(以下ネタバレ気にせずに語りますよー)
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まずは松下&柿澤から語ってみようかと。
このペアを観たときの一番最初のインパクトは、柿澤彼の甘えっぷりの酷さ!!全身投げ出して松下レイに寄りかかっているような。良知&小西は小西彼が良知レイに全く心を許していないように見えていたから、真逆でびっくりしたーー!!
何でそんな風に感じたのかを考えると、多分、柿澤彼がすごく無邪気に、心のままの表情を見せていたからだと思う。これも小西彼と比べてぜんぜん違うんだけど、ほぼ表情を変えない小西彼に対し、柿澤彼はほんっとくるくる表情変わる。…っていうか前半ほとんど笑顔じゃなかったか!?(もちろん意地悪っぽい笑みもあれば、面白いこと思いついた!的な小悪魔的笑みもあり、いろいろバリエーションはあるんだけど、基本笑顔…)。松下レイの前では何も取り繕うことないし、それが受け入れられることを微塵も疑っていないから、あれだけ心のままに表情を出せるんだろうなと思う。
そしてまた、松下レイがそれを受け入れちゃうのよね。柿澤彼のわがままや勝手さに翻弄されて困っているように見えるけれど、分かったうえで翻弄されているように思えるし、何よりも彼に対する思いのベースが、慈しみや優しさといった情愛であるように感じたのです。
それをすごく感じたシーンが2つあって、ひとつは殺人計画のところ。最初は「弟を殺そう」と柿澤彼は言うけれど、松下レイは「彼も家族だ」と必死に止める。その必死さが良知レイとかとは全然違っていて、柿澤彼に家族殺しをさせたくないというすごく切実な思いを感じた…。で、そのあと「殺すのは別の相手」と柿澤彼が言ったことにほっとして、殺人をすることそのものについては、妥協してしまったように見えた。(殺人そのものを止めなかったらその先の悲劇を止められないのに………(涙))
もうひとつもやっぱり家族がらみで、脅迫状をタイプするシーン。柿澤彼の「俺が誘拐されても親父は金をださないだろうな」に対する松下レイの、「そんなことないよ、きっと心配するよ」(台詞は相当うろおぼえ)がとても真摯で、彼の孤独を一生懸命埋めようとする気持ちがこもっていて、なんかそれだけで泣けた。必死さがいじらしくて切なかった…。
この二人は、芝居空間の中に二人でいることがすごく自然で、隣に相手がいることがしっくりくる。それは多分、今回が3演目になる松下くんと柿澤くんが、プライベートでも一緒の時間を沢山過ごしたことで身に着けたものなんだと思う。ツーカー感が強くてお互い一緒にいることに疑いをもっていなくて、幼少のころから一緒に時を過ごしてきたんだろうなと想像させる親密さ。だから、きっと松下レイは柿澤彼の家族のこともよく知っているし、幼いときからの柿澤彼の痛みもよく知っていて、それが家族に関する台詞の真摯さにつながっていたんじゃないかと思ってます(幼い頃の柿澤彼が傷ついたときに傍にいてくれたのは松下レイだったんじゃないかとか妄想)(妄想過多なのは承知しています、ごめんなさい……)
全体の印象としては、松下レイがあともう少しだけ大人で、知識や経験、何より柿澤彼以外の人間との関係を持っていたら、悲劇を回避して幸せになれたんじゃないかという気持ちがあって、それがものすごく切ないです……。でも結局、柿澤彼に寄りかかられることをよしとし、一緒に立とうとしなかったことが、松下レイの弱さであり、共依存の部分だったんだなと思います。
スリルミー好きのお友達と、松下レイと柿澤彼はどうしたら幸せになれるのかを散々検討したんだけど、結論としては、松下レイが一回本気で柿澤彼と喧嘩をするべきだったんだろうな、と。柿澤彼の甘ったれで世間を舐めている部分をちゃんと突きつけて、本人に自覚させなきゃいけなかった。でもそれが出来ないのが松下レイの弱さと幼さで。柿澤彼が松下レイに寄りかかっていたのと同じくらい、松下レイも柿澤彼の存在に自分のアイデンティティーを置いていて、柿澤彼が傍にいない自分なんて想像できなかったんだろうな…。
多分、二人は一度離れて、それぞれ一人だけで歩いてみなくちゃいけなかった。物語の冒頭、半年間松下レイの前から姿を消していた柿澤彼が再び姿を見せるところから始まるけれど、これが半年でなくせめて一年あったら結末が変わっていたんじゃないか、とか思ってしまうのですよ…。一年あれば、松下レイはなんとか立ち上がり柿澤彼以外の人間との関係を構築して、そして他者との関係を持ったうえで柿澤彼と再会していたら、柿澤彼と本気で喧嘩できたんじゃないかな、と…。ほんとにあそこで何故一年間我慢できなかった、柿澤彼!!(私の脳内では、半年で我慢できなくなったのは柿澤彼のほうだったのだろうという結論になってます。「お前にとっては長くてつらい半年だっただろうが」って台詞、半年が長くてつらかったのはお前のほうだろう!とつっこみ。)
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こんな感じで、二人の関係性についてはかなり妄想過多です。お恥ずかしい…。
で、肝心の松下レイが彼を落としいれようとしたのはどういう心の動きだったのだろう、という点ですが、実はいまひとつ追いかけられずに終わってしまった……。すみません。かろうじて考えたのは、柿澤彼の殺人を止められなかったとき(前述したように、それは松下レイの妥協に思えた…)に、万一彼がこれで捕まるようなことがあっても、一生一緒にいられるようにするために仕掛けたのかな、とかそんなことだったのですが……。いや、多分違うな……。
私は松下レイには健やかさをみているので(スリルミーを歌うときでさえ、あまり壊れた感じは受けなくて、まあ10代だから欲しくて堪らないのはしょうがないよね、と思いながら観てしまったという…)、柿澤彼を打ち負かしたいとか、執着心が暴走したとか、そういう昏い心の動きはあまり感じられなかったのです。だから、もし松下レイが柿澤彼を嵌めようとするのだったら、唯一、柿澤彼のことを信じられなくなったということ以外考えられないのだけど…。このあたり一回観劇だと限界があります……。次回公演に期待しています。もう一度二人の関係をじっくり検討してみたい。
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あとですね、松下レイ&柿澤彼で見たときだけ、私の中に湧いてきた感情があって…。それは、この二人の犯罪が許せないという気持ち。34年後の松下レイは、柿澤彼に先立たれ、どうしようもなく孤独で、最早心が壊れてしまっているように見える。その松下レイの姿に胸が痛むのと同時に、同じように愛するものを理不尽な暴力で奪われた被害者の両親のこと、理不尽に未来を奪われた被害者のことを思ってしまう。
多分良知レイ&小西彼は、良知レイが狂気に足突っ込んでいることや、小西彼の虚無感と非日常的な美しさが相まって、非常にフィクションの肌触りが強い。そのために二人の犯罪のことまで思い至らないんだと思う。
だけど、松下レイ&柿澤彼の場合。柿澤彼の、世間を舐めきった幼さが暴走してしまった犯罪は、………なんかリアルだと思ってしまった(最近の少年犯罪ってそれこそはっきりした動機なんてなく、稚気の暴走が多いように思うので)。そして松下レイが、柿澤彼への愛ゆえに、あの犯罪に乗ったのであれば………、自分が柿澤彼を愛しく大切に思うように、被害者のことを愛しく大切に慈しんでいる人たちがいたことに思い至って欲しかった………。あんなに柿澤彼の痛みを感じ取って、痛みから守ろうとしていた松下レイだったら、できないことじゃなかったんじゃないの……
松下レイ&柿澤彼のことを沢山沢山妄想して、彼らのことが大好きになったからこそ、あの二人の犯罪が本当に悲しい。二人には幸せになってほしかった。34年後の松下レイの姿はとても痛ましいけれど、彼らがしたことを思うと、自分の痛みや悲しみに酔わず報いをしっかり引き受けて欲しいと、そんなことを思ってしまいます……。
(物語とリアルを混同してしまってごめんなさい……)
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役者について。
柿澤くん、舞台は初見。その前に勇者ヨシヒコとかスナックらららのゲストで、映像は見ています。歌が上手との前評判だったので期待していたけど、この日は2演目だったのでちょっと残念だったなぁ…(やっぱり中1.5時間で2演するのは相当きつそう…。二人芝居で出ずっぱりだし)。とにかく楽しそうに生き生きと舞台を勤めていたことが印象的でした。小生意気な笑顔が可愛いっっ♪♪ ロミオ、観にいきたいなー。
松下くん。リタルダンドの鋼太郎さんの息子役で一回見ているかな。そのときに比べて、役者としての存在感がすごく大きくなった気がする!(まあ、リタルダンドは相手役が鋼太郎さんだったり、山崎一さんだったり、市川しんぺーさんだったりで、上手い人たちばっかりに囲まれていたってのもあるけれど)。スリルミーは私がレイに肩入れして見がちなので、その比重が大きくなるのは仕方ないのだけど、しっかりと構えて、柿澤くんのはしゃぎっぷりを受け止めていて、すごくいいなぁと思いました。(このあたりの二人の素のありようが、そのまま松下レイ&柿澤彼の関係性につながっているように思う)
20日の観劇を終えたあと、松下くんのブログの↓の記事を読んで、ちょっときゅんとしてしまった。そうだよ、舞台役者はみんな命を削ってあの場所に立っている!それを見たくて劇場に通っています。こっちも命を削りながら舞台を見ているよ!! どんな役者さんに育っていくのかがすごく楽しみー。今後の活躍も期待してます。
http://www.kouheiweb.com/?p=diary&di=959797