(出典:PhotoAC)
まだ言葉を話すことができない子供を持つ親は、一刻も早く言葉を覚えてほしいと強く願うことは当然だと思います
ですが、言葉を話すにももちろんレベルがあります 私が考える言語の習得難易度レベルは以下の通りです
1.独り言
独り言は一番レベルが低い言葉です。これには、無意味発語から歌までと幅広く含まれます初期は喃語ですが、難易度が高いものになると、電車でのアナウンスや好きなアニメのキャラクターを一言一句再生するというものがあります。独り言の特徴は、周囲の人間とほぼ関係なく、本人の話したいというモチベーションのみで出現することです
初期ですと、このように体を動かすことに付随することが多いです。
2.要求言語
「〇〇が欲しい」「○○を取ってほしい」といった要求するための言語です。言葉が未発達な状態ですと、クレーン現象や泣くといった代わりの行動で補われることがあります
クレーン現象とは以下の例です。
初期の言語行動ですと、喃語のような言葉で要求することが多いです。
3.注目を得るための言語行動
これは、親や同年代の子供に対して、注目を得るために行われる言語行動です。「見て」といって自分ができたものを見せに来たり、ご飯を食べていて「おいしいね」と他人に同意を求めたり、他人が言っている言葉をお菓子などを使わなくても自然に模倣したりします
これらの行動のモチベーションはお菓子等ではなく、他人からの言葉かけ、関わりといった関係性になっていることが特徴です。自閉症と診断されるような子供は自然には備わっていないことが多いです
4.挨拶等の行動
挨拶等は他人等の注目がモチベーションとして働かなくても出現する行動です。他には名前を呼ばれたら返事をする行動等が挙げられますこれらの行動は社会人には自然に身についていますが、行動を行っても特にメリットがないため、習得が非常に難しくなります
ABAでは多くが、2の要求言語(マンド)しかトレーニングをしていない場合が多いです
このようなトレーニングでは、遊びやおもちゃ、お菓子を使って要求言語をしていますこのトレーニング方法自体がダメなわけではないですが、見返りのある場面での言語のみを訓練すると、人と話すことや、人に注目するといったことでの言語行動はいつまでも身につきません。
私も昔は要求言語のみで言語を教えていましたが、そうすると本人がしたいことはたくさん話しますが、それ以外の他人との会話を楽しむことや他人に話しかけられた時の反応がなかったりとロボットのようになってしまいました
言語訓練は言葉を話してもらうことが最終目標ではなく、子供らしく(人間らしく)なってもらうことが目指されるべきです
そのためには、普段の独り言、自発的な模倣、自発的な報告に対してほめ言葉、笑顔、ボディータッチといった自然なご褒美のみを使用して強めていくことが 求められますこうすることで、
・他人の言葉を自然に真似をする
・親にいたずらをする(お母さんを呼んで隠れる)
・親に「おいしいね」といったことを報告する
といった行動が出現することが目指せます
子供の言語指導をする場合、言葉の数を増やす、言葉の明瞭性をあげるといったことだけではなく、このように子供らしくなっているといった基準を持って教えると他の人から愛されるようなかわいらしい子供になっていきます
最終的には挨拶やお礼等も習慣化していくことで他人から支援されやすい子供になっていくことを目指していきましょう