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第二回 ソーシャルメディア クリエイティブディレクター ナカヤマン。(その2)

こんにちは。コンサルタントの池松です。
ゲストは、ファッション業界でソーシャルメディア・ブランディングを手掛ける
株式会社ドレスイングの代表取締役CEOで、
ソーシャルメディア クリエイティブディレクターのナカヤマン。氏です。

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今回は、(その1)からの続編。
デジタルとの付き合い方などについても聞いてみました。

* * * *

池松 今、ツイッターやフェイスブックをやってるかやってないかって
聞かれることも多くなってきて、
やならきゃダメなの?って思っている人も多いと思うんですが。

ナカヤマン。 無理にやらなくてもいいですよ(笑)
あくまでもツールであって、それ自体が目的ではないから。
流行っているからと言ってやらなければならない理由がない。

ただ、自分はもともとマーケティング畑の人間だからか、
ソーシャルメディアのロジックって好きなんです。

ここ数年で、ウェブで情報を探すようになりましたが、
情報が沢山ありすぎてうまく拾えなくなってきている。

検索しても、数ページ以上見ないと
自分が欲しい情報が出てこなかったりもしますよね。
だったら、10人の信用できる人を探して、
その人の発信から学んだ方がよっぽど効率がいいよねと。

例えば自分の趣味趣向と合う人を探す方が、断然効率がいいんです。
世の中にはいろんな先生やお手本が存在しているので、
そういう先生から学ぶツールがソーシャルメディアだったりする。

池松 そういったツールとして使った場合、
考えておかなきゃいけないリスクはありますか?

ナカヤマン。 見られている意識が逆に働くとしんどくなるかもしれませんよね。
見栄えの良いことだけを選んで発信することはよくあると思うけど、
行きすぎると、やってもないことをやった風に書いたり。
このカフェでお茶してますって言ってても、いないかもしれない。

もしくは、かっこいい発信をするために、かっこいい行動をしなくちゃなんて
強迫観念が出てきたりすると、これはしんどいですよね。
自己顕示欲が満たされ易いのもリスクというか。

池松 なるほど。

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ナカヤマン。 使っていていくと分かると思うのですが
ソーシャルメディアって、ある部分は効率的な一方で、
無駄も良しとする部分が大きいと思います。

検索で狙った情報だけをダイレクトに探すのではなくて、
ある人の発言を受信することで、何かを得ようと待つ。

そこには必要なものと必要でないものが当然含まれるわけだけど、
必要だと思っていなかったものに興味を持つチャンスも沢山ありますよね。

デザインとかクリエイションってそういう環境じゃないと、
生活に入ってこないことも多いじゃないですか。
絶対必要なものではないけれど、人生を豊かにしてくれるものって。

みんなが効率的に世界を作り上げ過ぎて、
楽しく無くなったのかもしれない。
「もうちょっと非効率的な方が良かったんじゃないか」って揺り戻し願望が
ソーシャルメディアを生んだのかもしれない、なんて考えたり(笑)

ファッションも効率的になりすぎると魅力がなくなるじゃないですか。
無駄かもしれないけど、あった方が楽しいものとして捉えた方が美しい。

そういう意味で
ファッションとソーシャルメディアとの相性はいいです。
明確な方法論がないので、
まだまだファッション業界も試行錯誤ですけどね。
未来はあると思っています。

効率化するツールってクリエイションをする人は
キライだったりしますよね。
無駄を愛すると言うか。
数年前はソーシャルメディアも
そういうものの一つと捉えられることも多かったです。

でも「やってみると相性良かったよ。」と言われる事も増えました。

さきほど(その1で)、
効果測定の数値に比重を置き過ぎるのも考えものだと話しましたが、
そこともリンクするかもしれませんね。
無駄が役に立っている部分を捉えないとならないという意味で。

池松 結局は、数じゃなくて質だということですかね。

ナカヤマン。 質の捉え方に関しては、結論はまだありませんが、
ツイッターでアクティブサポートなどを運営していても、
ある瞬間に、感じる時があると言われます。
「あ、ユーザーと繋がった」って。

業務上、当社はあくまでもサポートする立場です。
運営自体はクライアント側のスタッフ。
編集長だったり、ブランドのPRだったり。

その「繋がった」を体感すれば、
次のブランディングプランに生かせます。
そこは当事者として感じて頂きたいですよね。

某雑誌のツイッターの例で言えば、
編集長自ら運営して頂いてますが、
毎月発売日に読者とコミュニケーションしています。

あるタイミングで「もう楽しくてしょうがない」ってメールが来たんです。

ツイッターのタイムライン見ていても明らかに楽しそうなんですよ。
だから「タイムライン見てましたが、
その楽しさダダ漏れしてますよ。」って返信しました(笑)

編集長からすれば、雑誌は作品だし、
子供みたいなものじゃないですか。
それを見てくれた読者から、しっかりレスポンスが来る。

気持ちが入っている「読みました。良かったです」「ありがとうございます」っていう
コミュニケーションの中に、何か暖かいものが宿るんだと思います。
それって「幸せ」だよなあ、ってその時思いましたね。

池松 読者アンケートを見て、夜中の残業中も
元気が出たって編集者の話、聞いたことがあります。

ナカヤマン。 140文字しか書けないのも良いんでしょうね。
書かなくちゃって気負いも小さいし、想いだけを素直に届けられる。
その少ない言葉でも、感情が伝わっているっていうのは何度も体験していますし、
数値化できないけど重要なものの一つだと思います。

ファッション業界転職ブログ-03

池松 その点は、ロジックを頭で理解するというよりも、
体験している人だけがわかるニュアンスなんでしょうね。

ナカヤマン。 あとは、本当のお客さんを取れているか、
からっぽの数字だけが積み上がっていないか、
というのも感覚で捉えるもののひとつです。
ファッション雑誌のアカウントなのに、
占いやお天気のコンテンツで集客している所もあります。
そうするとフォロワーやトラフィックが上がっている様に見えても、
本来の目的であるファッションコンテンツに興味を持たれないという現象が起こります。

占いなんかは特に、女性が興味を持つ確立が高いし、
広い意味では性別は担保できても、そこから先の議論は難しい。

これは色んな側面から検証できる課題でもありますが、
集客方法や、発信内容から感覚的にイメージすることも重要です。

池松 見誤ってしまうんでしょうね、早く結果を出したいがために。

ナカヤマン。 結果を見据えて走らないとブレますね。
ブレるチャンスっていっぱいありますから(笑)
自分より後発のアカウントに、数字だけでも抜かれると
運営している側はやっぱり焦りますよ。
「いや、中身が違うから気にしなくていいんだ」って理解はできても。

池松 これからスタートする場合、
デジタルをライフスタイルに取り入れるための
コツがあれば教えてください。

ナカヤマン。 ひとつは、情報発信することに慣れることですね。
プレゼンが苦手な人が、まずは数名の前で話すことに慣れれば良いように、
小さいレベルから情報発信に慣れていく。

意味のある発信というのは与える行為なので、
受け入れてくれる相手が出てきやすいですよね。
相手が出てくれば「発信」は「繋がる」に発展する。
そうすると楽しくなってきます。

仕事でアカウントを運営できるリテラシーがあるかどうかも、
自分が個人として、そこで立ち振る舞うことの延長にあると思います。
勿論、集団の代表としての立ち振る舞い、
ビジネスの側面で必要な目的などは付加されていくわけですが。

まずはそこの住人になってみる。
難しく考えないで、そこに存在してみる。

例えば、ブログを書いても5回くらい見直す方いますよね。
誤字脱字ないかしらとか、この言い回しどうかしらとか。
その手間を掛けながらしっかり更新を続けるというのは相当しんどいです。

バンバン更新できるブロガーは、そこまで考えていない。
書くことに慣れているのもありますが、
送信ボタンをピッ押すのに慣れているのも大きい(笑)

池松 そうそう、世界中の人が自分のこと注目してるわけじゃないし(笑)。
オフラインでは当たり前に理解できていることが、
デジタルになったとたん意識し出す。

ナカヤマン。 ブログの更新になると、
世界中の人が注目してるんちゃう?みたいな(笑)。

池松 あと転職に優位になるネットスキルとかあればぜひ。

ファッション業界転職ブログ-04

ナカヤマン。 ご自分が相性の良いサービスで良いので、
ひとつを熟知するというは大事でしょうね。
一般ユーザー向けのサービスなのですから当然、
簡単にアカウントが作れて、簡単に操作できるように出来ています。
ツイッターも、フェイスブックも、
タンブラーも全部やってますという事実に意味は無い。

逆に突き詰めて、根本的にどういう意味合いの物なのかが分かり始めると、
他のサービスも容易に理解できます。

またコミュニケーションのツールなので、
コミュニケーション自体が財産になりますよね。
一つのサービスで良いから深く人と関わるっていうのは重要だと思います。

池松 そういう意味では、ナカヤマン。は、
ツイッターが一番合ってたんですね。

ナカヤマン。 そうですね。
僕はツイッターのファーストインプレッションが
「すごいセグメントツール」という解釈だったのでハマりました。
今の当社のビジネスも、その解釈の延長ですね。

ソーシャルメディア自体に可能性を感じていますが、
特にツイッターには欲しかった側面がある。
ファッション業界にもメリットを提供できる、
使えるツールだと思うんですよ。

池松 その「使える」って、具体的にどういうことですか?

ナカヤマン。 僕は元々カーオーディオ、カーナビ業界にいました。
競合が数社しかない業界です。

カーナビなんて、モニターの枠の部分くらいしか
デザインできなかったりと、
明確なブランディングがとてもしづらいんです。

当然、僕ひとりで作るわけではないから、
必ずどこかでブレますよね。
何百人でブランドを作っている訳ですから。

僕はブランドマネージャーでしたから、
どうやったら一つのまとまったブランドが作れるかを思考錯誤していたのですが、
ターゲット設定を共有する、というところに人より比重を置いていました。

だから今の会社でも、
ターゲティング、セグメンテーションが業務の中心にあります。

ファッション業界に転身して確信したのは、
ファッション以外の業界がコラボレーションするのに、
こんなに良い業界はないなという点です。

ブランド数が多く、ユーザーの特徴が明確に見えやすい。
ブランド数が多い分、一つのブランドのカバーしている範囲が
ある程度小さいので捉えやすい。

例えば、自動車業界で今まで取れていないユーザーを獲得する為に、
新商品を発売するとします。

その「取れていないユーザー」を明確に人に伝えるのって非常に難しい。
でもファッションでいうと、
このブランドのユーザーに伝えられないかなって考えています。
そこが指し示す集団は、先ほどの話の通り大き過ぎないし、
明確な特徴を持っています。

その集団とその特徴を表現してあげることが出来れば、
新しいコトが出来そうなだと思います。
ツイッターを始めて見た時に、それが出来そうに感じたんです。

ツイッター上でつぶやいては溜まっていく本音や願望が
ブランドマップやセグメンテーションツールに変わる絵が浮かびました。
僕にとってはそれがとても魅力的で面白いクリエイションです。

それが出来てしまえば広告というシステム自体が
根本的に変えられると読んでいます。

ツイッターのログを貯めて加工するようなビジネスですが、
実際に数社と動き始めているものもあります。

それがまずはファッション業界に、次にファッション以外の業界に、
メリットをもたらせると考えています。

ファッション業界転職ブログ-05

池松 構えていないつぶやきからの分析って
確かに新しい発見がある気がしますね。
ところで最近は他に、どんな活動してますか?

ナカヤマン。 ソフトバンクアカデミアに行っていますよ。
すごく刺激的です。

池松 あれって、8000人とか応募が来たんですよね!
その中の何名に選ばれたんですか?

ナカヤマン。 最終的に100名に絞られたようです。

池松 おお、それは素晴らしい!

ナカヤマン。 やっぱり面白いですよ。
色んな業界の方々が集まっているし、
孫さんの後継者育成が目的なので経営者が多い。
刺激受けますよね。

アカデミアの課題もそうですが、
社会人になって、学校みたいにゴチャっと集められたその出会いが、
すごく新鮮で面白いです。既にいろんな化学反応が起こっているし。

池松 なんか学生に戻った気分。わかりますー。

ナカヤマン。 学校って、普段の環境と違うから、
違う種類の成長を一気に起こしている体感がありますよね。
自分で会社やっていると特に、人生=仕事にもなりがちだし、
自分の関連分野の出会いしかなかったりしますし。

池松 じゃあ、100人が一気にクラスに集められちゃう感じですか?
色々クラスがあって、それを各自受けるとか。

ナカヤマン。 ソフトバンク社内から選ばれた内部生が200名、
外部生が100名います。
合計300名で、課題によってクラス分け方は違いますね。

あと入れ替え制なんですよ。
定期的に下位の何割かがクビになって、その分新入生が入ってくる。
なんか天下一武道会みたいですよね(笑)。

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http://www.softbank.co.jp/academia/

池松 ゴールは後継者?時期は決まってるんですか?

ナカヤマン。 孫さんは引退時期を決められていて、
あと十数年?しかないからということらしいですが。

池松 あと10年も!(笑)
それをずっと繰り返しやっていくんですか。
学費はかからないんですか?

ナカヤマン。 ないですね。払うわけでも貰うわけでもなく、
そういったコンテンツと場所を提供して頂いているという状態です。
定期的に孫さん直々に講義もしてくださるし、面白いですよ。

孫さんが校長なんですが、
生徒としては、目立ちたいじゃないですか。
その感じも面白いですよね。
いい年こいたおっさんが、必死になって目立とうとしている(笑)。

会社やろうが、今の年齢になろうが、
こんなクソガキでいいのかなって思うことも多々あるわけじゃないですか。
「あ、みんなそんなもんか」的な意味で安心感得られたり(笑)。

池松 ナカヤマン。も孫さんに認められたいとか
そういう向上心はあります?

ナカヤマン。 認めてほしいっていうよりかは、
今やっていることをしっかり説明した時に、
どういう評価をくれるのかなっていうのは興味ありますよね。

ファッション業界転職ブログ-07

池松 最後に、今悩んでいるクライアントに対して
ナカヤマン。氏の会社が提供できることを教えてください。

ナカヤマン。 よりソーシャルメディアが重要視される時代になっていくと思われます。
その時代の変化との差分は埋めて差し上げられます。

クライアントが今まで積み上げてこられたブランドや事業ありきで、
その時代に、どのレベルで、どのように対応すべきかという点ですよね。

環境やマーケット、ユーザーがこう変化するからには、
最低限こういう対応は必要です、
最大限に対応するとこういうプランがあります、
という部分はまずお話できます。

時代が変わるのに、あり方を検証もしないという選択肢は、
さすがにあり得ないじゃないですか。

結論として「やらない」という選択肢はもちろんありますよね。
でも少なくとも、自社の事業と時代とを比較検討した上で、
やらないという判断をすべきです。

まずはその検討の為の材料と、検討のお手伝い。
これがファーストステップ。

その上で何かをやると決められたなら、
その対応を構築するお手伝いをします。

その前提になるのは、何度も言いますが
環境、マーケット、ユーザーの変化。
これは不可逆の流れだと思っていますから、
自分が関わる方には、せっかく起こっているその変化をうまく生かして頂きたいです。

その代わり12ヵ月じっくり一緒に作り上げていく形をとらせて頂く提案をしています。
むしろ、それくらいスピード感のないメディアだと思って頂いた方が本質に近いかもしれません(笑)。

* * * *

今回のナカヤマン。との対談では、
デジタルツールと付き合う上での考え方を色々な視点で伺えました。

ファッション業界とデジタルの融合は
まだまだスタートしたばかりです。
が、むしろ協力者たちは、たくさん増えてきているようです。

(文責:堀田律子)



取材協力点DATA
UnCafe(アンカフェ)
フレンチベースのフュージョン料理で人気のカフェレストラン。
白を基調とした明るい空間と、フィリップ・スタルクのチェアが印象的。
住所:東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山ガーデンフロア
TEL:最寄り駅:表参道から徒歩3分。
URL:http://www.uncafe-tokyo.com/

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第二回 ソーシャルメディア クリエイティブディレクター ナカヤマン。(その1)

こんにちは。コンサルタントの池松です。
今回は、ファッション業界でソーシャルメディア・ブランディングを手掛ける
株式会社ドレスイングの代表取締役CEOで、
ソーシャルメディア クリエイティブディレクターのナカヤマン。氏がゲストです。

ファッション業界転職ブログ-01

場所は、表参道にある青山ブックセンター隣り、
フレンチ・フュージョン料理が人気の「UnCafe(アンカフェ)」。

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食べるサラダシェイクで、草食系男子を装っての対談です。

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* * * *

池松 まず、ナカヤマン。の名前の由来について、
特に「。」の意味、興味あります。

ナカヤマン。 そこからですか!(笑)

ボクは7年前に独立したんです。30歳のタイミングで。
ファッションブランドのブランド戦略業務のみを請け負う仕事でした。
はじめはフリーランスだったので、
まずは初対面で覚えていただかないといけないなと。

当時住んでいた中目黒の仲間でフットサルをやっていて、
ユニフォームにふざけて「NAKAYAMAN」と書いていたんです。

それで「ナカヤマン」がアダナになってしまっていて。
インパクトもあるし、仕事もこれでしちゃおうと(笑)

池松 「。」を付けたのは?

ナカヤマン。 ボクの師匠にあたる方で、
テレビ業界出身のプロデューサーの方に従事していた時期があるんです。
ある日、事務所に番組に出演する占い師さんが来られてたんですよ。
めちゃくちゃ当たる方で。

ご挨拶をしようと名刺を渡したら
「画数が悪い!」「一画増やしてください!」と言われて。
そもそもがフザけた名前なので
一画増やすくらい いいやと「。」を足したんです(笑)

池松 確かに一画プラスですね(笑。
今の会社の仕事内容を教えてください。

ナカヤマン。 ここ3年弱はソーシャルメディアを用いた
ブランド戦略の提供が中心ですね。

池松 ソーシャルメディアを用いたブランド戦略というと?

ナカヤマン。 フリーランス時代から、ブランドが狙う方向に合わせて
戦略を提供するブランド・コンサルタント業務をしていたのですが、
ブランディング・エージェンシーって、
どういう商売なのか、
何を提供する会社なのか正直理解されづらい。特に日本では。

3年弱前、ツイッターを始めた時に、
これはすごいセグメンテーションツールだと驚いたんです。
「フォロワー」という概念を「顧客」や「ターゲット」という概念と結びつければ、
戦略が組み立て易くなる上、理解もしてもらい易くなる、と雷に打たれた気分でした。

そこからソーシャルメディアを猛勉強して、
ブランディングのツールとしての可能性が見えたので、
これに絞ってやって行こうと決めました。

現在行っているのは、本来提供していた「ブランド戦略」を、
ソーシャルメディアを手段に組み上げたものです。
目的も明確なりますし、都度の課題も明示できるように構築しています。

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株式会社ドレスイング/Dre55ing Inc. http://dr55ng.jp

池松 今のクライアントのポートフォリオの中でも、
ファッション業界のクライアントは多いですか?

ナカヤマン。 7~8割ですね。

去年からサイバーエージェントさんとの共同事業で
ソーシャルメディアのセミナー/スクール事業をやっている事もあり、
ソーシャルメディアの会社と認識されることも増えました。
残り2~3割はそういう入口でお声掛け頂くクライアントで、
古巣の車業界のクライアントもおられます。

ファッション業界のクライアントでは、
雑誌社:ブランド=5:5ですね。
ソーシャルメディアのアカウント取得から始まって、
ガイドラインの策定、運営の目的設定、戦略の立案、測定指標の選択など、
基本的には皆さん12カ月契約で、しっかり関わらせて頂いています。

池松 12カ月もかけるんですね。

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ナカヤマン。 正直、場当たり的にソーシャルメディア運営の
リテラシーを身に付けて頂くだけなら、半年かからずに対応できます。
一方で、全体戦略ありきでソーシャルメディアに戦略の一部を担わせるという観点で行くと
12カ月でようやく功績が見えてくる頃だと思います。

当社はブランディング・エージェンシーです。
戦略ベースのお話が出来なければ、
当社のメリットを御提供できないのでお断りしている状況です。

例えば、電子書籍を念頭に置いている雑誌社と、そうでない雑誌社では、
ソーシャルメディアに担わせる業務が極端に変わります。

前者では電子書籍の認知と決済サイト、ストアへの送客が
ソーシャルメディア・アカウント育成の指標になりがちでしょうし、
後者では紙媒体の内容を補完する存在がアカウントであったりします

スケジュール感も含めて、中期的に、どういう戦略の上に成立させるかによって、
ソーシャルメディア・アカウントでやらなきゃならないことって
ずいぶん変わってくるんですよね。

ブランドにしても、eコマースを自社でやっているか、
直営店舗があるないかだけでも、ゴールやポジショニングは変わってくる。
戦略に基づいてしっかり構築するのには、12カ月くらい必要だと感じています。

池松 ブランドがソーシャルメディアをやる上で
気を付けなくてはいけないことって、ありますか?

ナカヤマン。 ブランドに限ったことではないですが、目的設定ですよね。

確かにツイッターのフォロワー数を増やした方が
タッチポイントは増えますし、情報も流れやすくなる。

というのは方法論であるツールの話で。
で、何するの?というところが無い企業が非常に多い。

露出を増やした、タッチポイントを増やしたという時に、
言いたいことが決まってなかったら、
お金でタッチポイント買おうが、
時間や労力かけてタッチポイントを生もうが、無意味です。

で、それがもともと無いなら、
ツイッターなんてやらなくていいですよっていう話ですね。

当社では、それを初めにお話するようにしています。
そうしないと、リテラシーは身に付きました、フォロワーは増えました、
一方でクライアント側は何も得してませんけど、っていう話に絶対なってしまう。

実店舗への誘導か、ECサイトへの送客か、
ブランドの世界観をファンに伝える、いわゆる場づくりに特化するのか、など
目的をまず決めていきます。

Webの世界って、先行者利益が大きいですよね。
黎明期にポジションを築いた方が、パワーブロガーになる「確率」が高かったり。
その感覚で、早くスペースを確保しなくちゃという気持ちも分かります。

でも並行して、きちんと目的決めましょうと。
同時進行でいいからちゃんと構築していきましょうという話はしています。

池松 ツイッターって日本に来て4年くらいですかね?

ナカヤマン。 そうですね、うちがやりだして3年弱くらいですね。

池松 どうやってそのツイッターのリテラシーを高めてきたんですか?

ナカヤマン。 もともとボク、ブロガーだったんですよ。
あまりブログは相性よく無かったですけど(笑)

更新していても、PV数が上がっても特に楽しくなかったんですが、
いま思うと、本業=ブランディングに生かす方法が見えなかったからだと思います。
ブランドに強いるには、しんどすぎるなと思っていたんですよね。
更新も大変だし。ピンと来てなかった。

でもツイッターを始めた時には、自身のブログはフル活用しました。
名古屋のブロガーと一緒に勉強会やセミナーを開催したり、
海外の色んなツールを試したり。

池松 じゃあ、最初は海外の文献見たりして覚えたんですか?

ナカヤマン。 そうですね。当時はリアルの友人はツイッターを始めていなくて、
海外サイトや、ブロガーさんの情報を漁ってました。
逆にいうと、知り合いじゃない人と繋がるしかなかったのが良かったのかもしれません。
その頃できた繋がりは、今でも宝物ですけどね。

ファッション業界転職ブログ-06

池松 でもそれがあって、フォロワーが1万人超えたってことですよね。

ナカヤマン。 それこそ初期だったからじゃないですか。
今始めてもそこまで行かないと思います。

池松 そこまで増えるために仕掛けたことは?

ナカヤマン。 ファッションの話題に食いつきが良くなってきたのは去年あたりからなので、
初期はブロガーコミュニティからの派生でしょうね。

当時、ブロガーに対してツイッターやフェイスブックのセミナーを
月に数回やってたんです。東京と名古屋を中心に。

知人が主催するセミナーのゲストで呼ばれたのをきっかけに、
開催する側にもなって。
フォロワーの多くはセミナーでお目に掛かった方だったりします。

ブロガーさんが「ナカヤマン。って変わった名前の人が来ましたよ」って
ブログに書いてくださって、
その読者がフォローしてくださったり。

100名を超えるセミナーもあるので、
申し訳ないのですが全員を把握している訳ではないじゃないですか。
ですから今でもスパムや店舗アカウント以外はフォロー返ししていますよ。

ファッション業界転職ブログ-07
http://twitter.com/#!/NKYMN

池松 でも1万人ってすごい数ですよね。
ソーシャルメディアの先駆者として、仕事になり始めた背景は?

ナカヤマン。 しっかりビジネスになり出したのは、
出版社さんとのパートナーシップが構築出来始めたあたりかもしれません。

外資系の出版社が電子出版を始められた頃から、
各ファッション誌に自分が思う将来的なビジネスモデルを提案して回っていたんです。
そこではソーシャルメディアの活用が
かなり重要になってくるなと思っていたので。

結果いくつかの雑誌で契約していただいて、
雑誌アカウントのソーシャルメディア戦略に関わり始めました。

最初は、ツイッターキャンペーンを中心に運営していました。
本来のターゲットである読者からチェックされるアカウントに育てないと意味がないので。

そうすると、その雑誌に出稿しているブランドが声を掛けてくださるわけです。
うちもツイッター始めたいので、
雑誌アカウントと共同キャンペーンをできないか、という風に。

当社が関わっているアカウントは、しっかり「読者」と繋がる戦略で動いているので、
出稿ブランドであれば、ターゲットが「ちゃんと重複している」前提があります。

のべつまくなしにフォロワー数をかき集めるのではなくて、
先に雑誌アカウントが繋がった「共通ターゲット」にアピールすることになるので、
そこで得たフォロワーはコアユーザーに発展していくことが多い。

あとは各キャンペーンの企画次第となりますが、
それもノウハウがきっちり積みあがって、しっかりビジネス化できています。

池松 雑誌の広告を出しているブランドがそういった手法で、
ツイッター等でお客さんをつかんでいけば、
その方がコスト的には安いから広告出さなくてもいいよって、
ある意味、対局にならないんですか?

ファッション業界転職ブログ-08

ナカヤマン。 前提として、ソーシャルメディアという存在がなかったら、
雑誌ビジネスが変わらず元気だったかと言うと、そうではないと思います。
色んな条件が変化していますから。

その前提で、紙もソーシャルメディアも包含して
メディアとして、どういうビジネスができるかを考えた方が
雑誌社としてクレバーだと思います。その形を目指した方が絶対いい。

当社は直感的に、先に雑誌社に提案に伺っていたのですが、
そういう意味ではブランドよりも先に雑誌社に提案していたお陰で
今のビジネスがあるのかもしれません。

池松 それを考えると、ブランドって今までと違って、
広告のやり方、イベント、セールスプロモーションのやり方って
変わってくる気がしますね。

ナカヤマン。 変わりますね。ひとつは、より数字で見えてきてしまう。
ある部分は見えなくてもよかった気もするんですけど。
どうしてかというと、ファッション業界って
クリエイティブに比重が大きい業界じゃないですか。

数字が見えるところが8割になっちゃうと、
数字で判断する気持ちも8割になっちゃうのが人情です。

数字で見える一方で、あえて感覚値も重視するという
非常に難しい判断が求められます。
その感覚は、特にクライアント側に身につけていただかないとつらいですね。

特にブランディングという意味で、全てが数値化できる訳ではないので、
数字に偏るとすごく短期的なビジネスになっちゃいそうで怖いです。

池松 ここ1年で、ファッションブランドは国内も含めて、
デジタル担当PRの募集が増えてきているんですが、
そういう人たちの役割って何だと思いますか?

ナカヤマン。 ひとつは皆さん認識している、リテラシーだと思います。
もうひとつは、先ほどの数値と感覚値の判断ができることだと思います。

当面は、マネージャークラスの方々が、
まずはデジタル化されて得られる数値に
比重を置き過ぎる時期が続くのではないかと思います。

でもこういう先進的な分野の場合、
必死に勉強していないとメリットとデメリットが見えてこないじゃないですか。
それをマネージャークラスに強いるのは現実問題として難しいです。

社内で唯一、そこに特化できる担当が行間まで読んで伝えるしかないと思います。
ここは数値から判断をしてはダメなんだと、しっかり言えるかどうか。
確かにAの側面では数値はそう語っているが、Bという側面の数値を収拾出来ていないから
こういうリスクが含まれているのだ、と説明できるかどうか。

本来はマネージメントが長期的展望を持っていて、
担当が近視眼的になりがちだと思いますが、
どんどん進化するソーシャルメディアの世界に関しては現実問題、
担当が、知識と長期的展望を持ち合せるしかない気がします。

変にきっちりした「感じの」レポートが出せてしまう分、
マネージメントがそれだけを見て、
短絡的に解釈してしまうリスクは否めません。

だからこそ、デジタル担当の方を雇用するとしたら、
担当的視点ではなくて、ディレクター的視点の方でないと、
ブランドや会社全体がデジタルに振り回されるリスクがある。

池松 今までの経験上、デジタル担当に関して、
もしくは企業に対して、アドバイスはありますか?

ナカヤマン。 先ほどの話の繰り返しになりますが、
ソーシャルメディアって表面的には自分たちで出来ちゃうじゃないですか。
でも戦略的にしっかり使うのは、効果もある半面、やはり大変です。

将来的に重要度は大きくなってくる分野だと思うので、
取り組むという判断をされる企業は多いし間違ってないと考えますが、
その業務を、雇用するのか、外部に任せるのか、
そこはしっかり検討された方がいい気がします。

ファッション業界転職ブログ-09

池松 具体的にどういった点ですか?

ナカヤマン。 前提条件として、今から取り組むSNSが
世の中ではどういう役割のもので、
自分達はそれをどう使うのかを把握しておかないといけない。
ツイッターでつぶやけばいいんでしょ、っていうところだけ見ちゃうと、
そりゃ社内の大体の人でもつぶやけます。

でも本来の目的は?というところを考え出すと、
ツイッターは方法論なわけですよね。

(操作方法的に)ツイッターを使いこなしている気がする!という所は
たいして重要ではなくて、目的をブレずに保持しながら数字も担保していくには、
先ほどの話の通り、社内に「デジタル・ディレクター」が必要です。

でも、はじめから「デジタル・ディレクター」がいる会社なんて無いですよね。
専業でやっているボクらですら、日々情報を追っかけて必死です。
出来る人の絶対数が少ないし、雇うとしたら高額になる。
雇う代わりにノウハウ買いながら育成するという考え方でも良いのではないでしょうか。

また目的設定に付随して、事例共有も重要です。

「よし、ソーシャルメディア対応しよう!」とだけ本部で決めて、
店頭に立つショップスタッフさんに「店舗情報つぶやきなさい!」と言えば、
仕事としてやらざるを得ない。
販売で忙しい中、「できないこともない」程度で回しているツイッターアカウントが、
会社に、はたして何の利益をもたらせるのか。

逆に、一日中ツイッターだけをやる担当を設けたとしても、
しっかり効果がでれば、会社としてプラスなわけですよね。
複数人のツイッター選任担当を設けている会社も事例として既にあります。

池松 そういう会社では
つぶやかれたものに返事したりしているんですか?

ナカヤマン。 まず返事をしますよね。
加えて、サービス部門として電話で受け答えしていた内容を、
ツイッター対応したりしています。

当社の案件でも急激に問合わせが増えているのがアクティブサポート。
ファッション業界でも皆さん注目されています。

例えば、ソフトバンクでは「ホワイトプラン」などのキーワードで随時検索されています。
ソフトバンクに話しかける訳ではなく、
友達同士で「ホワイトプランっていくらだったっけ?」と話すツイートが、
検索で探し出せる訳です。

要は聞かれる前に、返答ができてしまう。
「突然お友達同士のお話に割り込んで申し訳ありませんが、ホワイトプランは○○○円です。
よろしければご加入ください。」なんて話しかけたりできるんですよ。

池松 へー。面白い!

ナカヤマン。 アクティブサポートって、
そこで話されていること全てが可視化されて
初めて可能になるという意味で、ソーシャルメディアならではですよね。
逆に、サポート部門の業務という意味では、
ユーザー側がクレーム電話を入れるまでは怒り心頭していない時点で対応できるので、
すごく有用なんですよ。
逆に感謝されたり、もっと好きになられたりという事例もあるくらいです。

当社のクライアントでも、専任担当を設けて
アクティブサポート対応されているブランドもあります。
顧客からの評判も、とてもいいですよ。

池松 アクティブサポートは、例えばフォロワーが何名増えたから
専任を置いた方がいいとか、目安とかあるんですか?

ナカヤマン。 フォロワー数とは別ですね。
ブランド名で検索したとしても、
ツイッターであまり引っかからない企業だと、
話しかけるも何もないわけで。
ただ、何店舗出店しているとか、一定期間に雑誌何誌に露出するとか、
話題になるかどうかの規模感を予測して対応することは必要だと思います。

* * * *

うーん、面白い!
ソーシャルメディアに関して、いろいろウンチクを言う
コンサルティング会社はたくさん出てきていますが、
ナカヤマン。氏は、特に力むでもなく、
クールな視点で、ソーシャルメディアと付き合っていると感じます。

ナカヤマン。という名前でビジネスしていること自体が、
ハンドルネームで生きるデジタル世代を感じるというか。

さて、続編(その2)では、ナカヤマン。氏の持論がまだまだ登場。
ライフスタイルに合わせたソーシャルメディアとの付き合い方、
孫正義氏の後継者を育成する機関への入校の話など、
デジタル・アクティブな話が続きます!お楽しみに!

(文責:堀田律子)



取材協力点DATA
UnCafe(アンカフェ)
フレンチベースのフュージョン料理で人気のカフェレストラン。
白を基調とした明るい空間と、フィリップ・スタルクのチェアが印象的。
住所:東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山ガーデンフロア
TEL:最寄り駅:表参道から徒歩3分。
URL:http://www.uncafe-tokyo.com/

ファッション業界転職ブログ-10

第一回 PRコンサルタント 大上敦史氏(その3)

こんにちは。コンサルタントの池松です。
ゲストは、ファッション業界のPRコンサルタントとして大活躍中の、
エーバルーンとのお付き合いも長い、大上敦史氏です。

最終回(その3)では、彼のプレスとしての活躍を伺います。


ファッション業界転職ブログ-01


* * * * * 

池松 いよいよ、ディーゼルでのプレス・デビューだね。

大上 プレスとしては初心者のスタートだったんですけど、
すぐに上の人が辞めちゃったので、
早い段階で通常の貸出業務やタイアップ撮影や
コレクションなど海外出張にも行かせてもらえて。

何もかも未経験なので、わからないことだらけでしたが、
PRの上司は大阪本社いて、
基本的に、責任は取るから全部自分でやってみろみたいな感じで
さまざまな業務をやらせてもらえたんです。

まだまだプレスしてはひよっこな25、6歳だったんですが、
ファッションショーやパーティーの企画から運営、
毎シーズン何誌もあるタイアップ撮影や、
ヨーロッパ出張、NYコレクション、プレス1年目では
普通は出来ないことをやらせてもらえました。

いろいろなことをやらせてもらえて、とても充実していたのですが、
2年経った頃にD&Gからオファーがあって。
自分の中では3年間経験を積んだら
コレクションブランドのプレスになりたいという目標があったのですが、
2年はまだちょっと早いかなって。

ディーゼルのプレスとして、本当に毎日楽しく仕事をしていたので。
ただ、チャンスなんて、いつも来るものじゃないから、
この機会を逃さず、挑戦してみようと考え
結局2年半後に転職することにしました。

池松 D&Gでのポジションは?

D&Gには、プレスのアシスタント・マネジャーで入りました。
もともとマネジャーでというお話だったのですが、
まだ年齢が若いということで。
でも、D&Gのことに関しては全て任されていたので、
ポジションはさほど気にならず。

メンズ、レディース、どちらにも携わっていたので、
コレクションの度にミラノ出張が年4回。
VOGUEをはじめ、一流モード誌など、
ディーゼルの時よりも、
お仕事をさせていただく媒体がぐっと増えました。

その分、仕事の質という部分での向上が必要であり、
当時ドルチェ&ガッバーナのマネジャーだった方に、
ものすごくしごかれました(笑)。

かなり細かいところまでチェックする方だったので、
その分仕事のやり方が丁寧になりましたし、
特集記事を作ってもらう交渉の仕方など、
本当にさまざまなことを教えていただきました。

かなりスパルタな方でしたが(笑)、今もとても感謝しています。

そして、1年半後にいろいろ人事異動があり、組織構成も変わりました。
今度こそ、マネジャーに。。。と期待に胸を膨らませましたが、
新組織の中ではいつまでたってもマネジャーになれなかった。
ならばいっそのこと、他のブランドにも目を向けてみようかなって思って。

その頃、よくいろいろなブランドから声をかけていただいていて。
その中のひとつ、ヴェルサーチから
PRマネージャーのオファーがあったんですけど、
当時の自分は、まだ古いヴェルサーチのイメージしか持っていなかったんです。

ところが、ちょうどコレクションの内容も
組織構成もかなり変わった時期で、
ミラノのショールームに行った時に、
余計なものを払しょくした
シンプルかつ、モダンで力強く美しいコレクションに、
ヴェルサーチの新たな可能性を感じて。
それでヴェルサーチに移る決心をしたんです。

池松 だって、大上くんがヴェルサーチ行くときは衝撃的だったもん。
D&G辞めるってことになって、
次どこに行くんだろうって思ったらヴェルサーチ?って。
じゃあ若い頃に、プレスも広告も全部経験したんだ。

大上 広告が出来ると(出稿する年間のメディアプランの作成など)、
プレスの中でも仕事の幅がぐんと広がります。

エディトリアル、広告関連、パーティーなどのイベント企画・運営、
本国とのコミュニケーション、
年間のバジェット管理、そしてDMなどの制作物まで、
多岐にわたって経験を積むことができました。


ファッション業界転職ブログ-02


池松 今もヴェルサーチに携わってるよね。

大上 はい。現在は直接ミラノ本社と契約しています。
この秋冬からスタートで、百貨店を中心に出店していく予定です。
今年の1月からは、デニムの7 for all mankind、
イタリアのナパピリなどを展開しているVFブランズの
PRコンサルタントとして全体の業務をみています。

池松 PRのディレクターとか
コミュニケーションディレクターとかで
業界では有名な方々は多いんだけど、
その中でも大上くんて、指折りだよね。
人脈述とかって何かある?

大上 基本的に腰が低いと思います(笑)。
ラグジュアリーブランドのプレスとかって、
ツンケンしている人たちが、意外と多いんですよね。

でもそれって、本人だけじゃなくて
ブランドの看板があるからでしょ?と。

ポジションが上がってくると、
態度もコロっと変わっちゃう人も中にはいます。
ブランドPRの人たちで、人によって態度を変えたり、
高飛車な態度を見たりすると、
ああちょっと悲しいなって思います。

プレスの職業は接客業でもあるので、
好き嫌いせずに、相手が誰であっても
気持ちよく仕事ができる環境をつくりたい。
スタイリストさんやヘアメイクの方のアシスタントにも敬語だし、
誰であっても丁寧に接して、態度を変えないように心がけています。

あと、男性的な目線もあるし、女性的な目線もある。
もともと雑誌が大好きだったから、
常に読者の目線も持っていると思います。
なので、タイアップ撮影などでも、
どういうのが読者に響くかとか、
いつも読者の目線になって考えるようにしています。

パーティーなどで、
たくさんの方々に来ていただくのもプレスの手腕。
ディーゼル時代から、セレブリティーやモデルさん、
トレンドセッターとの繋がりは必要だと考えていて、
いろいろなブランドのパーティーやイベントに顔を出したり、
どんなに小さな撮影などにも出向いていって、人脈を広げていきました。

池松 プレスの中で成功する秘訣、何かある?
礼儀とか接し方とか。

大上 プレスルームは、どんな時でも
整理整頓をモットーにしていました。
忙しいスタイリストさんが1日何件も、
貸出しでプレスルームを周る中、
乱雑であると落ち着いてもらえないし、
商品もよく見えない。

少しでもくつろいでいただけるように、
必ずお茶を出して、
30分くらいお話をしてから貸し出しをスタートするみたいな。

あわただしく5分10分で貸出しが終わってしまったら、
コミュニケーションも取れない。
スタイリストさんと一緒にお話しをしながら、
サンプルを見ていただくと、
より一層親しくなれるものです。

あの人とは仕事しやすいな、
また会いたいな、と思ってもらいたい。
あそこに行けば面白いなって(笑)
そうすると貸し出しが増えるし、その分雑誌等への露出も増えます。

よく「喫茶・大上」っていわれていました(笑)。
美容とかも大好きでミーハーなとこもあるので、
女性の編集者の方たちも
「今はなにに凝っているの?」といった感じで、
美容談義も盛り上がっていました。
そんなこともあって、たえずたくさんの方が
プレスルームに来てくれるようになりました。

あとは、プレスリリースなどを作成することがよくあるのですが、
文章はレイアウトなど、かなり細かなところまで気を配ります。

プレスはブランドのイメージを作り出すところでもあるので、
何に対しても
イメージに繋がるところは、
細心の注意をはらうようにしています。


ファッション業界転職ブログ-03


池松 今までやった失敗談は?

大上 ディーゼル時代にタイアップ撮影があった時ですかね。
撮影の立ち会いに行くことは、
ここはブランドとしてきちんと見せたいとか
撮影の時に伝えなければいけないんですけど。
一度、某メンズ雑誌でのタイアップで、
撮影スタッフが大御所の方ばかりだったので、
怖くて何も言えなかった。

そうしたら、上がってきた写真が
もともとのブランド側の意向と全然違っていて、
大問題になってしまって。

タイアップには何百万というお金がかかっているのに
なんだこれ!って当時の上司からすごく怒られて。
立ち会いに行って、何をしていたんだ!って。
絶対これじゃダメ!って。

でも雑誌側は、これはうちのクリエイティビティだからって。
最後には、編集長も巻きこんでしまって。
お互いの譲歩点を見つけて、解決したのですが、
それはとてもいい勉強になりました。

池松 未経験だからこそ起こった問題でもあるよね。
若いPRの方へのメッセージはある?

大上 みなさん、おしゃべりな業界なので(笑)
悪い評価もまわるのすが、良い評価も回るのですよ。

若いPR時代って、サンプルのピックアップとか返却とか
面倒くさい仕事もあると思うのですけど、
何事も一生懸命にキッチリすると絶対にその噂も回ります。
だから、仕事はデイ・バイ・デイで小さなことでも真剣に取り組むこと。

それから、ブランドのイメージを表現する部署なので、
そのブランドに染まること。
ファッションや着こなし、雰囲気など、
ブランドイメージにぴったりだと思ってもらえること。

だから当然ですけど、外見にはきちんと気を配る。
ファッションやビューティはそのためにあるものだから。

あとインポートブランドは、
本国のスタッフに対しても見た目の印象って、とても大事。
日本のPRはどちらかといえばコンサバな人が多いけど、
もっと表現した方がいい。

池松 本当にその通り。プレス募集の場合でも、
イメージも重要な判断要素のひとつだから。

大上 あと、会社員の頃よく思っていたんですけど、
PRって社内でも孤立しやすい部署なんですよ。
なぜかというと、PRだけが唯一
直接お金を生み出さず、
イメージを広げていくために会社の予算を使う部署だから。

基本的に社外の人とのお仕事も多いですし。
会社の景気がいい時はいいけど、
悪くなってくると、何をやっているんだPRはみたいな。
だから、社内にもPRしていました。
どんどんPRの情報を積極的に伝えて、
常に情報の共有をして、
社内の中でも応援してもらえるような環境を作るように心がけていました。

池松 大上くんにとってキャリアップって何?

大上 キャリアもそうなんですけど、
人生は長いので、上に行くことをストップしてしまったら、
あとはつまらない人生しかないなぁと。
だから、何事も向上していきたい。

常に、今が一番充実していると感じたいです。
仕事でも、ポジションや報酬も上げていきたいし、
上がっていけば自分の可能性の幅も広がるし、
自分が決められる範囲が広くなるから。


ファッション業界転職ブログ-04


池松 自分のブランディングについて何か意識してることはある?

大上 何かを仕掛けるには、まず女子をターゲットに考える。
なぜかというと、やっぱり女の子はパワーがあるし、
ムーブメントをまず作り出すのっていつも女の子だと思うんです。

僕の場合、ブログにしてもトークショーにしても、
見てくれは男なんですけど、
興味があることは、美容だったりお花だったり
料理だったり、全部女の子が好きなもの。
なので受け入れられやすいのかなぁと、
そのポジションは特有かなと意識してます。

ファッションも、毎シーズンミラノコレクションに直接行っているし、
常に最新のファッションの流れを知っているという強みもあると思います。
オネエ全開のテレビ番組のオファーもあったんですけどーーー

池松 え、ホントに!?(笑)

大上 仕事でもプライベートでも、
家族や友達にもセクシャリティーのことはオープンです。

実は、本の出版の話が昨年あったんですが、
いまは出版不況なので売れないとダメ。

でも、ブログのピンポイントだけじゃ知名度が足りない。
もう少し露出を多くしないとと思って、
テレビの話も受けました。

思ったより緊張せず、リラックスして楽しめました。
自分で言うのもなんですが、
意外とテレビ映りがよかったなぁと(笑)。

池松 最後に。あの頃、21歳の時に彼から
アンビシャスがないっていわれたけど、今は?

大上 昨年はある大きなブランドのPRディレクターで
オファーをいただいて。
この年齢でPRディレクターはなかなかないし、
すごく迷ったんですけど、
やっぱり、活動範囲の制限が多かったので行きませんでした。

プレスの仕事は好きなので、
現在はいくつかのブランドと契約して、
フリーランスというスタイルでやっています。

おかげさまで、個人の仕事も増えてきているので、
今はその範囲を広げていくことですね、テレビとか本とか。
プレスの仕事と、個人の活動を両立させていきたいなと思っています。

* * * * * 



「どうすればプレスになれますか?」という質問をよく受けます。
が、人のマネをしていても道は遠い。
自分で開拓していくことの大切さを、大上くんは自身の経験をもとに、
きちんと体現している優秀なプレスです。

仕事柄、たくさんのPRディレクターたちとお会いする中、
大上くんは本当に若くて、それでいて活躍しているから、
きっと、人とは違う、何か秀でた決めてがあると思っていました。
今回はその「何か」が聞けた気がします。

(文責:堀田律子)



取材協力店DATA
ラスチカス
天井の高いインターナショナルな雰囲気の店内で。天気がいい日はテラスも気持ちいい。
「ここのナチョスは、東京でも1、2を争う本物のメキシカンテイスト。モヒートとともにぜひ!」(クリス)
住所:東京都渋谷区神宮前5-47-6
TEL:03-3407-6865
最寄り駅:表参道から徒歩7分。
URL:http://www.vision.co.jp/aoyama/index.html

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