(出典:PhotoAC)
自閉症スペクトラム障害児は、遊びの幅が非常に狭く時に楽しく遊ぶことが難しいですどのような遊びがお勧めなのでしょうか?今回は一人遊びに焦点を絞って解説します。
自閉症児の一人遊びとして多いのは、繰り返す遊びです例えば、
- トランポリン
- 同じ音楽や動画を見る
- 砂や粘土などをいじり続ける
- 何か物を振り続けて音を出す
- 目の前で何か物を振る、もしくは物の前で目を振る
- 体を前後に振りながら声を出す
といったことがあげられます。同じような動作を繰り返す遊びは、同一性の保持と言われ、繰り返し同じことをすることが好きであるという特質とされていますまた、音を楽しむ、皮膚感覚を楽しむ、視覚的刺激を楽しむといった単純な遊びにとどまってしまっていることも特徴です
これらの遊び全てが問題となることではありません。上記のような遊びは制止しても適切な遊びをする可能性は低く、子供がボーっとするだけになってしまう可能性があるからですですが、以下の条件に当てはまる場合は、積極的に実施させないほうがよいでしょう。
- 制止をすると子供が怒る
その遊びを制止すると子供が怒るような遊びは止めたほうが良いです。なぜなら、遊びに対しての執着が強すぎるからです。遊びをすることで行動を切り替えられないといった問題が発生します。 - 体に変調が起きる
例えば、体を叩くような遊びは止めたほうが良いです。なぜなら、一部分だけ変形してしまったり、痣ができたりといったことが起きます。以前経験したケースでは、自分の目を触ることにより白内障になってしまった子供がいました。 - 大声で笑いながら、叫びながら実施する
子供が声を出して遊んでいる遊びは一見、子供にとってとても楽しくよい遊びに思えます。ですがこれは間違いです。なぜなら興奮してしまう遊びは癇癪へのトリガーになることが多いからです。例えば、トランポリンで跳ねながらゲラゲラ笑っていた子供が次の瞬間に泣きながら怒るといったことが珍しくないことです。そうすると、自閉症児は笑うような楽しい遊びをさせないほうが良いのかという疑問がわくと思います。勘違いしないでほしいのは、大声を出して笑うことが必ずしも楽しい時ではないです。本当に楽しい時は実は黙っていたりします。テレビを見ている時がそれにあたります。
では適切な一人遊びはどのような条件があるでしょうか。次が考えられます。
- どこでも実施できるような遊びであること
例えば、iPadやswitchといったゲームは保育園や幼稚園、図書館等では実施することが難しいです。そうではなく、どこでも遊ぶことが許可されるような遊びであるほうが汎用性が高いです。 - 静かに実施できる遊びであること
例えば、音が出る遊びですとそれだけ許される場面が少なくなります。ですから、図書館でやっていても目立たないような静かな遊びが望ましいです。
これらを考慮すると、自閉症児ができると良い遊びは以下です。
- 読書
読書は基本的にはほとんどの場面で許される遊びです。小学校、レストラン等でも実施しやすいです。言葉が話せないレベルの自閉症児であれば、絵を眺めるといったことしかできませんが、それでもとてもよい遊びと言えます。 - お絵描き
自由帳や画用紙へのお絵描きも色々な場面で実施しやすい遊びです。ただし、クレヨンなどは汚してしまう可能性があるため、色鉛筆やクーピーに限ったほうがよいです。
これらの遊びを教えるためには、まずは椅子に長時間座れるようにならなければなりません。親抜きで一時間座れることが目標です。座れるようになったら、机の上に本や自由帳を置いておけばそれなりに遊ぶ可能性が高いです。このようにして指導をしていきましょう。