岡咲は冷静に答えた。
「分かっています。被害額などは警察が負担しますのでどうかご協力を・・・」
そういうと店長は店内へと走って行った。
出入口では、厳重な検査が行われていた。
そこでは、驚くべき事態が起っていた。
なんと、数人の客達のバックなどからレジを通していない商品を確認したのだ。
しかも、そのどれもが岡咲が設置した特殊バーコードステッカーが貼られた商品ばかりだった。
客に問い詰めても、誰もが口を揃えて言った。
「知らないよこんなの!!こっちはちゃんと会計済ませたんだよ!身に覚えなんかあるわけないだろ!」
客達は激怒しながら同じ事を言っていた。
捜査官達は逆に責められながら対応に追われた。
事務所にいた岡咲は監視モニターを舐めるように見ていた。
発信機に反応があった時刻の食品コーナーの録画映像を何度も繰り返し確認している。
だが、肝心の犯行映像は映っていない。
「・・・なぜだ・・・どうして・・・監視映像の重複録画や遠隔操作による映像削除はできなくしたはず・・・どんなに優れた機器を使ってもそのセキュリティを解除するのは不可能だ・・・盗聴器も設置されていない・・・なのに・・・何故だ・・・。
他の商品コーナーの映像にも犯行映像は映っていない。
岡咲は強く拳を握りしめ、歯ぎしりをしながら机を何度も叩き始めた。
とても平常心とは思えないような岡咲は恐ろしく乱れていた。
「がぁー!!!!!!!!クソがぁ!!・・・・ハァハァハァ・・・・何故だ・・・ここまで・・・侮辱されるとは・・・・絶対だ・・・絶対地獄へ落とす!!!!!男だろうが女だろうが地獄へ落ちろ犯罪者がぁ!!!!!!!!!・・裁いてやる・・・・裁いて・・・。」
これほどまで警察を、ましてや鍛えられた特殊捜査官を狂わせた人物は尋常ではない。
店は大パニック、岡咲含めた捜査官達は狂気とかされ、まさに地獄の業火を浴びたのだ。
その業火を背に、喜びにたける悪魔がいる事には誰も気ずいてはいない。
