アースルーリンドの騎士外伝。『幼い頃』晩餐での冒険46 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

召使い頭のその男は随分若く見えたが、その場所を婦人から聞いて、叫んだ。
「・・・あの額縁を、いじって扉を開けてしまったんですか?
あそこは・・・・・・・・・!」
ディングレーがつい、身を乗り出すと男に訊ねた。
「あそこは、どうした?」
流れる黒髪とがっしりとした肩の、威厳の塊のような気位の高く荒っぽい様子のディングレーと、巨人のように立派な体格のオーガスタス。その横の小さな美少女のような可憐なレイファスに一斉にじっ。と見つめられ、男はその立派な騎士達に気後れしたように、しどろもどろに成った。
「・・・その・・・古い造りで、先日掃除した後、扉を一斉に開けられる仕掛けが、壊れたばかりで・・・・・・・・・」
ディングレーは一気に、青冷めた。
「・・・あの無数の扉を今、連中は一つ一つ、開けて回ってるんだぞ?!
一斉に、開ける装置があったのか?!」
だが召使い頭は泣き出しそうに顔を歪めた。
「・・・だから、そのからくりが、先日壊れたばかりで、職人はまだ、直していないんです!」
「どうしてとっとと、直さない!」
ディングレーが怒鳴ると、オーガスタスが彼に控えろと、静かに警告した。
「彼を泣かすな」
ディングレーはオーガスタスを見上げ、そして召使い頭を、見た。
その茶色の瞳が潤んでいるのに気づき、慌てて付け足す。
「俺は怒ってるんじゃ、無いぞ!」
が、どう聞いても怒鳴り声で、説得力が全然無いな。とレイファスは俯いた。
オーガスタスが彼に静かに告げる。
「・・・ともかく方法があるんなら、試したい。
そのからくりの場所に、案内して貰えるか?」
召使い頭は、その大きな男の声がとても穏やかなのに、ほっと安堵し、頷いた。
案内する男とオーガスタスの後に続くディングレーは、隣のレイファスにささやいた。
「・・・どうしてオーガスタスだと、あの男はあんなに安心するんだ?
俺だって・・・優しかったろう?
まあ・・・それなりに」
レイファスは曖昧に、笑った。
「・・・うん。
それなりには、優しかった。
・・・かも、しれない」
その返答に、やっぱり怒ってるとしか見られなかったんだと気づき、ディングレーは俯いて、吐息を吐いた。

つづく。

宝石赤宝石緑 この連載を、始めから読む星


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