井上芳雄
石原さとみ
高畑淳子
山崎一
神野三鈴
山本龍二
音楽・演奏:小曽根真
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なんてこと、ラスト5分録画が切れていた…orz。BSでもう一回放送するけど、ハイビジョンの綺麗な映像で残したかったのにーーー!!それでも、尻切れトンボのこの状態でも、作品の持つメッセージに泣けて泣けてしようがなかったです。
「組曲虐殺」は小林多喜二と、彼の周りの人々を描いた作品。悲惨なシーンとかはほとんどなくて、全体的に笑いが多い。なのに、笑っているうちに、気づくと涙が溢れていて…。
井上ひさしの「むずかしいことをやさしく/やさしいことをふかく/ふかいことをゆかいに/ゆかいなことをまじめに書くこと」というポリシーはこの作品でも貫かれていて、作品のメッセージは難しいところなんて少しもない。笑いながら芝居を見ているうちに、すとん、とメッセージが胸にに落ち、そして気づいたら胸の痛みに涙が溢れている。胸に落ちたメッセージは、明快なのに、深くて、何度も何度も繰り返し考えてしまう。
今日もそうだったけど、井上ひさしの戯曲を見ていて涙が溢れるのは、「生きていくって辛いこと」という逃れようのない苦しい真実と「だけど日々を笑いながら生きていこう」「人は人を信じるに値する」という希望が必ず示されているからだなぁ。今更の話だよね、だってこの主題、既にひょっこりひょうたん島の主題歌ででてきているもんね。「苦しいこともあるだろうさ/悲しいこともあるだろうさ/だけど僕らはくじけない/泣くのは嫌だ笑っちゃおう/すすめー」ってね。(しかし私は泣きすぎである。こうまで心が揺さぶられるのはちょっと病的)
そして、更に小林多喜二は物を書く人だから、なんだか彼の思いが井上ひさしの思いにも重なって見えました。「後に続くものを信じて走れ」という歌。多喜二は握り締めたペンを見つめて、この歌を歌うのだけど、それは井上ひさしの決意に思える。きっと誰かが続いてくれると、きっと世界は変わっていくと、そう信じて書くのだと。絶望せずに、信じるのだと。(ちょっと痛い話になるけど、去年10月にこの芝居を見たとき、私はいろいろ気持ちが弱っていて、世の中に希望なんてないんじゃないかという気持ちになっていたんですが、この芝居を見て、違うんだ、信じることが希望になるんだと、そう思ったんです)(だけど信じることは、今度は思想につながっていくんだろうか。「思想なんてたかだかそれっぱかしのものじゃないか」と言わせた野田さんの思いももっとよく知りたいなぁ…)
もうひとつ泣きポイント。これは作品のメッセージとは関係しない部分なんだけど、石原さとみ演じる瀧ちゃんに相当泣かされました。まあ、多喜二と、三鈴さん演じる富士子さんとで三角関係なんです。多喜二は最初瀧ちゃんと婚約しているんだけど、左翼活動とかしているうちに、一緒に活動する富士子さんと結婚する、と。で、石原さとみちゃんがよくってさ。瀧ちゃんが多喜二兄さんを慕っているのがありありと分かって、いじらしくって、すんごい可愛い。多喜二兄さんのために、と身を引いたあとも、やっぱり好きなんだなーと伝わってきて、胸が痛くて泣けました(このあたりは私の少女漫画好みの表れですね)。
芳雄くんは、うーん…。生で見たときも思ったけど、やっぱりTVで見ても芝居が今ひとつと思っちゃいました。周りが皆お上手なかたばっかりなのでその中にいるとなかなかきつく…(石原さとみちゃんは役柄が本人に合っていたので特に芝居のまずさは感じなかったのです)。でも、いいのかな。歌には芳雄くんの存在感があり、それを思うと、この役は芳雄くんのための役なのかも、とも思うし。再演が決まっているそうなので、そのときにもっともっとよい芝居を見せてくれたらいいなぁと思います。