アースルーリンドの騎士追加特記その100 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

ソルジェニーは、近衛軍中央補佐宿舎に向かう兵達が、行きとはうって代わって、解放と歓喜に沸き立つ様子が、解った。
そこいら中で、アデンとローゼ逮捕の話で持ちきりで、アイリスとギュンターの来訪がどういう結末を迎えるのかを、心待ちにする様子だった。
ソルジェニーは、馬車の中から、ギデオンが素晴らしく豪奢な金髪をなびかせ、堂に入った晴れがましい姿で馬上に跨る姿を、いつ迄も、いつ迄も飽きる事無く、見つめていた。
時折、ギデオンが視線を、ソルジェニーに送って微笑むと、彼はとても幸せそうに微笑み返し、ギデオンの胸を、熱くさせた。
ギデオンは馬車の暗がりに身を沈めるファントレイユにも視線を送ろうとしたが、彼はどうやら、疲労している様子で目を、閉じていた。
ソルジェニーは彼をそっ、と伺ったが、ファントレイユの顔色がひどく青冷めて見えて、彼がどれ程気を張って職務を遂行したのかを、思った。
ソルジェニーは、ギデオンが言った通り、彼がいざとなれば危険も省みずに肝が座り、誰よりも強い意志と決意を持って行動に移し、決して逃げ出す事はしない様子を、心から感じた。
ファントレイユに、どれ程労りの言葉を投げかけても、足りないような気がして、彼が、いつもは手抜きをしていると言っていたけど、いざと言う時誰も出来ない働きをするんだから、それは許されてもいいんじゃないかと、思った。
白碧の騎士、シャッセルが時折、馬車の中を盗み見た。
ソルジェニーと目が合うと、彼は軽く頭を下げて礼を、取った。が、探る様子に、ソルジェニーはファントレイユに視線を送ると、その騎士も、ファントレイユの疲労を労るように見て、ああ彼も、ギデオンの命を救った彼に、感謝しているんだと、気づいた。
通り過ぎるヤンフェスは、少し眠そうだったが、ソルジェニーの視線に気づくと途端、人のいい笑顔を見せて朗らかに、笑った。
ソルジェニーはその笑顔がとても嬉しくってつい、彼に手を、振った。
国で一番身分の高い王子が、農民のヤンフェスにそれは親しげに手を振る姿を兵達は見て、心の底から、安堵した。
帰還の行軍の、兵全員の心の中に、身分差別の暗黒時代が、過ぎ去ろうとしている予感が、走り抜けて行った。
つづく。