補佐官舎に、一同が着き、その中庭に歩を進め行く。
官舎の前にはずらりと補佐官達が並び、ギデオンが子供の頃から知っている、彼の父親の、親友だった男達が数人居て、ギデオンに、頷きかけた。
ギデオンは、その横に立つ、アイリスとギュンターをも見、そして・・・・・・・・・。
兵に両側を押さえられた彼の叔父、ドッセルスキの姿も、見つけた。
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ギデオンは馬を降りると、彼らに近寄った。
ギュンターが部下に、アデンとローゼを連れて来い、と顎をしゃくって合図を出す。
ギデオンは振り向き、ソルジェニーとファントレイユとを促し、迎え入れる彼らの、後に続いて官舎に、入った。無論、ギデオンの取り巻き三人も、同様に。
ギュンターは広場にたたずむ兵達に向かって、叫んだ。
「・・・解散!」
だが、兵達はその場から、動こうとはしなかった。
ギュンターは肩をすくめたが、マントレンとヤンフェス、フェリシテの姿を見つけると、こっそり招いて、彼らを中へ、入れた。
官舎の広間で補佐官全員が、ドッセルスキとアデン。そしてローゼを罪人と迎え、審議が、始まった。
ドッセルスキに組みする大貴族達が半数居て、現右将軍をほっとさせた。
が、まず、ローゼが引き出されて、中央の証言台に、立たされた。
ファントレイユは、王子とギデオンと共に、その証言台の横に座っていたが、ローゼの背に、ファントレイユがぼそりと、つぶやいた。
「・・・いまからでも、遅くない。初志貫徹して、口をつぐめ」
ローゼを引き出し警護する、シャッセル、アドルフェス、レンフィールは、そのファントレイユの、脅しのようなつぶやきを耳に、思い切り呆れたが、当然ローゼはファントレイユの言う事等、聞かなかった。
彼は自分が殺そうとした男の保証をそれは、信頼して頼ったのだった。
・・・つまり、断固として命じたのはアデン准将だと、言い張ったのである。
ファントレイユが、補佐官らが聞こえない様、さんざんローゼに、小声で
「根性無し」
と、見た目では解らない、それは優雅な様子で、罵倒し続けレンフィールとアドルフェスを、呆れ倒した。
つづく。