実は・・・・自転車操業 | WAS IT ALL WORTH IT ?

「運転資金」という言葉があります。

この言葉の意味は、正式には、「生産設備に投下される資金」らしく、

毎月の社員の給料の支払いなんぞに利用される資金ではないらしい。


「今月支払が苦しい・・・・一時的にお金を貸してもらえないだろうか?

来月、入金があり次第、すぐに返済するので・・・・。」


・・・・と、銀行さんに頭を下げて、一時的に融資をしてもらうのは、「運転資金」とは呼ばず、

もはや、「ジ・エンド」目前の、最後のもがき・・・・なのかもしれません。


実際、このような融資・・・・現実には、なかなかおりないでしょうし、

一時的に、資金を調達できたとしても、月が変わって入金があっても、そのお金は、

金融機関への返済に充てられ、またしても資金ショートとなります。


当社の場合、銀行さんから融資をしていただくのは、あくまで「商品土地購入」のための

融資のみであって、支払いに困って、一時的な借金・・・・という性質の融資は、

受けたことがありません。

そんな融資を受けることは、会社として「沈没寸前」を意味するからです。



ところで、私たちの分譲住宅業界は大きく分けると、


「建売系(建売住宅)」



「売り建て系(建築条件付き分譲住宅)」


の二つの販売方式に分けられますが、この二つ・・・・外の人々にはわからないかも

知れませんが、会社の資金繰りには大きな違いがあるのです。


一言で言ってしまうと


建売系は資金繰りが楽で、売り建て系は他に収入源がないと、とてもできません。


なぜ建売系が資金繰りが楽かと言いますと・・・。


たとえば土地が1500万円、建物原価が2000万円とします。

4区画分の土地を仕入れ、4棟の建物を建築する場合、銀行さんからの融資は、

1500万円×4+2000万円×4=1億4000万円・・・・となる。

このうち6000万円は土地を売ってくれた地主さんに支払われます。

残りの建物原価の合計8000万円というのは、分譲会社さんの口座に、

まとめて銀行さんから入金されます。


しかし、この建物原価(つまり工事費)というのは、下請けさんに一度に支払うものではなく、

工事の進捗状況に合わせ毎月支払われます。

大体、1棟の住宅を建築するのに4か月ほどかかりますので、単純計算で、

毎月、500万円×4棟=2000万円づつ、4か月に渡って支払いをしていきます。


ですから最初の1~2か月の間は、分譲会社さんの銀行口座には、何千万円もの

キャッシュが残っています。

これを、社員の給料に回すことができます。


んが!しかし・・・・・。


この4棟の建物が完成する頃になると、残りの工事費を下請けさんに、

支払わなければなりません。

しかし、社員の給料として、早い段階で、キャッシュを使い込んでしまうと、

お金が足りません。

住宅が、売れていれば問題はないのですが、売れないまま、4棟全てが完成

してしまったら資金ショートを起こします。


そこで!


またしても、同じように土地を買い、建物をつくる。

前回と同じように、銀行さんから土地代と建物原価分の資金を融資してもらい、

今度は、前回足りなくなった工事費と、またしても社員の給料にお金を割り当てる・・・・。


世間では、このような仕事ぶりを「自転車操業」と呼びますが、

「売れない建売業者」さんは、この作業を延々繰り返す・・・・。


その結果、在庫がどんどん増え・・・・・「Xデーはいつじゃ??」などと、

噂がたってしまい・・・・実際、その噂どうり、天に召されてしまうのです。


そうなんです。

建売住宅は、たしかに、資金繰りは楽なのですが、ある一定の期間内に

ある程度の数の建物が売れないと、お金の流れが止まってしまうのです。



一方、建築条件付きの場合はどうかと言いますと・・・・。


銀行さんから融資を受けるのは、あくまで土地代金だけです。

ですから、売れなければ、いきなり最初から、入金がありません。

社員の給料を払おうにも・・・・・売れなければ、払うお金の工面ができません。


ということは、どういうことかと言いますと、

建築条件付き分譲住宅の販売ができる会社は、よほどコンスタントに物件が売れる会社か、

他に収入を得ることができる部門がある会社しかありえないのです。


ですから、逆に言いますと、

今まで「建築条件付き一本」だった会社が、ある時、急に「建売住宅」に方針を転換した場合は、

注意が必要です。

この場合・・・・「資金繰りが苦しくなったのかも?」と、疑ってもいいのかもしれません。


特に、今のような不況時に、今まで建築条件付きでやっていたのに、

何故、突然、よりによって「自転車操業」的な建売住宅に変更する必要があるのか??


これは、同業者故にわかる・・・といいますか、推測できてしまう「現象」なのです。


本来、建築条件付きというのは、余力のある会社にしかできない販売方法なのですから・・・。



「逝くかもしれん・・・・。」


・・・と、噂が絶えない某分譲会社さん・・・・PBRが1倍を大きく割り込んでいる。

会社は規模ではありません。中身です。

お客様に迷惑をかけないため、私は規模の大小ではなく、つぶれない会社を目指します。